ツインバードは4月14日、2026年2月期通期決算を発表した。売上高が前期比10.5%減の89.98億円、営業損失が8.55億円(前期は0.04億円の利益)、経常損失が8.96億円(同0.42億円の利益)、当期純損失が12.18億円(同1.01億円の損失)となった。国内家電市場における節約志向の高まりや異業種参入、海外メーカーの台頭による市場競争激化に伴い、特にエントリークラスの家庭用冷蔵庫・洗濯機が厳しい環境に直面。同社は採算悪化や倉庫・物流コストの負担を背景に事業縮小を決断し、製品・部材の廃棄費用や棚卸資産評価損3.56億円などの抜本的な事業構造改革費用を計上した。将来の黒字化と収益構造改善に向けたこれらの一時的損失の計上が主な減益要因であり、足元では収益性の高いビジネスや商品群への転換を確実に実行している。
家電製品事業の売上高は前期比10.6%減の86.11億円、セグメント損失は0.90億円(前期は6.64億円の利益)となった。厳しい市場環境が続く一方、同社の強みである高付加価値な「匠プレミアム」ラインは極めて堅調に推移している。燕三条の職人技術をミルの刃に活用し、豆を均等に挽くことができる代表製品の「全自動コーヒーメーカー」は、価格を上回る価値を体感できる製品として顧客から非常に高い評価を獲得。「匠ブランジェトースター」とともに牽引している。さらに、日本美容界のトップクリエイターと共同開発した「匠クラフトドライヤー」を、BtoBtoCの新規販路である美容室ルートや卸業者を通じて他店舗へ拡販を開始。2月から開始した韓国市場での「匠プレミアム」展開も現地で非常に強い反響を得ており、関連店舗での展開推進に加え、今後は東南アジアへの拡販計画と営業も進めている。また、さらなる収益拡大の余地を残すBtoBチャネルも強化しており、ホテルチェーンへの直接販売や客室サイズに合わせた新製品開発を行う業務用小型冷蔵庫、住宅設備ルートでの浴室テレビ、大手半導体製造装置メーカー向け金属床材の受注獲得など、チャネル戦略の再設計により構造改革に伴う減収の補完と収益性改善を図っている。
FPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)事業の売上高は前期比8.4%減の3.87億円、セグメント利益は同84.0%減の0.19億円となった。米国の通商政策の影響による主要取引先の在庫計画見直しから受注が一時的に停滞したことが響いたが、同社は今後の成長が見込める医薬・バイオ分野を重点領域として位置付けている。世界保健機関(WHO)の医療機材品質認証(PQS)を取得した実績を活かし、今年秋に販売を予定している「-80℃可搬式小型フリーザーボックス」の新製品投入に向けて商談等を順調に進めている。従来の冷凍機OEM供給から付加価値の高い完成品ビジネスへのシフトを進め、新規輸出1万者支援プログラムも活用しながら、グローバルな需要獲得に向けた基盤を強化している。
2027年2月期通期の業績予想については、売上高が前期比6.7%増の96.00億円、営業利益が1.00億円、経常利益が0.75億円、当期純利益が0.45億円を見込み、黒字化を目指す方針を掲げている。一昨年12月に導入した新基幹システムが1年を経て運用安定期に入ったことから、今後はその効果を本格的に活かした生産性向上とローコストオペレーションを徹底し、FPSC事業の新型フリーザーボックス開発や家電製品事業の自社EC強化などの成長分野へ戦略的投資を優先配分する。財務面では当期の大幅な損失計上後も自己資本比率66.1%と高い安全性を維持している。株主還元については、DOE(自己資本配当率)1.5%以上の安定確保を基本方針としており、投資家への約束通り当期の年間配当は13円(前期比維持、中間3円・期末10円、DOE2.2%)を予定し、進行期も同額を維持する計画である。現状の2期連続最終損失を真摯に受け止め、まずは徹底した業績改善によって株価および企業価値の向上に邁進する構えである。