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現代日本に巣食う「絶対貧困」から脱出はできるのか?【鈴木傾城・坂本慎治 特別対談】

最低賃金の議論がなされる間にも、持つものと持たざるものの差はどんどんと広がり、社会の底辺になればなるほど抜け出せない絶対貧困に陥っています。社会の底辺で生きる価値すら見出せなくなった生活困窮者たちは、どのような苦悩を抱えているのでしょうか?生活困窮者に住居提供の支援をするNPO法人生活支援機構ALLの代表・坂本慎治さんに鈴木傾城さんが迫ります。

(今回は、NPO法人生活支援機構ALLの坂本慎治さんと、作家・アルファブロガーの鈴木傾城さんとの対談の一部をお届けします。全編をご覧になりたい方は、鈴木傾城さんが配信している初月無料メルマガ 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編 を2024年12月中にご購読ください。また、本記事は動画でもご視聴いただけます。)

【関連】日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

プロフィール:坂本慎治(さかもと しんじ)
1988年生まれ。大阪府出身。NPO法人生活支援機構ALL・代表理事。大阪居住支援ネットワーク協議会・代表理事。中学卒業後、鳶職を経て某大手賃貸仲介業者へ就職。入社後まもなくNo.1セールスマンに輝く。その一方で生活保護者や障がい者を受け入れない大家に疑問を抱き、25歳の時にNPO法人生活支援機構ALLを立ち上げる。以後、現在までに約1万人もの生活困窮や居住支援の相談にのり、居住支援の第一人者として活躍する。NHKニュース「ほっと関西」、朝日放送テレビ「cast」、TBSドキュメンタリー「解放区」など多数のメディアに出演。著者に『大阪に来たらええやん! 西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』がある。

鈴木傾城が見たシングルマザーの困窮

鈴木傾城(以下:鈴木):みなさん、こんにちは。鈴木傾城と申します。

坂本慎治(以下:坂本):坂本慎治と申します。

鈴木:今日は「絶対貧困から脱出する道はあるのか」というテーマで坂本さんをゲストにお迎えしました。坂本さんは生活困窮者への支援を行うNPO法人「生活支援機構ALL」の代表理事を務め『大阪に来たらええやん! 西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』という本も出されていたりと、そういう活動を大阪のあいりん地区で日々やっておられるという、本当に希有な方なので、その貴重なお話をいろいろ聞きたいと思います。

坂本:はい、もう全然何でも聞いていただければ。

鈴木:ちょっと坂本さんの話に入る前に、1つエピソードがあって。2020年のパンデミックの時に、私は別の取材で所沢に住んでいるシングルマザーの女性に話を聞きに行った時があったんです。彼女は当時コロナで仕事がなくなっていて、解雇されたわけじゃないんですけれども、一時休業でもう来なくていいと言われていたんですね。

その期間、給料は2割ぐらいしかくれなかったんですね。生活が苦しいのに給料2割で仕事がなくて、さらに子どもがいるという状況で、その時に私は取材に行ったんですけれども、もう子どもにおやつを買ってあげたり、ご飯を買ってあげたりすることもできなくて。それで子どもは泣くんですよ。「甘いものが食べたい」「お菓子を食べたい」って。しょうがないから、公園に行ってそこに咲いてる赤い花の蜜をおやつ代わりに舐めさせたんですけど、子どもはお腹が空いてるから、花を吸うだけじゃなくて食べちゃうと。それぐらい酷い状況だったらしいんですね。

だから「生活保護を受けた方がいいんじゃない?」という話をしたんだけれども、女性は「ギリギリになるまで我慢する」「それまで生活保護を受けたくない」と言うんですよ。私から見たら、もうすでにギリギリの状態で、これは危ないんじゃないかというところまで来ているんですけれども、彼女は「受けたくない」「どうしても自分でがんばりたい」ということで……そういう女性がいたんですよね。

坂本:うーん。

鈴木:もしも子どもが病気になって、お医者さんに行ってお金が必要になったら、すでに光熱費すら払えない状況で、そこでもうアウトになってしまうから、それだけが本当に心配……みたいな話をしていて、彼女の抱える不安と恐怖を想うと、その日の夜は眠れなかったんですよ。

そういう印象深い出来事があった後に、私は坂本さんのことを知って「こういう人がいるんだな」「あの女性の話を聞いたときに知っていれば、どうすればいいのかって聞けたのに……」ということで、ずっと注目をしていたんです。今日はこういう機会ということで、いろいろとお話を伺いたいと思うんですけれども、坂本さんはどれぐらい前から今のような活動をやっておられるんですか。

坂本慎治が困窮者支援を立ち上げたきっかけ

坂本:生活支援機構ALLを立ち上げたのは11年前なんですが、それを立ち上げる前に、本当にNPOとしてやっていけるのかということで、3年間ほどは任意団体的な感じでずっと動いていました。で、「これは本当に必要なものだ」っていうのを自分の中でちゃんと確信してから、NPO法人を立ち上げたんです。

鈴木:そうなんですね。それで最初の立ち上げの時に……これは聞いた話なんですが、天王寺かどこかに住むところを無くした母子がいて、本当は断らざる得ないような案件だったのを、上手く支援に繋げることができたことがあって、それが今の活動のきっかけになったということなんですけれども、そういう方々って結構おられるんですかね。

坂本:当時はかなり多かったと思います。今では、僕らのような活動をよくわかっていただいている不動産会社さんも多いんですけど。平成29年ぐらいから「居住支援法人」という法人格が新しく出てき始めて、いま大阪が一番その数が多いんですが、それ以前だと一般の不動産屋の担当者さんから「こういう時どうしたらいいですか?」っていう連絡が頻繁にあって、その都度アドバイスをしていました。

鈴木:しかし、こういう生活に困窮しているような母子が、子どもを抱えたまま住む家を無くすのって、かなり大変なことなんですが、そういった人たちが最近はコロナの影響もあって、すごく増えているんですよね。そんな時に、大阪だったら坂本さんのような人がいらっしゃるからいいですけど、最初に話したような所沢だとか、他の地域に住んでいる場合、どうすればいいんだろうって。

貧困から抜け出せない関東からの相談

坂本:実際、関東からの相談もものすごく多いですよ。

鈴木:大阪の場合は結構特殊だと思うんです。あいりん地区のような生活困窮者にも寛容なエリアがあって、しかも支援してくれる人がいっぱいいると思うんですけれども、関東にはそういう所がないんですよね、なかなか。だからそういった際に、坂本さんのところに連絡が行くっていうことは、やはり大阪に行くしかないってことなんですかね。

坂本:僕はずっと関西なんですけど、関東だとこちらとは違って無料低額宿泊所、俗に“無低”と呼ばれる施設の数が多くて、行政もそういった相談が来た時には、そこに行くようにっていう風に促すことが多いんです。

ただ無料低額宿泊所に行く人たちは、当たり前のように身分証と通帳と印鑑を預けるわけですが、そこでは宿泊費以外にも食事代とかも引かれて、例えば月に十何万円もらえるはずの生活保護費が、実際には手元に1万5,000円ぐらいしか残らない。そうなると本人がいくら「就職がんばろう」「社会復帰がんばろう」と考えても、現実的にはやっぱり無理で、結局は無低にずっと囲い込まれてしまうというか、出られない。

だから、そういう風にがんじがらめにされてしまうんだったら、いっそ大阪に来たらいいと。僕らは無低とかドヤじゃなくて、一般の賃貸住宅で居住支援をやっていますので、例えば就職活動の時でも、履歴書に書く住所がちゃんとしている。……ちゃんとしているという言い方は語弊があるかもしれないですが、無低やドヤの住所じゃないということで、そういった面でも就職がしやすくなるのかなって思っています。

鈴木:なるほど。……でも、なんで大阪だけそれができるんですかね?

坂本:僕からすれば、なぜ他の地域は無低がそんなに多いんだろう?って感じです。

鈴木:やはり貧困ビジネスとか、そういうのと関係しているんですかね?

Next: なぜ貧困から抜け出せないのか?行政が助長する「貧困ビジネス」



生活困窮者に開放すれば空き家問題は解決する

坂本:僕の中で、それが貧困ビジネスだとは断定できないですけれども、そういう風に感じている相談者さんや当事者さんは多いんじゃないですかね。

僕は不動産屋もやっているので、空き家の相談とかにも乗っているんですけど、2033年には3軒に1軒が空き家になるといった予測もあるんです。で、この空き家が多い地域ってどういう地域なのかというと、実は田舎よりも都会なんです。戸数の絶対数が多くて、それらがめちゃくちゃ空きまくっているのに、新築の住宅もバンバン建っているからなんですが、これを活用していく方がいいと思うんです。

あと10年後ぐらいには今以上に空き家だらけになるって状況にも関わらず、無低やドヤのような三畳一間で共同トイレ・共同風呂といったところにみんなで住むっていうのは、僕からすればちょっとおかしいと思うんです。

行政が助長する貧困ビジネス

鈴木:なるほど。それにしても坂本さんがおっしゃるように、業者が生活保護をもらっている人から銀行口座からハンコまでぜんぶ取り上げて、無低からなかなか出ていけないようにしているといったケースが多いのにも関わらず、それを行政がむしろ勧めているというのは、おかしな話というか……。

坂本:僕もなんで見過ごされているのかなって。何かあるんじゃないかって感じてしまうんですけど、こちらとしても言いにくいんですよね。そこを突くのが怖いというか。普通に考えたらわかることじゃないですか、「それじゃあかんな」と。でも、それを行政が推奨して、無低の数を増やしていってるというのは、ちょっと僕の中では怖いなと思うんですよね。

鈴木:それに関してはひとつ噂があって。日本ってホームレスの数が少ないんですよね、世界的に見ても。何でかというと、そういった人たちを全部ドヤとかに入れて、生活保護のうちから少しだけ渡して、なかなか抜け出せないような状態を作るといった、いわゆる貧困ビジネスが横行しているからだと。

でも、それは世間にとっては都合が良いことで、何でかというと、街がホームレスだらけになったら景観が汚れたりするじゃないですか。だからホームレスはいない方が、普通の人にとっては良いんですよ。いうなれば貧困ビジネスが、ホームレスの存在を収容して世間から見えないようにしているという一面もあるという……。

坂本:僕もそういう思惑はあるのかなと思うんですけど。例えばホームレス生活があまりにも長引いて、どうしようもなくなった人たち、僕たちが声を掛けても日本語を忘れちゃってしゃべれないとか、そういったいわば野生化してしまっている人もいるわけで、そういった人たちの保護には僕は大賛成なんですよ。

ただそうじゃなくて、ただ失業しているだけだとか、すぐ社会復帰できるはずの人たちも、無低とかドヤとかに行くしかなくなっている今の状況というのが、おかしいっていうか。そういった人たちは、一般の賃貸住宅みたいなところで居住支援すれば、社会復帰がしやすいんですよ。僕らは身分証明や通帳などを取り上げないですから。

出戻り続出!危ない寮付き派遣

鈴木:ちなみに今、坂本さんのところに助けを求めて来られる方って、どういった層が多いんですか?

坂本:年齢的には40~50代の男性が一番多いです。最近では18歳ぐらいからもどんどん来ていますけど、逆に60~70代とかは少ない。これはなぜかと言うと、高齢になればなるほど他のセーフティーネットが使えるということもありますし、また生活保護を受けるにしても、「もうこの歳から就職するのは無理だろう」ということで、すんなりと通ることが多かったりと、いろいろな制度を活用できてる人が多いんです。

鈴木:なるほど。40~50代で失業して仕事が見つからないといった人が……。

坂本:仕事が全然見つからなかったり、たとえ見つかったとしても寮付きの派遣とかだったりすると。僕はその手のやつは「あかん」って言ってるんですけど。……というのもこれまでの経験上、そういう派遣の仕事に就いたとしても、一瞬は社会復帰を果たすんですけど、ほぼほぼ2~3か月とか1年以内に派遣切りとかに遭って、また生活困窮に陥って戻って来ると。

なかには「仕事があるからおいで」って呼ばれて、住んでるところから離れた遠方に行くんですけど、実際に行ってみたら仕事がなくて、寮費がどんどんかかって逆に借金が増えていく、というのがものすごい多いんです。

鈴木:へぇ、そんなことも。

坂本:前に相談者を京都駅に迎えにいったことがあって……普段は迎えに行くことはしないんですけど。その人は関東に住んでいて、地元で仕事がなくて困っていた時に、京都に寮付きの派遣の仕事があると呼ばれて、行ったらまったく仕事がなかった。

鈴木:仕事がないのに派遣会社は何で呼ぶんですか?

坂本:それがよく分からない。ただ、そういうことが派遣会社のなかでは多々あるみたいで。「呼んだけど無理やった」みたいな。そういった経緯で、よそから大阪に来ている人もめちゃくちゃ多いんですよ。

鈴木:そういう人は、もうお金も住むところもなくなって、どうしようもなくなって坂本さんのところに駆け込んでくるわけですね。

Next: 「助けて」と言えない人も。生活困窮者が避けたがる扶養照会の実状



生活保護は治安維持に必須

坂本:そうです。その時点でもうお金が全然ないですから、それでいま流行っているのが闇バイトですね。人ってやっぱり物が食べれなくなって、お金もなくて、身内も誰も助けてくれなくて孤独ってなった時に、もう悪いことをするか死ぬかって考えになるんですよ。

そういうこともあるから、生活保護制度を活用しやすいようにしておかないと、治安がものすごく悪くなってしまう。だから僕も「生活保護というのは恥ずべきものでもない」。僕たちも病気を患ったりとか、何かあったらそれを頼ることがあるかもしれないから、「そんな偏見の目で見んといてくれ」ということを、ずっと伝えているんですね。

鈴木:さっき話した所沢のシングルマザーも、やはり嫌だと言うんですよ、生活保護を受けたくないと。生活保護を受けると、親にも連絡が行くかもしれないし、児相に子どもを引き離されるかもしれないとかね。だけれども、どう見ても生活保護を受けなきゃ危ないような、そういうギリギリのところまで来ているんですよ、こっちから見ると。彼女はまだ頑張りたいというのだけど、それぐらい生活保護を受けるための心理的なハードルが高いんですよね。

坂本:多分そこは日本全国共通だと思うんですけど、大阪に関してはちょっとユルいと思うんです、感覚的に。僕は「大阪に来たらええやん」と言っている時も日本全国、本当に北海道から沖縄までいろいろなところから相談があったんですね。その中でも、例えば結構な田舎で生活困窮していて、生活保護を実は受けたい気持ちはあるんだけど、世間の目があって受けられない。多分それって周りの環境、育った環境のせいだと思うんですね。それなら、生活保護を受けている人に後ろ指を指すような人間があまりいない大阪で、人生をやり直した方がいいやんっていう……。

生活困窮者が避けたがる扶養照会の実状

鈴木:もう一つは、やっぱり親とか親戚に連絡が行くのが嫌だと。

坂本:扶養照会、嫌ですよね。

鈴木:実際にはそんなに連絡が行かないという話もあるんですけれども……。

坂本:そう。コロナ禍の時期に確か国会か何かで「扶養照会は要らないだろう」という話があってですね。ちょっと記憶が曖昧なんですけど、例えば10年以上連絡を取っていないとか、借金をしている、DVを受けていたということであれば、扶養照会しなくてもいいんじゃないかという話は出てきてたんですけど、ただ現場サイドでいうと、けっこう扶養照会をしている人が多いと思います。

鈴木:あぁ、そうなんですね。

坂本:ただ僕はこの11年間、全国の何万人という人から相談を受けて、居住支援をしてきた実績があるんですけど、この中で扶養照会をして生活保護を却下された人はいないです。生活困窮して生活保護を受けるってなるまでに至った人って、普通はその前に身内とかが助けるじゃないですか、親兄弟、親戚、友達とかが。それが難しいから生活保護を受けようとしているのに、扶養照会しても意味ないですよね。

鈴木:それよりも、自分が困窮しているのを知られるのが嫌なんですよ。親に自分の苦境を知られるのが嫌とか。そういう人って、大体親の絆ってあまり強くないわけじゃないですか。強くないところにそういう連絡がいって、自分が恥ずかしいとか落ち込むとか、自分はダメなんだというのを再確認するような、そういう気持ちになるから、どうしても連絡だけはしてほしくないっていうのがあるんですよね。

なかでも微妙なのが、たまに親とかと連絡は取り合うんですけれども、自分のことは一切言わない、困っているというのも言わないで、逆に「いや、大丈夫、大丈夫」という、そういう人。「大丈夫、大丈夫」と言いながら、本当に大丈夫じゃないという。

坂本:一番救ってあげたいタイプですよね。そういう声を上げられない人っていうのは、本当に難しい。

Next: 若者にも広がる貧困…保護した困窮者が突然いなくなったらどうなる?



若者にも広がる生活困窮

鈴木:だから、扶養照会って結構キツイなと思っているんですよね。それが生活保護を受けたくない一番の理由になっているんじゃないかなという気はします。

あと、自分が困っているのを見せたくないというので、若者もネットカフェで暮らしたりしているわけですね。ネットカフェ難民って昔は結構騒がれて、最近ぜんぜん言われなくなっているんですけれども、実際にはもう大久保とか行くと結構いたりするんですよ。

坂本:そうでしょうね。

鈴木:彼らも仕事は日雇いなんですが、ぜんぜん食っていけない。で、そういったネットカフェには女性専用のフロアというのもあって、女性とかもそこに家もない状態でいるわけ。もうホームレス寸前ですよね、隠れホームレス。

そういった人たちも、本当は生活保護とかを受けた方がいいんですけれども、やっぱり受けたくないと。それで夜の街に立ったりして、売っちゃいけないものを売ったりしているわけですよ。そういうところで、社会の底辺に対して何かちょっと今の日本の行政とか社会って、冷たいなという気はするんですよ。

坂本:大阪でも“グリ下”とかに、そういう子がいっぱいいますね。ただ大阪の場合、そういったところに支援しているNPO団体が別にありますので、そういうのでまだかなり助かっているのかなと。

鈴木:さきほど、18歳とかそういう若い子も相談に来るという話がありましたが、どういった境遇が多いんですか。

坂本:だいたい親から虐待されていたというのが多いですね。児童養護施設出身の子たちとか……。

鈴木:なるほど、機能不全家庭ですよね。そういう人たちを支援するのって、また違った困難があるものなんですか。

坂本:確かに生活保護は一時的には受けてもらいたいというのはあるんですけど、そこから社会復帰するとなった時に、実は収入が生活保護とあまり変わらないということもあって。若いうちに生活保護を知っちゃうと、がんばる気力が失せちゃうってこともあるんですよね。だから、僕も中卒なんですけど、僕でもこういうふうに社会でちゃんと役立ってがんばれているんだよということを、背中を見せていくしかないなと。

鈴木:なるほど。やはり若い子って生活保護を受けると、何もしなくてもこのままでいた方が逆にお金を楽にもらえていいんだというのがあって、どんどん怠惰になっていく。そういうところに問題があると。

坂本:人生って死ぬほど苦労したりとか、死ぬほど仕事したりとか、いろいろな場面があるわけなんですけど、そういう苦労をするからこそ、それを達成するからこそ、次のステップに上がれるっていうか、見える世界が変わってくると思うんですけど。

でも実際、生活保護を受けてると、例えば大阪の場合だと単身者だと月々11万5,000円あたりもらえるんですけど、社会復帰してバイトをがんばっても、若いからできる仕事も限られることもあって、月8万ぐらいがせいぜいで、それなら生活保護を受けてたほうがいいってなりますよね。

鈴木:確かにそうなりますよね。しかし、坂本さんはそういう若い人たちにも住居支援をしていると。

坂本:もちろん。

飛んでしまったらどうするのか?

鈴木:そういう社会的な信用もなく、保証人もないっていう若者にも、坂本さんが仲介に入って貸しているわけですけど、もしも彼らが飛んだりしたら、坂本さんがぜんぶ負担するわけですよね。

坂本:そうですね、今までそういうことが何百回とあります。

鈴木:そういうので活動が嫌になったりといったことは無いですか。

坂本:まあ、生活困窮して生活保護を受けないといけない人たちは、住居も借りられない人たちということを、僕はもともとわかっているんで。人生の歯車が合わない人たちというか、自分なりにがんばってるんだけど、世間や周りとかとうまくいかないとか。それを僕もわかっているので、もし何かあったとしても、僕はぜんぶ飲み込めるよっていう器量を持ってやってます。確かに逃げられた時には「くそー」とは思うけど、同時に「しゃぁないな」って。

ただ、1回飛んでダメだったらまた帰ってくる人もいるんですが、そういう人には「ウチはもう無理」って言います。以前は受け入れていたんですけど、そういう人を受け入れたせいで、ちゃんと家賃も払ってここでがんばっていこうと言っている人たちに、迷惑がかかったということもあるので。一旦そういうふうに飛んでぐちゃぐちゃにした人に関しては、「ちょっと僕はもう受け入れませんよ」というのは言ってます。

鈴木:冷静に考えてみれば、助けてくれる人って結構少ないと思うんですよね。それこそ坂本さんのように、無償でそこまでやってくれる人なんていないと思うんですよ。なのにそこを飛んで、1人で何かやっていけると考えているんですかね。

坂本:まぁ、どうにかなると思ってるんでしょうけど、どうにもならないから結構な頻度で戻ってくるわけで。ただ生活保護っていうのは、いくら飛ぼうが何しようが……例えば大阪で受けてて、そこから飛んで東京で再申請しますと言ってもできますからね。なかには「ここで飛んだら、お前一生、生活保護は受けられへんぞ」とか脅してくる人もいるんですけど、実際はそうじゃない。

その代わり返済義務があれば、返済しないといけないですが、ただし例えば、大阪で生活保護を支給されている時に、ぜんぶ一式を持って逃げました。で、そのお金で例えば北海道に行って、また生活困窮したら、そこで生活保護を申請できる世の中なんです、この日本というのは――

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2024年1月配信分
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2023年12月配信分
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  • 800万円の配当3%は24万円。「コレ」ができる人は800万円持っているのと同じ(12/24)
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2023年11月配信分
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  • 日本は先行き真っ暗かもしれないが、視野を広げれば資本主義の旨みが手に入る?(11/19)
  • 今の日本は不調なドイツにすらも追い抜かれるくらい政治家の無能が際立っている(11/12)
  • 政府が無能な時代の最強のライフスタイルとは?楽しみながら何をすべきなのか?(11/5)

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2023年10月配信分
  • 富裕層でないのであれば、消費地獄を逆に利用するライフスタイルを持つといい(10/29)
  • 情報過多で自滅してしまう人は多い。よけいな情報に振り回されのが最大の害悪(10/22)
  • 戦争・紛争・不景気。不安定な世の中ではどのように振る舞うのが合理的なのか?(10/15)
  • イスラエルの紛争は第三次世界大戦になるのか。金融市場の結論は「ならない」だ(10/12)
  • 今後、「日本が復活できない未来」に思考の比重を移して準備しておく必要もある(10/8)
  • 100%完全なる不労所得があるのに、ほとんどの日本人はそれにアクセスしない(10/1)

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2023年9月配信分
  • 経済が悪化して人々の阿鼻叫喚が最大に達したときが、もっとも素晴らしいとき(9/24)
  • 明日は今日よりも良くなる?日本人でも無能な日本政府に付き合う義務なんかない(9/17)
  • 中国に排除されて売られているアップル株だが「売り」の判断は本当に正しいのか?(9/10)
  • いずれ日本もインフレが起きて円の資産は目減りするので、どうすればいいのか?(9/3)

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2023年8月配信分
  • 心配無用。最近も言われている「アメリカはもう終わり」に恐れることはない理由(8/27)
  • 年間2万円の出費だけで株式売買を年間200回して経験値を上げる方法もある?(8/20)
  • 馬鹿で無能な政治家が運営する日本にカネを預けて一緒に苦境に落ちるのは愚か(8/13)
  • 【VTI】へ投資をしていると投資情報に触れることも人によっては「毒」になる?(8/6)

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2023年7月配信分
  • 今の日本社会が崩れ落ちてぐちゃぐちゃになったら、それで得する日本人もいる?(7/30)
  • アンダークラスでも100万円を貯めるのは可能だ。やるべきことはただひとつだけ(7/23)
  • 投資家としての自覚が完全に欠落してしまったほうが実はいいのかもしれない?(7/16)
  • 今までの「ろくでもない政治」が続き、衰退するばかり日本をどう見捨てるべきか?(7/9)
  • 「貯金している人が損する時代が2022年から来ている」ということを知ってるか?(7/2)

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2023年6月配信分
  • 「貯蓄から投資へ」というのは「自分たちで金を何とかしろ」という棄民政策か?(6/25)
  • 日本政府と財界が仕掛けている血も涙もないワナを理解して生き残りを図ればいい(6/18)
  • 凋落していく日本から脱出できない場合、すべきことはマネタイズともう1つのこと(6/11)
  • 日経平均が3万1000円を超えて上昇しているが、鈴木傾城はどう考えるのか答える(6/4)

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2023年5月配信分
  • 今日のメルマガは、1億円突破のシングルマザーさん含め、質問だけひたすら答えます(5/28)
  • 社会を不安定化させる経済格差。超富裕層と低所得層の違いはどうなっているか?(5/21)
  • 時が来たら行動できるかどうかが重要なのであって、予測は思うほど重要ではない(5/14)
  • 日本に期待しないので「日本と自分を切り離す努力が必要」と思う人が増えている(5/7)

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2023年4月配信分
  • 円の価値が喪失する理由。資産逃避どころか日本人の脱出も静かに進行していた?(4/30)
  • 今こそ考えろ。馬鹿な政治家・無能な官僚と一緒に沈むほど虚しい人生はない(4/23)
  • 「金のことを考えたくないから金が欲しい」のであれば、考えない投資が一番いい(4/16)
  • 円しか持っていなければ、その時点で超絶的な悲劇から立ち直れなくなる理由とは?(4/9)
  • 2020年代はいよいよ「先進国としての日本」の終わり?(質問コーナー始めました)(4/2)

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2023年3月配信分
  • この10年で日本が変われないのであれば、次の10年は「この現象」がやってくる?(3/26)
  • 金融市場の大混乱がやってくる。うまく立ち回りたいのであれば今がチャンスの時(3/19)
  • 時代を変える人工知能。関連する企業に今すぐに投資することで儲けられるか?(3/12)
  • 首相自ら「日本が社会的機能を維持できなくなる瀬戸際」と言うのが日本の現状(3/5)

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2023年2月配信分
  • 為替レート。素朴で単純で誰でも理解できる「たった1つの問い」で資産が増える?(2/26)
  • あなたは「10万円を3回10倍にして手っ取り早く1億円ゲット」を実現できるか?(2/19)
  • 「損したくない」という気持ちがあまりにも強すぎる人が逆に大損するメカニズム(2/12)
  • 現金を持っていたら目減りする時代に入った。やるべきことと気をつけるべきこと(2/5)

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2023年1月配信分
  • リストラが増えて世の中が悲惨になっていくのだが、それを喜んでいる存在がある(1/29)
  • 「衰退を止められない日本でいかに生き残るのか?」がテーマになったと理解せよ(1/22)
  • 株式市場の暴落の大底は景気後退《リセッション》の期間中に来る確率が高い?(1/15)
  • 2023年は実体経済がボロボロになるので、ぼんやり寝てないで「Jカーブ」に乗れ(1/8)
  • 日本が先進国から一気に途上国に転落するくらいの悲劇的な凋落もあり得る理由(1/1)

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2022年12月配信分
  • 苦しかった2022年の日本。しかし2023年はますますヤバい年になってしまう?(12/25)
  • 日本が変われないのであれば「2022年は終わりの始まりだった」と歴史に残る?(12/18)
  • 岸田政権はもう見込みがないのは言うまでもないのだが、もっと悪いことがある(12/11)
  • 2023年は楽勝ではない。しかしこの年がどうなろうとやっておくべきたった1つのこと(12/4)

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2022年11月配信分
  • 2023年。いよいよキャピタル・フライトをすべき最適な時期が来たと考えるべき(11/27)
  • 日本人は崖から落ちようとしているのに止められないバスに乗っているようなもの(11/20)
  • 2023年に景気後退《リセッション》は到来する。この悲惨の中で世間と逆行する?(11/13)
  • あらゆるデータ・社会問題が日本の衰退を示す。やるべきことはたった1つしかない(11/6)

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2022年10月配信分
  • ボロボロになっていく株式市場と景気後退の到来危機の今、考えるべき大事なこと(10/30)
  • 経済的にも政治的にも駄目になっていく日本。その中で重要になるたった1つの考え方(10/23)
  • 景気後退が避けられないのであれば、まだまだ様子見に徹した方がいいのだろうか?(10/16)
  • 混乱に突入。株価下落、リセッション、債務・金融危機、スタグフレーション……(10/9)
  • 日本は何らかの奇跡でも起こらない限り破綻まっしぐらなので、それを前提に生きる(10/2)

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2022年9月配信分
  • クライマックスはこれからやってくる。不測の事態に立ち向かう最も効果的な方法(9/25)
  • 政治が期待できないなら資産として円を持ち続けることに不安や恐怖を感じるべき(9/18)
  • 周期的に経済ショックと株式市場の暴落がくるが、最終的にはどうしたらいい?(9/11)
  • チャンスをつかむために「これ」を自分の生活から排除する練習を今からしておけ(9/4)

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2022年8月配信分
  • 2022年は生活をダウングレードし、安いジャンクフードでも食って寝ていればいい(8/28)
  • もう日本は駄目かもしれないと心の中で不安がよぎるなら、やっておくべきこと(8/21)
  • 株式市場では、本当においしい局面だけに顔を出して弱っている相手と戦えばいい(8/14)
  • 日本という国はもう時間切れ。期待しても無駄なので自分の力だけで何とか生き残れ(8/7)

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2022年7月配信分
  • 社会情勢は十分に悪化しつつある。あなたは波乱の空気を感じ取れているだろうか?(7/31)
  • 日本政府が信用できないと思う人は、そろそろ日本政府を見捨てる準備をしておけ(7/24)
  • 国民は「経済的な衰退を止められない自民党」を大勝させたが、これからどうする?(7/17)
  • 安倍晋三という巨大な存在が消えて、これから日本経済がどうなるのかを考えよ(7/10)
  • 阿鼻叫喚の中で正しい行動をするというのは意外に難しいことを、あなたは知る(7/3)

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2022年6月配信分
  • 暴落の足音。そろそろ次の暴落のことや、その時の戦略のことを考える時期に来た(6/26)
  • 株式大暴落の予兆。リセッションという言葉が頻出するようになったら気をつけよ(6/19)
  • 私たちはこれからも税金を取られまくり、衰退する国の中で生きなければならない(6/12)
  • 株式市場が死屍累々となったら、私は墓場から抜け出して株式を買いまくりたい(6/5)

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2022年5月配信分
  • ヤバい時代がやってくる。ひとりひとりの人格を尊重する社会は地獄を生み出す(5/29)
  • 「物価高・経済縮小・増税」の三重苦。この時代で最も効率的なサバイバルは?(5/22)
  • 吹き飛ぶレバナス、一夜で価値がゼロになる仮想通貨。愚かな人間と自爆するな(5/15)
  • 「資産所得倍増プラン」みたいな話が続くようであれば、何をする必要があるのか?(5/8)
  • 国民からカネを吸い上げる搾取マシーンと化した日本政府には何も期待するな(5/1)

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2022年4月配信分
  • 株式の暴落の合図は点灯したので、心して次のショックを迎える心の準備が必要だ(4/24)
  • 資本主義の社会でしたたかに生き延びたかったら、視点をこのように切り替える(4/17)
  • 逆イールドが発生すると株式市場で起こることを理解して、パニックにはなるな(4/10)
  • 最終的には、国家の衰退は円安を進行させる。だから、今こそすべきことがある(4/3)

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2022年3月配信分
  • 円安によってどんどん物価上昇が鮮明になっていくが、円安で狂喜乱舞する人とは?(3/27)
  • 【号外】新著『亡国トラップ ─多文化共生─』発売中! 多文化共生は亡国に至る罠(トラップ)ではないのか?(3/21)
  • 世の中の混乱が深まっている中、「自分の身は自分で守る」ための30項目を改めて振り返る(3/20)
  • 起業にも投資にもまったく興味がなく、ほどほどの収入の人はどう生きるべきか?(3/13)
  • 金融経済も実体経済も悪化して波乱の真っ只中。しかし勘違いしてはいけないこと(3/6)

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2022年2月配信分
  • 不況の時代は不況に合わせた生き方に転換せよ。それが合理的なライフスタイルだ(2/27)
  • 今は何もしないで、もがいていた連中が討ち死にするのをのんびり見ながら過ごせ(2/20)
  • 「インフレ=経済成長」と勘違いするな。日本社会がそうならないのは理由がある(2/13)
  • 経済状況が悪化したら真っ先に首が絞まるのは誰か? 生き残る戦略とは何か?(2/6)

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2022年1月配信分
  • 能力のない人間は死ねと言っているような社会で実体経済も金融経済も悪化している(1/30)
  • 今後の数ヶ月、株式市場も実体経済もどんどん悪化するのに何をするというのか?(1/23)
  • 覚悟しろ。コロナ・インフレ・利上げ・株式市場悪化、そして新たな悪材料の登場(1/16)
  • 今年は自爆が多発する年になる? しかし、本当に怖い自爆は日本の社会が生み出す(1/9)
  • 2022年始動。瀬戸際に立つ日本の「危険極まりない情勢」をディープに取り上げたい(1/2)

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年8月1日)。
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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