今回は「世襲議員が続々と増えるばかりの日本の風土は、議員という職業がおいしすぎるから」というテーマでお届けしたいと思います。報酬も待遇もよすぎるので、他人に地盤を明け渡したくないのです。ゆえに、続々と、志も信念も、見識もない、自分の実力で社会を泳いだことのない、ひ弱でカネだけが目当ての世襲議員が続々と登場。それを能天気な国民が、昔からの馴染の顔と名前だからといって、投票してしまいます。日本国民は、もっと頭を冷やすべきでしょうが、肝心のマスメディアが「将来の首相候補」とかで、世襲の議員をもてはやすのですから、もはや「処置ナシ」なのかもしれません。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)
※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年12月19日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。
慣れてしまった「政治とカネ」問題
最近の国政では、自民党の安倍派をはじめ、各派閥の「パーティー券・裏ガネ疑惑」「パーティー券ノルマ超のキックバック」「安倍派は5年で裏金5億円?中抜きも合わせると10億円?」……などなど、毎度おなじみの腐敗の極致である「政治とカネの問題」が騒がれています。
そのせいか、2023年12月17日時点で、岸田内閣の支持率も16%(不支持率79%)まで落ちていますが(毎日新聞調査)、筆者などは、1桁にさえ落ちていないのも、逆にまたすごいな……と思ってしまいます(笑)。
しかし、こうした「政治とカネの問題」も、国民にとっては食傷気味の話題にすぎず、あまりにも毎度のことで、政治家の「カネの亡者」ぶりには「またかよ…」と辟易させられるだけでしょう。
なにしろ、ドロボーに金庫番をさせるような「政治資金規正法」とやらのザル法に頼っているようでは、毎回こうしたスキャンダルが持ち上がるのも必然でしょう。エンドレスに続くのです。
「政治とカネの問題は何とかすべきだ!」などと毎回のように、批判が巻き起こり、政治資金規正法が何度改訂されても、抜け穴づくりが施されます。
そして、それでも国民は懲りることなく、ずーっと自民党に票を入れるので、反日・売国・金の亡者で世襲だらけの自民党政治と、カルト教団輩出の下駄の雪政党・公明党との連立スクラムが続けられます。何も変わらないのです。
自民党を支持する人は、国民の3割程度といわれますが、何しろ有権者の半分しか投票に行きませんから、自民・公明が結局のところ多数を形成します。
野党のメンメンも、自民党の権力が羨ましいのか、与党に近づくような動きをしたりで、情けなく、頼りないことこの上ないので、自民党に票を入れている――という消極派も少なくないのでしょう。
どっちにしろ、非自民・反自民の野党勢力の人材を育てて結集させ、政権をとらせるより、自民党の腐敗政治にピリオドを打つことはできないでしょう。野党もビシッと背筋を伸ばすべきです。
こういう腐敗政治が続いていくと、やがて民主主義が崩壊し、どこぞのフェイク民主主義の独裁国家のようになっていくのでしょう。
自民党議員は「カネの亡者」。日本中で続々と世襲議員が増えるのも、国政も地方政治も「議員待遇」がおいしすぎるから
さて、新聞各紙やテレビでは、自民党派閥の「パー券・裏ガネ」問題が、連日騒がれていますが、この問題を最初に俎上に載せたのは、大手マスメディアではありませんでした。
ここが情けなく、哀しいところですが、このことは今回の騒動でも、しっかり認識しておかないと、いけないところと思います。
なんと、一個人である、神戸学院大学教授の上脇博之氏が長年、政治資金の問題と取り組む中で、このことを明らかにしたのです。
上脇教授は、派閥側が20万円を超えたパーティー券販売の不記載事例(20万円以上は収支報告書に記載義務あり)と、パーティー券購入側の企業や団体の記載事例とを、ことごとく照合したうえで、裏ガネ疑惑を導き出したのです。そして、昨年11月から今年正月にかけて告発状を書き、地検に告発したのが発端だったのです。
折しも、昨年10月には、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も北海道から沖縄までの政治資金収支報告書をチェックした上で上脇教授にも取材したようです。当時、上脇教授の検察への告発に対して、反応した新聞・テレビといったマスメディアはどれだけあったでしょう。答えは、ゼロでした!「しんぶん赤旗・日曜版」だけが、この問題を大々的に取り上げたのです。
どういうことだったのでしょうか。神戸学院大の上脇教授の個人一人だけの告発だけでもなく、「しんぶん赤旗・日曜版」だけのスクープ記事だけでもなく、この両者のコラボがうまく化学反応し、この問題に火をつけ、他のマスメディアが「後追い」して、世間に広がることになったのです。両者の疑惑への詳細な調査と問題意識がタッグを組む形で「しんぶん赤旗」紙上で結実していたからこそ、他の大手メディアも追随して、今回の大騒ぎになったのでした。
本来こういう調査こそ、大手メディアが組織力を動員して、徹底的にやらねばならない仕事のはずだったでしょう。本当に、今の日本のマスメディアは腐りきってしまっています。毎日、省庁の記者クラブで、のうのうと政府発表の資料を貰うだけが仕事なのでしょうか。
旧安倍政権の10年間で、大手新聞や系列テレビ局の社長は、安倍首相ともふつうに会食するようになり、マスメディア幹部が、在職中あるいは退職後の就職先として、政府の審議会委員や大学教授に斡旋してもらうことが当たり前となってきています。
かくしてマスメディアは安倍政権に一切盾突くことができなくなった――というのが真相でしょう。
少子化の中にあって、文科省がFランク大学を粗製乱造してきた不思議な理由もこのへんにあったことは明らかです。役人やマスメディア幹部の退職後の「天下り」先として、「大学教授」を造るためだったわけです(1990年に372校だった私立大学は2022年の620校まで激増させた)。
ちなみに、先進国にあって博士号ももたず、職業経験だけで「大学教授」職に就けるのは日本ぐらいです。どんなポンコツ・Fランク大学でも「大学教授」になれば、年収は最低でも800~1,000万円は確保でき、授業はラクチンで、世間体は偉そうに見えるので、なりたがる官僚やマスコミ人士は数多いるわけです。
つまり、この程度のエサで難なくマスメディアは、権力になびいた――というわけなのです。
Next: 政治家になれば「個人資産」や「一族の資産」を形成するのは簡単
「週刊文春」と「しんぶん赤旗」が頼りの日本のマスメディア!
日本のマスメディアは、すっかり政権と癒着してしまい、もはや、大事なマスメディアの役割である「政権監視」も、「政権批判」もできなくなったというわけです。
ゆえに、他の雑誌メディアのスクープ記事に便乗するしか、新ネタの記事は扱えないのです。
今や、調査報道でスクープを放ち、政界、経済界、芸能界、社会全般の闇をえぐってくれるメディアは、「週刊文春」と「しんぶん赤旗」ぐらいしかない――といった哀しい現実を、私たち日本国民は噛みしめるべきでしょう。
大手のマスメディアは、口をあんぐりあけて、「週刊文春」と「しんぶん赤旗」がスクープを放ってくれるのを、ひたすら待ち受けるだけの、後追い貧困メディアになり下がっているのです。
もちろん、かつての「噂の真相」や「週刊文春」の告発記事であっても、「ジャニーズ性加害問題」はイギリスBBCの告発映像がなければ、日本のマスメディアがそろって無視し続け、スルーしてきたのは記憶に新しいところです。
日本のマスメディアは、権力や強者、スポンサーには、からきし弱く、迎合する――こういう体質で、戦前の「軍部礼賛・大本営発表」垂れ流しシステムに先祖返りしているだけなのです。なーにが、「中立報道」だの、「両論併記の記事」構成でしょうか。タテマエこいてるんじゃねーよ、嘘つくんじゃねーよ!癒着しているだけだろうが!――と罵声を浴びせてやりたいところです。
マスメディアがここまで堕落すれば、たしかに大手新聞などに、カネを払って購読する価値もないので、読者は離れ、大幅に部数を激減させるのも無理からぬところでしょう。
若者たちは、批判も中身もない記事を読むよりも、無料の「Yahooニュースの2~3行記事」だけで、十分ともなるのです。ちなみに、新聞発行部数は過去20年間で2,000万部減少し、10代~30代の新聞購読率は1割台から2割台弱がせいぜい。60代以上がようやく5割にギリギリ届くのがやっとという状況になっています。そして、これから先は、もはや誰も購読しなくなるのかもしれません。
まったく、今日のニッポンの凋落は、旧安倍政権の10年間が、見事にマスメディアにも「トドメ」を刺して、権力批判を封じ込めた時代――としても象徴されるのではないでしょうか。
政治家になれば「個人資産」や「一族の資産」を形成するのは簡単!「カネの亡者」になるために政治家を志す者ばかり
なぜ政治家は、税金の支払いが少なく、どんどん肥え太ることができるのでしょうか。
それは、「10・5・3・1(トー・ゴー・サン・ピン)」の税金捕捉率の語呂合わせ通りだからです。つまり、税務当局はサラリーマンの所得を10割把握、自営業者の所得は5割把握、農林水産業者の所得は3割把握、政治家の所得は1割だけ把握――という構図だからです。
政治家は、ロクに税金も払わずに、私服が肥やせるのです。これはもう、もともと他の先進国の議員と比べて、日本の議員としての報酬や待遇がものすごくよすぎることに加え、政治資金を無税で継承し、議員職を代々世襲できることが大きな要因としてベースにあるからです。そのうえ、政党交付金もタンマリ貰えます。
もちろん、世襲しない場合でも、政治資金をちゃっかりもらった個人もいるにはいます。政治家の夫の「政治資金」という名のカネを2億1,000万円も無税で「継承」し、相続税ゼロで受け取った故・安倍晋三元首相の妻の安倍昭恵氏という人がそうだからです。安倍昭恵氏は、安倍元首相の5つの政治団体のうちの1つ「晋和会」を「私人」でありながら、無税で継承し、他の4つの政治団体のカネをここに寄付させて集約したのでした。
この中には、国民の税金からなる政党交付金(1人当たり250円で年間総額320億円)の受入窓口である「自由民主党山口県第4選挙区支部」からのカネも含まれています。本来、返還されるべき税金原資のカネまでもが、こうした形で個人に帰属してしまいます。
ちなみに、この「晋和会」の相続はこれで2度目であり、故・安倍晋三氏自身が、父親の故・安倍晋太郎元外相から、個人献金として1991年に6億円を無税で継承していたのです。このことは、2007年の第一次安倍政権末期に「週刊現代」が、すでに時効を迎えたものの、個人献金なら「相続税が3億円にものぼる脱税疑獄」だと報じていたものです。本当にタチが悪い政治絡みのカネなのです。
そもそも、政治献金の受け皿となる政治団体は無税で継承できる仕組みなので、当選に有利にはたらく「地盤・カンバン・カバン」の3バン(「地盤」…地元の後援会組織、「看板」…親の代からの知名度、「カバン」…政治資金団体の金)をもつ世襲はそれだけ増殖しやすいのです。バックのない新人候補は、極めて不利なのです。ゆえに自民党の国会議員は、世襲議員が4割にも及ぶのです。
政治資金規正法は、建前上は政治家個人への献金は禁止ですが、政党支部や政治団体(資金管理団体)は議員が事実上支配しています。自前の団体のカネは自分のカネになります。「言葉遊び」にすぎない政治資金規正法の取り扱いにすぎません。こんな見え見えの政治資金規正法の改定がまかり通っているわけです。ゆえに無税でカネが貯えられ、無税で身内個人へも継承されるのです。
06年に「週刊ポスト」が報じて発覚した事件では、小沢一郎衆議院議員の政治団体「陸山会」が、ゼネコンから得た6億円余の政治献金で土地を購入し、小沢氏個人の名義で登記していたことが問題となりました。このように、堂々と政治団体経由で個人資産も形成できるわけなのです。ゼネコンから6億円とは、さすがはかつて「大物」「壊し屋」の異名をとったことのある2代目世襲議員です。いまはなぜか立憲民主党に所属して、古巣の自民党批判を時々やっているようです。
政党は、こうした献金とは別に、国から政党交付金を年間320億円も全体に配分されているのですから、企業・団体献金やその偽装に使われる個人献金なども、どのみち賄賂なのですから、一切禁止すべきなのですが、こうした醜怪な構図はまだまだ続いていくのです。
ちなみに、日本共産党は、憲法違反として政党交付金をこれまで一切受け取っていませんが、こういうバカバカしい「やせ我慢」は意味なし――と筆者は思います。
Next: 日本は異常?国会議員の報酬や待遇はダントツの「世界最高レベル」
国会議員の報酬や待遇はダントツの「世界最高レベル」
ところで、新聞やテレビで、国会議員の報酬が紹介されることがあっても、マスメディアは勝手に忖度して「歳費」の1,553万円分だけしか報じなかったりします。国民が、国会議員の年収が1,500万円程度と勘違いするようにするためです。ここにも大いなる忖度がはたらいています。
マスメディアは、新型コロナ禍で、もっともらしく歳費を2割カットする法案が通ったと報じた際も、月額歳費の129万4,000円(年間1,553万円)が、あたかも議員の全報酬であるかのように印象操作して報じていました。
真実を伝えない悪質な偏向マスメディアなのです。国会議員の報酬は年間1,553万円どころでなく、他の名目での収入も数多くあります。報酬名目だけ、わざと分けているだけです。
歳費の他にも期末手当が635万円、非課税で使途自由の文書通信交通滞在費が毎月100万円で年間1,200万円、議員立法も作らないのに立法事務費が780万円、そのうえ、政党助成金の議員への分け前として1~2,000万円程度も受け取れるのです。
全部合計すると年間6,000万円前後にも及びます。そのうえ、せこいことに公設秘書3人へ、国から支給される給与計約2,400万円分からも何割かを強制的に寄付させる議員が多いというのですから、まさしく国会議員は「カネの亡者」なのです。
口を開けば「政治にはカネがかかる」などとほざきますが、自分の就職活動(選挙)のための日常の裏ガネがかかるというだけの話です。法定規制内での活動をするなら、カネはあり余るはずです。
日本の国会議員の1人当たりの報酬は米国の2倍以上!
国会議員のオイシイところは、報酬だけではありません。
国会そばにある議員会館の事務所家賃、電話代、水道光熱費もタダです。地方出身の議員は赤坂の一等地にある3LDKの議員宿舎にもたったの8.4万円の家賃で住めます。JRの乗車料金やグリーン車もタダで乗り放題、地元が遠方なら往復航空クーポン券も月4回分貰え、マイルまで貯まります。
こんなに高待遇の国会議員が、衆参両院で713人もいるのです。どう見たって多すぎなので、員数合わせでロクでもない人物でも、タレントなどの有名人を立候補させて、派閥の言うとおりの行動をとらせます。
初当選時にこんな人物がインタビューを受けると、見識のなさがバレバレになりますが、なんたって国民が選挙で選んだ「選良」という扱いになるので、バカにできない存在になります。しかも、政権政党・自民党の国会議員は、自分の政治資金集めのパーティー券を企業や団体に売りつけるだけでなく、派閥のパーティー券まで売り捌きます。
今回問題になっている派閥のパーティー券です。企業は買わないと、どんな嫌がらせをされるかわからないので、とりあえず買うしかないのです。そして、派閥のノルマを超えた分の販売金を派閥からキックバックしてもらっていたり、派閥にさえカネを入れずに、無断でポケットに入れ、「中抜き」していた議員もいたというのですから、驚かされるのです。
なぜ、政治資金収支報告書に記載しなかったかといえば、裏ガネだから――ということになるのです。記載すればよいのに、よほど後ろめたくて不記載にしたのでしょう。国会議員の仕事の中心が、民間企業への「利権・口利き」でカネを集めている構図が明瞭なのです。
まるで、ヤクザの「みかじめ料」のような集金であり、それとどう違うのでしょうか。
人口が2億人も多い米国の上下両院の議員数は535人です。日本の713人は、米国以上に議員の人数が多いのですから、心理学の「リンゲルマン効果」が日本では生じているでしょう。自分一人ぐらいは手抜き仕事でも、バレやしないという「集団的手抜き現象」のことなのです。だから、大勢の議員が議場で居眠りしています。
米国の場合、上下両院議員への歳費は17万4,000ドルです。1ドル140円換算なら、2,436万円と大した金額ではありませんが、その他にも別途で、規定の事務所費用と郵送費用が賄われ、立法実務に携わるスタッフは数十人単位で雇える点が日本と大きく異なります。スタッフの人件費は上院で2億円、下院で1億円程度まで認められ、議員が雇うものの身分は公務員扱いです。
当然ですが、これは議会スタッフの人件費であり、日本の国会議員のように国から給与の出る公設秘書から、議員個人に寄付を強要することなどもありません。やったら捕まります。
Next: 県議員は年収2,000万円超?「視察」と称した税金での楽しい海外旅行も
年間80日議会にちょっと顔を出すだけで、県会議員の年収は2,000万円超!「視察」と称して、税金での楽しい海外慰安旅行もついてきます
世襲がゴロゴロ多いのは、地方議員(全国に約3万6,000人)の場合も同じです。地方議員など不要という声も根強くあります。筆者もそう思います。「二元代表制」など機能していないからです。
税金からの報酬目当ての兼業者が多く、年間70~80日程度しか議会に行きません。勉強もしないので行政の知識にも乏しく、首長の提出した条例案は修正されることなく、ほぼ丸呑みで(97%以上)通るのが地方議会です。たまに「議会通信」みたいな自分の宣伝チラシを新聞折込で撒いて、さも議員活動に毎日精励しているかのように装うだけです。
おまけに、議員提案のない地方議会が、全国で9割以上を占めています。地方議会でなく、「痴呆議会」なのです。せいぜい国政選挙の時に、所属政党の国会議員候補者の票の取りまとめの応援に駆り出されて、小遣いをせしめるぐらいなのです。
それでいて、一定数の人口がある自治体の議員報酬は、ものすごい高待遇になっています。都道府県議会議員なら政務活動費を含めて平均2,000万円超えです。市議で平均850万円、町議でも平均400万円です。
例えば埼玉県議(定数95議席)なら歳費が月額92.7万円で政務活動費が月額50万円で年間2,190万円にのぼります。さいたま市議(定数60議席)なら歳費が月額80.7万円、政務活動費が月額34万円で年間1,721万円です。「政務活動費」は、2012年に旧名称の「政務調査費」が改称されて使途が拡大しています。調査研究費、人件費、交通費、研修費、事務所費、広報費などが名目ですが、領収書が必要とされないケースも多く、所詮は「裏給与」「遊興費」と呼ばれます。
昔から地方議会では、歳費や政務活動費を、議員のお手盛りでどんどん上げてきたため、こんな高待遇になったのです。
諸外国では、地方議会は平日の夜開かれたり、一般サラリーマンの無報酬でのボランティアか、せいぜい年間の手当てが50万円以下がふつうです。日本だけが異常なのです。
ちなみに本文中で触れた国会議員の報酬についてですが、個人に入る報酬で世界一高いのはシンガポールです。円換算で1億円超となります。次いで2位が貧困国のナイジェリアで、6,000万円強になります。これまた異常ですが、3位の日本もナイジェリアと変わらない報酬額でしょう。4位がニュージーランドで、5位が米国ですが、いずれも日本円換算でも2,000万円台です。これぐらいがまあ、許せる範囲でしょう。
いかに日本の国会議員や地方議員の報酬や待遇が、異常に優遇されているかが、わかるのです。これらは、みんな議員たちが、お手盛りで議決して、報酬アップを図ってきた結果です。
日本の国会も地方議会もいずれも「会期制」です。ゆえに、会期中だけ議会に出席します。あとは何をやってるか不明です。会期制などやめて「通年制」にすべきでしょう。
都道府県会議員にいたっては、年間たったの80日程度議会に行って、居眠りする程度です。市議会議員でも、70日あれば御の字です。町村議員などは、年間40日程度議会が開かれるだけです。しかも、こうした議会は、朝から夕方まで開かれるわけではありません。いずれの議会の場合でも、平均所要時間は2時間前後です。時給換算するとものすごい高収入です。議上での居眠りの時間を差し引けば、とんでもない超高収入にもなるでしょう。
自民党の国会議員などは、会期中でも、ヤクザ顔負けの「利権・口利き」に精を出しているのでしょうから、「通年制」にして、とにかくそういうことをやれる時間を極力封じてやるべきです。
Next: 興味は一族の特権維持だけ?世襲議員に投票する国民にも問題か
「他人に地盤を明け渡したくない」
とまれ、こんな人たちは、国民の暮らしが苦しかろうと知ったことではないでしょう。口先だけでテキトーなことをいっていればよいとタカをくくっています。
要は、自分や自分たち世襲一族が、カネで潤い、資産形成ができれば御の字と思っていることでしょう。
封建領主になったつもりですから、自分の息子や娘に代々選挙区の地盤を継がせたくなるのです。
というわけで、報酬も待遇もよすぎるので、他人に地盤を明け渡したくないのです。ゆえに、続々と、志も信念も、見識もない、自分の実力で社会を泳いだことのない、ひ弱でカネだけが目当ての世襲議員が続々と登場するのです。
それを能天気な国民が、昔からの馴染の顔と名前だからといって、投票してしまいます。
日本国民は、もっと頭を冷やすべきでしょうが、肝心のマスメディアが「将来の首相候補」とかで、世襲の議員をもてはやすのですから、もはや「処置ナシ」なのかもしれません。 ※2023年12月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は、神樹兵輔氏のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年12月19日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読を ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
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』(2023年12月19日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。