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為替週間見通し:日米金融政策差でドルは下げ渋る可能性

【今週の概況】
■米FRBはインフレ対処を最優先、ドルは一時136円57銭まで強含み

今週のドル・円は強含み。米国経済の大幅減速の可能性は消えていないことから週初に134円79銭まで下げたが、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のために利上げを継続する姿勢を維持しており、日米の金利差拡大観測によるドル買い・円売りは後退しなかった。7月6日発表の6月ISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったこと、同日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月14-15日会合分)でインフレ対処を最優先する方針が改めて確認されたこともドル買い材料となり、ドル・円は136円台を回復した。

8日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時136円57銭まで上昇した。この日発表された6月雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を上回った。また、平均時給は前年比+5.1%と5%超の伸びを記録し、7月連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75ポイントの追加利上げが決定されるとの見方が広がった。ただ、136円台半ば近辺で利益確定を狙ったドル売りが観測されており、ドル上昇は一服。136円09銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:134円79銭−136円57銭。

【来週の見通し】
■日米金融政策差でドルは下げ渋る可能性

来週のドル・円は下げ渋る可能性がある。米国の景気後退入りの懸念で利益確定のドル売りに下押しされる場面がありそうだが、日米金融政策の違いに着目した取引でドル買い・円売りは続き、ドル高円安の基調は維持される見通し。最近発表された経済指標で6月CB消費者信頼感指数や6月ISM製造業景況感指数などは低調な結果となったが、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ高進を抑止するため、金融引き締めの姿勢を保っている。
外為市場の関心がインフレから景気に移りつつあるなか、7月13日に発表される6月消費者物価指数が市場予想を上回った場合、インフレ高進による米経済成長の鈍化が懸念される。また、15日発表の6月小売売上高は5月に予想外のマイナスとなったが、6月も弱い内容なら消費の減退が警戒されそうだ。

ただ、6日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、インフレ高進を抑えるため引き締めに前向きな姿勢が改めて示された。パウエルFRB議長は直近の討論会で「ドル高に責任を負わない」との見方を伝えており、ドル高進行を特に懸念していないことを示唆した。世界経済の先行き不透明感も警戒され、ユーロ圏は足元の弱い経済指標にエネルギー供給不安が追い打ちをかける。英国の政局流動化もあり、欧州通貨が一段安となった場合、ドル選好地合いとなろう。

一方、日本銀行は「インフレ上昇圧力は強まっているものの、安定的な上昇とは言えない」との見方を変えていないため、現行の金融緩和策を継続する方針を伝えている。欧米主要国などで景気減速への懸念が強まれば、リスク回避の円買いが拡大する可能性もあるが、ドル・円は日米金利差の取引で下値の堅さが意識されそうだ。

【米・6月消費者物価コア指数(コアCPI)】(7月13日発表予定)
13日発表の6月米消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+5.7%の見通し。市場予想を上回った場合、FOMCのタカ派的な見解を正当化し、金利高・ドル高の要因に。

【米・6月小売売上高】(7月15日発表予定)
15日発表の米6月小売売上高は前月比+0.9%と、5月の-0.3%から上昇に転じる見通し。市場予想を上回った場合、個人消費の改善を好感して株高・円安要因となろう。

予想レンジ:135円00銭−137円50銭

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