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参院選受け日経平均601円大幅高、東京市場の「独り立ち」は始まるか(7/11)=櫻井英明

参院選明け11日(月)の株価は大幅高。7月19日(火)からは先物取引時間が拡大され、東証マザーズ先物も上場する。昼間は午前8時45分~午後3時15分、夜間は午後4時30分~午前5時30分と、朝はシンガポールよりも早く、夜間はNYの引けよりも夏時間では30分遅い。これを機に他国の先物市場を気にした他力本願が消滅して欲しいものだ。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)

日経平均株価終値は前週末比601.84円高の15,708.82円

参院選明けの東京株式市場は大幅高

機械受注など関係なく指数は上昇。本稿執筆時点で日経平均株価は15,600円台まで復活、SQ値15,311円を上回った。気になる窓は7月4日の15,553円を抜いた。その先は6月9日の16,496円、さらに先に6月1日の16,926円と空いている。地道に窓を閉める作業を続けないと酷暑に襲われることになる。
※編注:11日(月)の日経平均株価終値は601.84円高の15,708.82円となった

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週末のNYダウは前日比250ドル高。15年5月に付けた過去最高値(18,312ドル)にあと165ドルまで迫った。S&P500も2,129.90ポイント。過去最高値は2,134ポイント。NASDAQも4,956ポイント。過去最高値は5,231ポイント。日経平均を持ち出すと鬼が笑うかも知れないが、過去最高値は38,915円。レベルの違いが残念ながら歴然としている。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日足(SBI証券提供)

「株高・債券高が共存する現在の市場。FRBの利上げ開始で幕引きしたはずだった金融相場の様相を再び帯び始めた」とは日経ヴェリタスのコメントである。

繰り返しになるかも知れないが、米利上げは株高への一里塚のはず。QE3の終焉も利上げ開始も悪材料とはならず、むしろ株価は最高値。金利のない世界に繁栄はないことの証左でもあろうか。マイナス金利においてもや、という感じである。

どうなる7月日銀会合

視線を国内に転じれば、日銀金融政策決定会合はどうなるのだろう。

不安定さ増す世界の金融市場で、安定剤となっているのが緩和期待。日銀もまた、7月の金融政策決定会合での動きが注視されている。市場では日銀は7月会合で追加緩和に踏み切るとの見方が大勢。もっとも日銀が自ら自信をもってカードを切るのではない。圧力をかわせずに緩和に追い込まれるという格好。今回も日銀は動かないとの見方も残る。政府は秋に補正予算まとめる。金融政策と財政政策を同時に放ち、市場へのインパクト強めるなら9月会合が適当と。多くの声や見方がある。

7月9日上げの特異日は土曜で休場だったが、9日を挟んだ週末週初は日米共に株高。20日が満月でFOMCは26~27日。その7月26日は下げの特異日。日銀金融政策決定会合は28~29日。その29日(金)は上げの特異日。

特異日が金融政策を左右する訳はない。しかし、FOMCで下げて日銀金融政策決定会合で上げるシナリオとも読みたいところ。本来は追加の金融緩和でなく、マイナス金利の撤廃の方が望ましいと考えるが…。

Next: 7/19先物取引時間拡大で日本市場は「独り立ち」できるか?



日本取引所、先物の取引時間延長

もうひとつのイベントは、日本取引所7月19日(火)の先物取引時間拡大。同日、東証マザーズ先物も上場する。午前8時45分~午後3時15分。夜間は午後4時30分~午前5時30分。朝はシンガポールよりも早く、夜間はNYの引けよりも夏時間では30分遅い。自国市場ではなく他国の先物市場を気にした他力本願が消滅して欲しいもの。自分の市場は自分で決めるのは世界の常識。ようやく自立と自律の時代がやってきそうな気配。

自立できていない証拠は先週の主要市場の値動き。上昇1位はベトナムで週間騰落率2.87%。2位中国で1.90%、3位ブラジルで1.74%、4位米国で1.10%。ワーストワンが日本のマイナス3.67%。ワースト2位が南アフリカマイナス2.38%、ワースト3位ポーランドマイナス2.24%。

日本が最悪だったという事実への認識は薄いのだろうが、やはり「どこか変」。週末の先物手口。225はソジェン、クレディ、メリル、パリバの買いに三菱と日興、野村の売り。TOPIXはクレディ、メリル、モルスタ、野村の買いにみずほ、バークレイズの売り。ほぼ外資の買いと国内系の売り手口。他人のせいではなく、自分のせいでもあるような気がする。アムロが枚数だけは多いものの、終わってみればポジションはニュートラル。高みの見物に揺れ動かされただけという印象が残った。

ちなみに、FXが導入されたのが98年春。あそこから株はFXとコモデティの子分や奴隷になってしまったような気がする。自立と挫折の青春像にだって未来はあると信じたいもの。嘘をついていいのが為替の世界。戦争までターゲットにするのがコモデティの世界。そんな相手に規制でがんじがらめに縛られて牙を抜かれた株の世界が戦える筈はないのだろう。残念ながら…。

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「兜町カタリスト」』(2016年7月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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