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米国株式市場見通し:金融決算やCPIに注目

来週は決算シーズン入りで、金融の第1四半期決算に注目だ。また、今週発表された最新の雇用統計の結果に加えて来週発表される重要インフレ指標や小売売上高で連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ軌道を見極めることになりそうだ。金融決算では、各行預金水準や流動性などの状況が相場を大きく左右するだろう。今週は地銀のウェスタン・アライアンス・バンコープが預金に関するデータの発表遅延を背景に預金流出加速の警戒感が広がり、株価が下落した。先月のシリコンバレー銀やシグネチャー銀の破たんを受けて、市場は金融システムの状況に神経質になっている。

銀行のJPモルガン、シティ、ウェルズ・ファーゴが来週後半に四半期決算発表を予定しているが、シリコンバレー銀などの破たんの影響を受けて中堅銀行から預金が大手行に移行したかどうかに注目だ。さらに、新型コロナパンデミックの影響を受けて低迷している商業不動産のエクスポージャーが大きいPNCファイナンシャル・サービシズの決算に警戒だ。

また、FRBが3月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表する。さらに、3月消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)などの重要インフレ指標に加えて3月小売売上高の発表が予定されており、注目だ。総合CPIでは前月から伸びの鈍化が予想されているが、FRBが特にインフレ指標として注目している変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアCPIは前年比で2月から伸びの拡大が予想されている。インフレの鈍化が滞りFRBの利上げを正当化する結果となると、再び売り圧力になりそうだ。一方、3月小売売上高は一段と悪化する見通しで、予想通りとなると景気後退を懸念した売りに拍車をかけそうだ。

金融混乱に加えて、経済や今まで力強いと見られていた労働市場までもが悪化した可能性が強まっているにもかかわらず、インフレが急速に鈍化する兆候はまだ見られず、FRBは依然追加利上げが必要との姿勢を崩していない。FRBの追加利上げ観測や金融不安がくすぶる中、上値の抑制される神経質な相場が継続することになるだろう。一方で、4月は季節的に税還付金が相場に流入するため、年を通じて相場は強い傾向にある。また、金利低下がハイテク銘柄の買いを支援するとみられる。

経済指標では、2月卸売売上高(10日)、3月CPI、3月月次財政収支(12日)、週次新規失業保険申請件数、3月PPI(13日)、3月輸入物価指数、3月小売売上高、3月設備稼働率・鉱工業生産、2月企業在庫、4月ミシガン大消費者信頼感指数(14日)、などが予定されている。12日には3月開催分FOMC議事録も公表される。

主要企業決算では、中古車販売のカーマックス(11日)、航空会社のデルタ(13日)銀行のPNC、JPモルガン、シティ、ウェルズ・ファーゴ(14日)、などが予定されている。PNCの決算では第1四半期の貸付損失の一段の拡大に警戒だ。一方、航空会社は需要の強さに期待したい。

(Horiko Capital Management LLC)

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