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米国株式市場見通し:物価指標と景気指標に注目

 

1月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)といった重要インフレ指標に加えて、小売売上高速報に注目だ。インフレや景気、金利の見通しを巡る不透明感は依然強く、神経質な状況が続くだろう。投資家の恐怖心理を示すVIX指数も再び20を上回った。

FRBがインフレ指標として特に注目している食品やエネルギーを除いたコアCPIは、前年比では4カ月連続で伸びが鈍化し、昨年11月以来の低い伸びにとどまると予想されている。また、コアPPIも昨年4月来の低水準となる見込み。ただ、1月分から労働省労働統計局 (BLS)はCPI内訳項目のウェイト変更を行うため、コア指数を0.03ポイント程押し上げる可能性には警戒だ。想定外にインフレの定着が見られた場合、FRBの利上げ長期化の思惑を強め、売り材料になりそうだ。

また、1月雇用統計など雇用関連指標が想定外に強く、労働市場の逼迫継続が示されたため、FRB高官は一段の金融引締めが必要との考えを示している。パウエル議長も、今後、労働市場が弱まると見ているが、強い雇用が続いた場合には、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)を引き上げる必要性があると指摘した。これまで、インフレの鈍化や景気後退入りを想定し、政策金利が5%に満たないと見ていた市場もここにきて、政策金利が6%まで上昇する可能性まで想定し始めている。22年のマネーサプライの伸びは大恐慌以来でもっとも低いとも言われており、株式相場の上昇も依然限定的となりそうだ。

JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)はインフレを巡り勝利宣言をするのは時期尚早と述べており、もし、物価圧力が想定通り緩和しなければ、FRBが5%まで金利を引き上げ、その水準で当面維持することは極めて妥当、との考えを示した。

小売売上高は悪天候なども影響しマイナスとなった12月から予想通り3カ月ぶりのプラスに改善するかどうかに注目だ。消費は思ったより堅調で成長を支え、インフレも期待通りに改善しない可能性は株式相場にとって引き続きリスクになるだろう。

経済指標では、1月CPI(14日)、2月NY連銀製造業景気指数、1月小売売上高速報、1月鉱工業生産・設備稼働率、12月企業在庫、2月NAHB住宅市場指数、12月対米証券投資(15日)、1月住宅着工件数・許可件数、週次新規失業保険申請件数、2月フィラデルフィア連銀景況指数、1月PPI(16日)、1月輸入・輸出物価指数、1月景気先行指数(17日)、などが発表予定。

主要企業決算では、旅行情報・予約サイト運営のエアビー・アンド・ビーや飲料会社のコカ・コーラ(14日)、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ、保険のAIG、食品加工会社のクラフト・ハインツ、不動産ウェブサイトを運営するジロー・グループ、動画配信のロク(15日)、食品宅配サービスのドアダッシュ、ハンバ―ガーチェーンのシェイクシャック、オンラインギャンブルのドラフトキング(16日)、農機具メーカーのディア(17日)、などが予定されている。

コスト高はくすぶるが、世界経済は警戒された程は弱くなく、ディアの決算では堅調な結果に期待したい。

(Horiko Capital Management LLC)

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