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ククレブ Research Memo(3):2026年8月期の業績見通しは売上高の上方修正を発表

■ククレブ・アドバイザーズの業績動向

3. 2026年8月期の業績見通し
2026年8月期の連結業績は、売上高で前期比174.0%増の7,000百万円、営業利益で同79.4%増の1,100百万円、経常利益で同74.4%増の1,044百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同57.1%増の700百万円となる見通しである。期初計画に対し、各利益予想は据え置いた一方で、売上高については2,300百万円の上方修正を発表した。

売上高を上方修正した主な理由は、世界情勢や金融環境の不透明感が高まるなか、第4四半期に予定していた利益率の高い不動産仲介案件において、期ズレの発生リスクを考慮したためである。同リスクへの対策として、増資で調達した資金により取得済みの販売用不動産を第4四半期中に売却し、B/S活用型不動産投資の売上見通しを引き上げる措置を講じた。この結果、売上構成比において同投資の割合が前期の60%から76%に上昇するため、全体の営業利益率については低下する見込みだ。

なお、期ズレのリスクを想定した案件は取引実績のある顧客であり、現段階では期ズレは確定していないが、過去の取引傾向を踏まえ、保守的な判断を下した。したがって、当該案件が予定どおり第4四半期に計上された場合には、営業利益ベースで2億円強の上振れ要因となる見通しである。

第3四半期の業績については、売上高が前年同期比609.2%増の2,231百万円、営業利益が同4,025.5%増の434百万円とする期初計画を据え置いた。売上高の大半を占める大型案件の計上を4月までに完了していることから、おおむね計画どおりに推移する蓋然性は高い。なお、第4四半期の業績については、売上高が前年同期比559.1%増の3,860百万円、営業利益が同580.1%増の508百万円と計画しており、2026年8月期の連結業績は大幅に下期偏重になる計画だ。同社は事業成長の過程にあり、大型案件の計上時期が顧客ニーズに連動するため、四半期業績は大きく変動する傾向にある。したがって、同社の収益状況や成長性を評価するにあたっては、通期ベースの実績及び計画を注視する必要がある。

(1) HAZMAT倉庫開発プロジェクト
第3四半期の大型案件の1つとして北海道北広島市のHAZMAT※倉庫開発用地の売却を2026年3月に実施した。売却先は同社のパートナー企業であるエムエル・エステート(株)、事業会社1社及び同社が出資する特定目的会社の開発TMKである。物件は既に着工しており、2027年4月末の竣工を予定している。開発中のプロジェクトマネジメント業務を同社が受託するほか、竣工後はマスターリース方式による一括賃貸借契約を通じて賃貸収入を獲得し、最終的には投資ファンドへの売却によるキャピタルゲインをねらうスキームを構築している。北海道ではRapidus(株)の最先端半導体工場が2027年にも本格稼働する見通しで、製造に必要となる特殊化学薬品などの保管ニーズに対応する。北海道内にはHAZMAT倉庫が少ないことから、既に多くの引き合いを得ており、稼働開始直後から高い稼働率が見込まれる。

※ HAZMATとは危険物(Hazardous Materials)を指す。HAZMAT倉庫は関連法規に準拠し、これらの物質を安全に保管・取り扱うために設計された倉庫である。具体例として半導体・蓄電池などの材料が挙げられる。

HAZMAT倉庫の開発プロジェクトについては今後も積極的に展開を予定している。2026年1月には、熊本県内での半導体工場増設に伴う需要拡大を見据え、(株)ecoプロパティーズとの共同開発プロジェクト(2028年7月竣工予定)に着手することを発表した。同案件は竣工後に投資ファンドへの売却を予定している。そのほかにも、候補案件として兵庫県や岐阜県、熊本県の候補地3件で提案活動を行っている。今後、国策として半導体や蓄電池などの産業育成が進むなか、賃貸型のHAZMAT倉庫の需要の拡大が予想され、中長期的な収益拡大に寄与するものと期待される。

(2) 保有物件のバリューアッドの取り組み
連結子会社である各務原プロパティ(株)が保有する工場において、食堂棟の建て替え工事と太陽光パネルの敷設工事を実施することを2026年3月に発表した。老朽化した食堂棟の建て替えによる物件価値の向上(バリューアッド)と、テナント企業及びその従業員の利便性・快適性の向上を両立することを目的としている。竣工時期は2026年12月、設備投資額は1億円を予定している。今回の建て替えに伴い、賃料及びNOI※の向上が見込まれる。同社は今後も、保有不動産については所有するだけにとどまらず、積極的なバリューアッドを通じて不動産価値の向上を図ったうえで売却し、収益の最大化に取り組む方針である。

※ NOI(Net Operating Income)=年間賃料収入×(1-空室率)+雑収入-年間運営費。

(3) 不動産テックビジネスの動向
不動産テックビジネスでは、2026年4月にココペリと業務提携契約を締結した。ココペリが提供する金融機関向けビジネスマッチング管理サービス「BMポータル」と、同社が提供する「ククレブ マッチングボックス※」をシステム連携し、地域金融機関及び地域企業との不動産マッチング強化に向けた仕組みを構築する。「BMポータル」は中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」におけるサービスラインナップの1つで、金融機関のビジネスマッチング業務をオンラインで一元管理するサービスである。半年から1年以内をめどに「BMポータル」へ「ククレブ マッチングボックス」を実装し、これまで導入検討に時間を要していた金融機関への導入を促進する。従来より「BMポータル」でも不動産マッチングに対する高い需要があり、同社のシステムの導入によってこれらのニーズの取り込みをねらう。

※ 社内の膨大な売買・賃貸借情報を一元管理し、スコアリングによってマッチング状況を可視化する、自社専用の不動産関連情報管理ツール。

「ククレブ マッチングボックス」の地域金融機関への導入はこれまでも注力してきたが、金融機関特有の慎重な社内調整が導入の障壁となり、導入社数は6社(提案済み22社、商談中3社)にとどまるなどリードタイムの長さが課題となっていた。今回、既に76の金融機関(同時点)が導入しているココペリの「Big Advance」のサービスラインナップに加わることで、各行の導入ハードルは従来よりも容易になるといったメリットがあり、2027年8月期以降にその効果が顕在化するものと期待される。

同社は従来、地域金融機関向けビジネスとして「ククレブ マッチングボックス」の提供によるサブスクリプション売上の拡大を見込んでいたが、今回の業務提携により金融機関が保有する不動産情報と同社が保有する不動産情報をマッチングすることが可能となった。これにより、不動産仲介サービスによる収益機会も創出される。また、これまで金融機関向けに割いていた営業リソースをCREソリューションビジネスへ再配置も可能となり、収益成長を促進する取り組みとして注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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