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東亜建設工業、新中計発表、2035年度に売上高5,000億円を目指す 人材獲得と早期育成に注力し事業拡大を見込む

中期経営計画〈2026-2028〉説明会

木村章氏(以下、木村):経営管理本部副本部長の木村です。本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。

今回、2027年3月期から2029年3月期の中期経営計画を公表しました。前回の2024年3月期から2026年3月期の中期経営計画は、事業戦略と人材戦略を融合しながら成長する姿を示したものでした。「中期経営計画〈2026-2028〉」では、社会の要請に応えつつ、人材と事業を連動させて成長を図る姿を示しています。

なお、事業戦略と人材戦略を一層融合させていくことを社内に浸透させるために、5月の決算発表を待つのではなく、3月に発表しました。3月から社内周知を行い、より早くスタートを切るために公表したという趣旨になります。

Index

スライドには、本日ご説明する内容を記載しています。

I-1. 基本方針 ①2035年度に目指す事業規模

まず、10年後の2036年3月期にどのような事業規模を目指しているかについてお話しします。2024年3月期から2026年3月期の3年間で、連結従業員数は1,945名から2,160名まで増加し、売上高は2,838億円から3,450億円まで、計画を大きく上回る水準で確保することができました。

スライド右側に記載のとおり、2036年3月期は連結従業員数を2,800名に増やし、売上高を5,000億円、営業利益を300億円まで伸ばしていくことを目指しています。最終的には、1人当たり売上高を2026年3月期の約1億6,000万円から1億8,000万円に引き上げたいと考えています。

マイルストーンとしては、中期経営計画最終年度である2029年3月期に、連結従業員数を2,450名、売上高を3,800億円まで伸ばすことを目指します。

具体的な方針としては、人員の増加と生産性の向上を図りながら、人材育成と確保を進めることで事業規模を着実に拡大させていきます。その中で、大きなトラブルを発生させることなく計画どおりに利益を確保するため、地域密着型でお客さまに寄り添いながら、良質な社会インフラなどを建設することで社会に貢献します。また、現場支援体制の強化を通じて、安全および品質面の管理を徹底することを柱としています。

I-1. 基本方針 ②事業戦略とサステナビリティ戦略の融合

事業戦略とサステナビリティ戦略の融合も必要だと考えています。スライド左側にお示ししている外部環境としては、安全保障問題やインフラの老朽化といった、当社にとって追い風となるような外部環境の変化も見られます。

一方で、人材不足、金利上昇や為替変動、建設業界特有の作業員の高齢化や技術継承不足といった外部環境の変化は必ずしもプラスの要因とはいえず、その中に潜むリスクを慎重に読み解いていく必要があります。

そのような中で、事業戦略とサステナビリティ戦略を融合させながら、マテリアリティ(重要課題)の各テーマに取り組んでいきます。このうち、人材戦略は特に重要であるため、色をつけて強調しています。一方で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略や安全・品質の確保、その他のサステナビリティ戦略についても重要であると考えています。詳細は資料後半に添付しているので、併せてご確認ください。

最終的には、社会の要請に応えつつ、人材と事業の成長を結びつけることを目指しています。

I-2. 財務数値・要員計画(2028年度・2035年度)

目指すべき財務数値と要員計画についてです。市場環境は良好です。国内土木事業では、防衛関連予算や国土強靱化関連といった公共投資が引き続き堅調に推移する見込みです。民間分野についても、土木領域でカーボンニュートラルやエネルギー関連の大型プロジェクトが期待できます。

一方で、国内建築事業では、金利上昇や為替変動の影響により、民間投資が抑制される懸念があります。そのため、民間工事主体の国内建築分野において、長期的に安定した社会公共分野の比重を高める必要があると考えています。

海外事業については、ODA(Official Development Assistance)が一定の比率を占めていますが、長期的に不透明な部分もあります。このため、安定的に事業量を確保できるシンガポールなどでの事業を強化し、案件が豊富なエリアで強みを堅持していく必要があると考えています。

そのような市場環境の中で、人材の獲得と生産性向上を目指していきます。連結従業員数については、先ほどお話ししたとおりです。また、若手社員の早期育成に加えて、DXをさらに推進し、生産性の向上を図っていきます。

さらに、中期経営計画で目指す姿として、2036年3月期に国内土木事業2,000億円、国内建築事業2,000億円、海外事業800億円、連結で5,000億円の売上高を目指します。また、中期経営計画の最終年度である2029年3月期には、国内土木事業1,600億円、国内建築事業1,300億円、海外事業750億円の売上高を目標としています。

II-1. 前中期経営計画の総括 業績・財務KPI

前中期経営計画の総括と、計画を大きく超過することができた要因となる外部環境・内部環境が、2027年3月期から2029年3月期の「中期経営計画〈2026-2028〉」にどのようにつながっていくかをご説明します。

スライドに記載のとおり、従業員数は2,000名の目標に対して2,160名の見通しとなっており、計画を大きく超過しています。売上高・営業利益・当期純利益も、それぞれ2,670億円、120億円、80億円の目標に対して、3,450億円、231億円、178億円の見通しと、大きく超過しています。

結果として、ROEは2026年3月期に16パーセント程度確保できる見込みで、目標としていた8パーセント以上を大きく上回ることができました。

II-1. 前中期経営計画の総括 業績・財務KPI

計画値を超える利益を達成したことで、総還元額も大きく上回る結果となりました。当初目標として、3年間累計での総還元性向を70パーセント程度、総還元額を約150億円としていましたが、利益向上に伴い配当を増やし、EPSを上げるため自己株式を取得しました。それらの総合的な結果として、3年間累計で約130億円上回る約280億円を還元でき、総還元性向は現状65パーセント程度を確保できていると認識しています。

投資については、おおむね当初計画を達成できたと考えています。ただし、事業領域拡大については、M&A案件を進めたいと考えていたもののなかなか良い案件に結びつかず、当初計画の50億円、もしくは2025年5月13日に修正した100億円には遠く及ばない17億円にとどまりました。一方、人材開発については大きく計画を上回る結果となりました。

II-2. 外部環境・内部環境

このような良好な結果を得ることができた外部環境・内部環境についてご説明します。スライド左側のグラフをご覧いただくと、国内土木事業のうち、公共事業関係費は堅調に推移していることがおわかりいただけると思います。

「第1次国土強靱化実施中期計画」については、2026年から2030年までの期間を対象としており、令和8年度から5ヶ年で予算規模20兆円強程度と明記されています。前回の計画が約15兆円規模だったことから、今回も大きな伸びが期待されています。

国内土木事業だけでなく国内建築事業にも関わる防衛省施設強靱化予算については、2022年3月期から2023年3月期に約2,000億円規模だったものが、国家防衛戦略による計画で2028年3月期までに4兆円規模へと大幅に拡大する見込みで、当社にとって追い風となりました。

国内建築事業については、従来は100億円を超える大型建築案件の実績がありませんでしたが、2024年3月期から2026年3月期にかけて、生産性の高い平均200億円弱の大型建築案件を5件受注することができました。生産性の高い案件を複数受注できたことで、2023年3月期に531億円だった国内建築事業の売上高は、2024年3月期から2026年3月期までの3年間平均で954億円と大幅に増加しました。

海外事業については、拠点を構えるシンガポールで2024年3月期から2026年3月期にかけて大型の港湾工事案件を多数受注しています。

このような受注環境や市場環境は、「中期経営計画〈2026-2028〉」でも継続すると見込んでいます。

II-2. 外部環境・内部環境

内部環境についてです。先ほどお話ししたとおり、要員を増やすことができました。スライド左側には、採用した社員から見た当社について記載しています。「インフラ整備に携わり社会貢献できる」「若手が海外で活躍できる」「給料が良い」「海の工事が得意」などの要素が追い風となり、2026年3月期には144名の総合職を採用できる見込みです。

また、採用だけでなく育成も着実に進捗しており、35歳以下の若手で作業所長を務める社員は20名に到達しています。

III-1. 部門別戦略 ①国内土木 事業戦略

「中期経営計画〈2026-2028〉」期間中の部門別戦略と財務戦略、サステナビリティ戦略について、ポイントをご説明します。

まず、国内土木事業についてです。港湾や空港などの得意分野は、国土強靱化等の影響もあって引き続き堅調に推移すると考えています。そのため、新規事業に加えリニューアル事業の増加に備えて専門部署を新設した他、防衛・米軍施設などの成長分野の拡大に備えて沖縄支店を新設しました。

長期的には、陸上分野を伸ばすことでも売上高を拡大する方針です。これまでは大きな案件に最注力してきましたが、中規模案件にも積極的に取り組み、経験者を増やす体制を進めていきたいと考えています。

また、アンモニアや水素といった新エネルギー、カーボンニュートラル、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)、洋上風力の建設事業など、新分野にもチャレンジする考えです。

これらに取り組むことで、10年後の2036年3月期に売上高2,000億円を目指しています。

III-1. 部門別戦略 ①国内土木 人材戦略・生産性向上策

国内土木事業における人材戦略についてです。1億円から5億円程度の現場を担当する作業所長、5億円から20億円程度の現場を担当する作業所長、20億円以上の現場を担当する作業所長と、段階を踏んだ育成が必要になります。

作業所の現場運営スキルを向上させるため、このような社員を計画的に育成します。具体的には、研修の再構築や前倒し、リスキリングなどを通じて、若手作業所長ならびに現場要員の育成に取り組んでいきます。

また、将来的に一定規模の対応が必要となることから、陸上工事の経験者も増やしていきます。

加えて、若手作業所長が増えることが予想される中で、経験値の少ない若手作業所長を統括・育成できる経験豊富な工事長が所属支店の枠を超えて支援する体制を整備していきます。

さらに、自社船を運営する関係会社と連携し、自社船の運営が可能な職員や作業船員を確保していきます。

一方、DXによる現場改革として、主要工種での省人化やAIを活用した安全管理・施工管理を推進し、生産性の向上を実現します。

III-1. 部門別戦略 ②国内建築 事業戦略

国内建築事業では、当社の強みである冷蔵倉庫分野に特に注力します。冷蔵倉庫技術支援室を新設し、さらなる差別化を推進するとともに、若手社員を育成し知見を継承することで、10年後も強みを維持することを目指しています。

先ほどお話しした防衛省施設強靱化関連については、ECI(Early Contractor Involvement)の形式で駐屯地の整備案件が多数進行しています。これらに加え、当社が得意とするPFIや医療福祉分野の案件に注力し安定的な受注を確保する方針です。このため、社会公共営業部を新設し、さらなる取り組みを進めています。

加えて、国内土木事業と国内建築事業の連携は、当社にとって重要な基盤と考えています。特に優位性のある湾岸地区の企業や物件を切り口に、土木と建築が連携して取り組むことで、建築での新規顧客の開拓を目指しています。

また、請負からは少し離れますが、関係会社と連携しながら、不動産開発やリニューアル案件、さらには外部との協力を通じて、建物管理業務への領域拡大を図っていきます。

III-1. 部門別戦略 ②国内建築 人材戦略・生産性向上策

国内建築事業の人材戦略・生産性向上策についてです。当事業では建築人材戦略部を新設し、人材戦略を主導する体制としています。

建築分野は最も成長が求められる分野であるため、現場運営の中核を担うミドル層を増やしていく必要があります。即戦力のキャリア採用を進めることに加え、シニア社員の積極的な活躍や若手社員の成長を促すことで、中核人材を補完していきます。

また、採用活動の強化や離職防止を目的とした処遇の見直しを推進することで、直接・間接要員も確保します。

さらに、技術の継承を図るため、OJTを強化するとともに、冷蔵倉庫や給食センター、マンションなどに関する技術資料を整理し、より実践的な教育に取り組みたいと考えています。

一方、DXによる業務効率化や工事支援部の新設による現場業務の削減、工場生産・プレキャスト・標準化といった取り組みを通じた施工プロセスの効率化も進めていきます。

III-1. 部門別戦略 ③海外 事業戦略

海外事業については、土木分野で従来の強みを活かしつつ、注力地域を明確にした上で建築分野を着実に拡大します。2026年3月期の売上高は860億円の見込みですが、若干実力をオーバーしている部分もあります。このため、リスク体制の強化と安定的な成長を両軸で進めていくことで、2029年3月期には750億円、2036年3月期に800億円を目指します。

具体的には、土木分野ではシンガポールなど強いエリアでの業務を維持し、建築分野では現地法人を中心として着実な事業拡大を進めていきます。

III-1. 部門別戦略 ③海外 人材戦略・生産性向上策

海外事業については、日本人社員と国際人材(外国人社員)の2本立てで持続可能な人材基盤の構築を図ります。具体的には、人材戦略部門を新設し、採用数の確保に加え、日本人社員と国際人材の双方を育成します。また、国内各部門とも連携しながら、DXを推進して生産性の向上に取り組んでいきます。

III-1. 部門別戦略 ④人材戦略(経営管理本部)

経営管理本部の人材戦略としては、事業戦略に合わせて各事業部門で必要な人材戦略を検討していきます。各事業部門の人材戦略部門との橋渡しを行いながら、全社横断で人材戦略を推進していきます。具体的には、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)を推進し、女性社員、外国人社員、障がい者など多様な人材の活躍を促進します。なお、シニア社員のキャリアパスや処遇体系の見直しについては、経営管理本部の人材戦略部門が主導し、全社的な取り組みとして実施します。

その他にも、従業員のエンゲージメントを高めて企業価値の向上を図ります。

III-1. 部門別戦略 ⑤DX戦略

DX戦略についてです。業務改革例として、現場では従来、15現場分を毎月15時間かけて紙の日誌を作成していました。この作業のRPA(Robotic Process Automation)化を進めたことで、15現場分を毎月11時間で処理できるようになり、毎月4時間の作業時間削減に成功しました。

また、支店総務課では、派遣会社から届く請求書の確認作業を、従来は目視確認と手動での入力で毎月7時間費やしていましたが、RPA化により作業時間をゼロにすることができました。

このように、各拠点でさまざまなかたちで削減を進めており、良好事例を社内で水平展開して共有しています。RPA化による業務改革については、さらに進めていきたいと考えています。

加えて、データベース(DB)を構造化し、AIを活用して過去の知見を継承できるようにするとともに、経営や生産性に関するデータを経営に活用する取り組みについても一層推進していきたいと考えています。

III-1. 部門別戦略 ⑤DX戦略

具体的な取り組みをご紹介します。スライド右側の図に記載しているDX戦略部では、単に戦略を立案するだけでなく、各支店や本社各部門にDX推進人材を配置し、それぞれの良好事例を吸い上げて水平展開しながら、分権型の支援・推進体制を整え、活動を加速させることを目指しています。

また、全体的なデジタルリテラシーの向上も推進しています。デジタルリテラシーが低い社員に対しては研修などでサポートする一方で、意欲が高い社員はDX推進人材として抜擢し、DXのさらなる推進を図っていきます。

III-2. 財務戦略 ①現状認識

財務戦略における現状認識についてご説明します。資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、株主資本コストなどについてさまざまな検討を行っています。

PBRは1倍を下回る水準で推移していましたが、持続的な利益成長の実現と市場との対話を通じて改善を図った結果、2026年3月期中に3倍前後の水準まで向上しました。現時点ではやや低い水準にありますが、アナリストによるカバレッジの拡大や市場での認知が進展していることが要因と考えています。

また、国債利回りが急騰する中で、当社の株主資本コストは現状おおむね7パーセントから8パーセント程度まで上昇していると認識しています。ROEが株主資本コストを安定的に上回るよう、ROE10パーセント以上の継続を目指し、弱点を補強していきたいと考えています。

III-2. 財務戦略 ②主要財務KPI

主要財務KPIのうち、ROEについては先ほどお話ししたとおりです。配当については、安定的な配当を確保するため、配当性向を40パーセント以上とし、利益が向上した場合には充実した株主還元を行いたいと考えています。

自己資本比率については、建設業各社の状況を参考にし、35パーセント程度を確保することが適切であろうと判断しました。また、社債の格付けを維持する目標も掲げています。

D/Eレシオについては、協力会社への支払条件の早期化に取り組むことを考慮しつつも0.7以下を目安とし、最適な資本構成を維持します。その上で、将来の成長につながる事業投資を積極的に実施したいと考えています。

政策保有株式については、これまで計画的に縮減してきました。想定以上の株価上昇が見られるものの、引き続き縮減を進め、当中期経営計画期間中に対連結純資産比率を10パーセント未満とする目標を継続します。

III-2. 財務戦略 ③キャッシュアロケーション

キャッシュアロケーションです。当中期経営計画期間の投資計画額は500億円、そのうち期間費用として170億円を見込んでおり、期間費用を除いたバランスシートについては、330億円を想定しています。

キャッシュインでは営業利益を主たる財源としていますが、政策保有株式の縮減や遊休土地の有効活用といった保有資産の最適化に加え、健全な資本構成を前提とした安定的な資金調達手段を確保していく方針です。また、前中期経営計画期間中に計画を上回った利益を財源として活用しつつ、株主還元と投資計画へバランス良く配分していく考えです。

スライド右側の株主還元に関する記載のうち、2つ目の自己株式の取得については、今後の事業環境や財務状況を踏まえ、株主還元の一環として機動的に実施することを検討しています。

III-2. 財務戦略 ④投資計画

投資計画についてです。500億円の内訳として、人的資本投資や機構改革に80億円を割り当てる考えです。その他、作業船など当社の強みを活かした競争力強化を含め、設備投資として170億円を実施したいと考えています。

また、不動産開発投資、DX関連投資、技術研究開発投資、サステナビリティ戦略投資などを考慮し、成長投資に250億円、経営基盤強化に250億円を割り当て、3年間累計で500億円の投資を目指す方針です。

M&A投資については案件ごとにリスクとリターンを精査し、十分な審議を行った上で、投資計画とは別枠で実施する方針で考えています。

投資計画(技術研究開発投資)①海底資源開発

研究開発投資の内訳です。技術研究開発センター内の資源・エネルギーグループでは、レアアース泥を含めた海底資源開発に向けた研究開発にも取り組んでいます。

投資計画(技術研究開発投資)②生産性向上

生産性の向上も1つの切り口となっています。スライドにある浮遊ケーソンの動揺低減技術やプレキャスト桟橋施工合理化工法、作業船の遠隔操縦・自動運転システムなど、生産性向上に資する研究開発にも取り組んでいます。

III-3. サステナビリティ戦略 ①カーボンニュートラル

サステナビリティ戦略についてです。まず、カーボンニュートラルについてご説明します。Scope1+Scope2におけるGHG排出量については、2031年3月期目標を1.5℃目標に見直しました。これにより、2021年3月期比で44パーセントの削減を目指します。また、Scope3については2051年3月期目標としてネットゼロ目標を新たに設定しました。

III-3. サステナビリティ戦略 ①カーボンニュートラル

ロードマップ実現の移行計画についてです。スライドのグラフのとおり、従来は省エネ施工や生産性向上に頼ってきました。しかし、スライド右側にお示ししているように、当社所有のポンプ浚渫船で従来燃料とバイオ混合燃料の比較検証を実施するなど、代替燃料の比重をさらに増やしながら移行計画の成功を目指していきたいと考えています。

III-3. サステナビリティ戦略 ②安全・品質の確保

安全・品質の確保は非常に重要なテーマだと考えています。施工支援の拠点を現場に近づけ、安全・品質面での現場支援を強化します。また、AIを活用して過去の災害やトラブル事例を予防に役立てるなど、デジタルも活用しながら安全・品質を確保していきます。

スライドには、拠点を現場に近づける例を3つ記載しています。1つ目は、能登震災復興工事の現場支援をしやすくすることを考慮し、北陸支店を富山に移転しました。2つ目は、沖縄支店を新設しました。3つ目は、東日本エリアでの土建一体体制を構築しました。

その他、デジタルを活用した知見の継承として、過去の災害・トラブル事例をDB化し、AIを活用して類似事例を抽出し、予防に役立てるようにしています。このような事例は、当社にとってある種の財産といえる存在になりつつあります。

III-3. サステナビリティ戦略 ③サプライチェーンマネジメント

サプライチェーンマネジメントについてです。協力会社との関係は非常に重要だと考えています。このため、国内建築事業では、協力会社との連携組織を発足させ、長期的なパートナーシップ構築や技術者育成のための共同投資を進めています。また、採用活動での連携や技術交流、ノウハウの共有などもさらに一歩前進させていきたいと考えています。

国内土木事業では、協力会社の社員向け教育プログラムの策定と実施を通じて、社員同士の交流を深め、協力会社社員と当社社員がともに成長していく意識を育んでいきたいと考えています。

経営管理本部では、協力会社を対象に人権や労働安全衛生などに関する調査や研修を行うことで支援を図り、さらに支払条件の短縮といった施策を通じて、信頼関係の構築に努めていきたいと考えています。

III-3. サステナビリティ戦略 ④リスクマネジメント

リスクマネジメントについてです。当社は数年前から事業規模が急速に成長しています。そのような中で、社外取締役が取締役会で過半数を占め、かつ社外取締役が議長を務めるなど、ガバナンスについてさまざまなかたちで事業の拡大に伴うリスクを検討してきました。

リスクマネジメントについてはさらに深く取り組む必要があると考えています。当社グループは、スライドの3つのラインから成るリスク管理体制を構築しています。具体的には、リスクマネジメント小委員会を新設し、サステナビリティ委員会で審議すべき全社重要リスク一覧を取りまとめる仕組みを構築しました。リスクマネジメント小委員会は、外部機関と連携しながら将来のリスクへの対応を強化し、事業拡大に伴うリスクにも対応していく方針です。

III-3. サステナビリティ戦略 ⑤未財務KPI

当中期経営計画から、「非財務」という表現ではなく「未財務」と記載しています。まだ財務諸表には反映していませんが、いずれ必ず財務諸表に反映する項目です。サステナビリティ項目をKPIに設定し、さまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。詳細は後ほどご覧いただければと思います。

ご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:営業利益率の停滞要因について

質問者:利益目標についておうかがいします。2026年3月期の水準はやや良すぎた面があるため、2029年3月期にはやや減少する見通しなのかと思います。しかしながら、それ以上に気になるのは、2036年3月期の営業利益率目標が6パーセントと、2024年3月期・2025年3月期・2026年3月期を下回るっていることが気になります。

生産性を向上させる中で、なぜ営業利益率が向上しないのでしょうか? 国内建築事業の比重が高まることが要因でしょうか? それとも他の要因があるのでしょうか?

木村:2026年3月期の営業利益率は、当期で終了する国内土木事業で1件、海外事業で1件の特殊な大型高採算案件が非常に大きく貢献しています。

一方、将来については同様の大型高採算案件がないという仮定のもと、保守的に見積もっています。そのため、営業利益率が必ずしも上がっていません。

質疑応答:M&A戦略について

質問者:M&Aについてです。業界全体でさまざまな動きが見られる中で、どのようなM&A戦略をお考えでしょうか?

木村:現時点では人員の増加と生産性の向上に成長の軸を置いているものの、必ずしもM&Aを行わないということではありません。

これまでは地場の小規模会社のM&Aでもかまわないという考え方のもとで、あまり大きな金額を用意していませんでした。今後は、コンプライアンス意識がしっかりしている、もしくは一部上場企業で親会社が建設事業でない会社を対象に、カーブアウト案件を継続的に狙う方針です。そのため、1件当たりの金額がこれまでよりも大きくなる可能性があると考えています。

ただし、当中期経営計画ではそのような案件を見込まず、オーガニックな成長を軸としています。M&Aについては、常に注視して良い案件があればターゲットとして検討していく方針です。資金調達で十分に対応可能と見込んでいることから、当中期経営計画では別枠で取り組む形式を取りました。

質疑応答:M&Aの対象について

質問者:M&Aの対象としては、国内建築事業を強化できる分野ということでしょうか?

木村:国内建築事業は大きく成長させなければならない分野であり、現在最もギャップが大きい部分です。そのため、可能であればそのような分野を狙っていきたいと考えています。

ただし、先ほどお話しした文脈とは異なりますが、例えば海外事業の建築分野の展開を目指す際には海外の設備業者のM&Aも視野に入れる必要があると考えており、その場合は小規模企業を対象とすることも選択肢の1つといえるでしょう。

質疑応答:2029年3月期目標における各事業の営業利益率について

質問者:先ほどご説明いただいた営業利益率についてです。2029年3月期中期目標について、国内土木事業、国内建築事業、海外事業それぞれの営業利益率はどれくらいを前提にしていますか?

また、それを踏まえた上で、先ほどおっしゃっていたギャップについてもご説明いただきたいです。前提をおうかがいしないと判断が難しい面がありますが、それでも改善が見込めそうであるとのことから、それぞれの分野についてどのあたりを保守的に見ているのかご教示いただきたいです。

木村:各事業の営業利益率について、具体的な数値については差し控えます。ただし、国内土木事業については、先ほどご説明した一部高採算案件を除いた水準を見込んでおり、現状の延長線上から大きく下がることはないと考えています。

一方、国内建築事業については、若干の上昇を見込んでいます。これは、お客さまとの折衝が引き続き有利に進むと予測しているためです。

海外事業については、2026年3月期は実力以上の部分が見られるため、その点を考慮してかなり控えめに見ているとお考えください。

質問者:2026年3月期の営業利益率の計画値は、国内土木事業で14パーセント、国内建築事業で10.5パーセント、海外事業で8パーセントであることから、2029年3月期の営業利益率は、国内土木事業が同程度、国内建築事業は2026年3月期計画より上回り、海外事業は低くなるという認識でよろしいでしょうか?

木村:そのような認識でよいかと思います。

質疑応答:レアアース事業化の時間軸について

質問者:スライドのレアアース泥に関する質問です。最近注目を集めているレアアースの分野において、御社のビジネスチャンスとなり得るものとしてはどのようなものが考えられますか? また、案件の獲得が視野に入っている場合、どの程度の時間軸を想定していますか?

木村:本格的な事業化は、10年後など長期になると考えています。その際には、レアアースそのものの事業展開だけでなく、南鳥島の残渣を処分するなどさまざまな取り組みを視野に入れる必要があるでしょう。そのような場所での埋め立てなどが本格化すれば利益が上がると考えています。ただし、現時点では、まだ先のことだと思っています。

直近ではさまざまなプロジェクトが進んでいますが、守秘義務を伴う案件や、営業戦略上の理由から開示できない事項もあるため、詳細をお伝えできないことをご理解いただければ幸いです。

質疑応答:設備投資および不動産開発投資の詳細について

質問者:スライドでは、設備投資が170億円、不動産開発投資が100億円とありますが、それぞれどのようなものを計画されているのか、詳細を教えていただきたいです。

設備投資については本社新社屋関連の費用が含まれていると思いますが、不動産開発投資についてはどのような用途のものを検討されていますか?

木村:設備投資には本社新社屋のスマートオフィス化が含まれていますが、どちらかというと本業である土木の作業船関連にも重点を置いています。具体的には、作業船の設備に手を入れる必要があると認識しており、数百億円を一度に使うというよりも、数十億円規模の投資を複数行うイメージです。これらが設備投資の中心になると考えています。

不動産開発投資については、規模としてはそれほど大きくありませんが、関係会社の東亜リアテックと開発事業に取り組んでいます。具体的には、東亜リアテックがデベロッパーと組んで土地を仕入れ、仕入れた土地の建築工事を当社が請け負うというかたちです。

東亜リアテックについては、その後の開発事業において、利益をデベロッパーと分け合うビジネスモデルを採用しています。そのため、土地や不動産を仕入れるかたちでの不動産開発投資を100億円として計画しています。

質問者:設備投資の船舶投資については、将来的に洋上風力分野への参入も視野に入れていると理解してよいでしょうか? それとも、そこまでは具体的に考えていないということでしょうか?

木村:例えばSEP船については稼働できる領域を拡大する投資を考えています。それが、結果的に洋上風力にもつながる投資となる可能性は十分にあると考えています。

いずれにしても、船舶関連についてはさまざまな手を加えていく必要があると考えていますが、それ以外はまだ確定していません。

質疑応答:国内土木事業・国内建築事業の事業戦略について

質問者:国内土木事業および国内建築事業の事業戦略について、それぞれ4つから5つ挙げていらっしゃいますが、特に伸びそうな項目について詳細をご説明いただけますか?

木村:防衛関連の分野は、国内土木事業と国内建築事業ともに非常に重要なターゲットになると考えています。その他に、ここでは言及していませんが、国内土木事業については、この10年程度のスパンで見るとインフラ整備が進んでいくと考えています。

現時点での大型案件としては、阪神高速湾岸線の西伸部を2026年3月期に受注しています。また、高速道路の湾岸エリアへの進出については、千葉の京葉道路や下関北九州道路といったプロジェクトがある程度浮上しています。10年間のスパンで考えると、羽田空港のE滑走路についても視野に入ってくるかと思います。

当面は防衛関連ですが、10年間のスパンで考えると、社会インフラについても国内土木事業に含まれてくると考えています。

国内建築事業では、防衛関連案件の比重が高くなっていくとみています。例えば、現在ECIの形式で進められている駐屯地整備事業があります。これは約10年間、1つの駐屯地当たり約500億円から1,000億円規模で進められるものです。

このような案件については、安定的に受注が確保できることが強みです。まだ受注には至っていませんが、当社としてもいくつかトライしています。案件は引き続き豊富であり、これらは今後のターゲットとなると考えています。

マルチテナント型ドライ倉庫の受注はあと2年間分程度がすでに見えています。その後は金利の影響で不透明な部分もあります。一方、冷蔵倉庫についてはマルチテナント型とは施主が異なることもあり、堅調に推移すると考えています。100億円を超える案件も引き続き見込まれています。

これら確実に見えている案件に対して、着実に取り組んでいく方針です。

質問者:国内土木事業の防衛関連の分野は詳細をお話しできない部分も多いと思いますが、可能な範囲で教えていただけますか?

木村:具体的な時期などについてはお話しできませんが、那覇軍港の移設といった大型プロジェクトがまだ残っています。

また、キャンプ・シュワブについても、おそらくまだ始まったばかりで、あと7年から8年は続くと思います。南西諸島関連の案件については、それなりの量があるだろうと考えています。

質疑応答:SEP船の現在の状況について

質問者:作業船についてお聞きします。御社と大林組で作業台船(SEP船)を建造されたと思いますが、現在の状況について教えてください。

木村:守秘義務があるため具体的な内容はお答えできません。ただし現在、オペレーション&メンテナンス(O&M)を中心に進めています。当社と大林組が建造した船は大型とはいえませんが、例えば落雷等による破損したブレードの交換や風況観測などで中型のSEP船を活用するニーズも高い状況です。そのため、多角的に営業活動を展開するとともに、洋上風力から範囲を広げて遠隔離島でも対応できるように近海仕様への変更を予定しています。マーケットを広げつつ、一般工事にも活用するなど、多面的に取り組んでいるところです。

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