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テノックス Research Memo(4):豊富なラインナップや「織り込む力」などが強み

■テノックスの事業概要

2. 強みとビジネスモデル
同社の最大の強みは、このように自社開発してきた豊富な施工ラインナップにある。子会社の工事技能者集団や各種機材による、安全確実な工事進行など施工力も強みである。ほかにも、営業基盤やバリューチェーンの拡充、既製コンクリート杭工事の再強化など事業領域の拡大や施工力の強化、新たな技術開発や住宅市場領域の取り入れを積極的に推進している。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムに確認できる施工管理システム「VCCS」、テノコラム工法において材齢1日で28日後の強度を予測する「促進養生システム」など、システムによって高い品質が維持されていることも同社の強みである。なお、リアルタイムで施工状況を確認できるシステムについてはテノコラム、TN-X、ガンテツパイル、テノキューブで採用しており、新基幹システムと連携することで施工計画や現場管理の精度向上にも活用する方針である。同社はこうした強みを磨き込むことで、人口減少などにより将来予想される建設市場規模縮小のリスクにも対応していく考えである。

ところで、建築・土木構造物の建設は、通常ゼネコンが下請けを取り仕切って進めている。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから注文を受けるが、基礎工事は最初にして最も重要な工程であるため、ゼネコンが発注する前に設計業者(設計コンサルタント、設計事務所)から技術提案の引き合いが直接来ることが多い。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンが専業企業である同社に発注し、工事完了後に同社がゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社のビジネスモデルは、商流上はゼネコンの下請けだが、バリューチェーンという観点からは設計から施工、引き渡しまで一貫して関与することになる。そして、こうしたバリューチェーンのなかで設計業者にいち早く技術アピールや工法提案をすることができるため、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、その分ゼネコンからの発注を受ける機会も増えているようだ。同社はこれを「織り込む力」と呼び、同社ビジネスモデル上の大きな強みとなっている。

■業績動向

北海道新幹線延伸事業ピークアウトも2ケタ増益

1. 2026年3月期の業績動向
2026年3月期の業績は、売上高が21,093百万円(前期比11.1%減)、営業利益が1,289百万円(同15.6%増)、経常利益が1,331百万円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が939百万円(同25.4%増)となった。期初予想との比較では、売上高で2,406百万円の未達、営業利益で389百万円の過達となった。大型の土木プロジェクトから安定した収益の建築事業へと売上高の中心がシフトする期となったため、売上高は厳しく見えるが、受注高は高水準、売上総利益率も最高水準と、実態は非常に順調な決算だったと言える。

日本経済は、所得環境の改善や訪日外国人の増加、新政権による積極的な財政政策への期待を背景に株価が上昇するなど、緩やかな回復基調で推移した。一方で、継続的な物価上昇、米国の通商政策、イラン情勢の悪化による原油問題など、国内外の経済の先行きは依然として不透明な状況が続いた。建設業界においては、工場着工床面積の減少やデータセンター市場の規模拡大など強弱はあったが、公共投資、民間投資ともに緩やかながら増加し、建設需要全体としては底堅く推移した。一方で、建設資材価格の高止まりに加えて、現場従事者の高齢化・人手不足・時間外労働の上限規制などの構造的な課題も引き続き残された。

こうした環境下、同社は、中期経営計画に沿って重要戦略を推進した。この結果、大型の地盤改良工事が増加したものの、北海道新幹線延伸事業の大型杭工事が減少したため、売上高は減少することとなった(北海道新幹線延伸事業は2026年3月期までに95%の施工を完了)。受注残高についても、北海道新幹線延伸事業を受注した2024年3月期のピークから大きく減ったが、北海道新幹線延伸事業を除いた受注残高は安定的に推移した。利益面では、全般的に労務費が増加したものの、施工効率の向上や、営業努力による契約条件の最適化に加え、材料手配を必要としない工事だけの特殊な請負により一時的に採算が引き上げられたため、売上総利益率が前期比3.7ポイント向上、一時的な要因を除いた巡航ベースでも同2.8ポイント改善して過去最高となった。ベースアップによる人件費増や新基幹システム稼働に伴う減価償却費の増加により販管費は増加したものの、売上総利益率の改善により費用増を吸収し、営業利益は2ケタ増益となった。

なお、期初予想との比較で、売上高が未達になったのは、北海道新幹線延伸事業の一部売上高が2027年3月期に期ズレしたこと、期待のCP-X工法で想定より設計に時間がかかったため受注が2027年3月期に期ズレしたことが要因である。一方、営業利益の過達は、原価管理の精緻化と原価高の価格転嫁により工事収益が向上したこと、買収した際のデューデリ費用の一部が資産計上に変わったことが要因である。

セグメント別では、建設事業は工場や物流施設の大型地盤改良工事が増加したものの、北海道新幹線延伸事業の大型杭工事が減少したため、売上高が20,477百円(前期比11.6%減)となった。一方、労務費が全般的に上昇したものの、契約条件の最適化や施工効率の向上などにより工事収益が改善し、セグメント利益は1,267百万円(同14.8%増)となった。

このうち、国内土木事業は減収減益となった。減収は、北海道新幹線延伸事業がピークアウトして前期比62.2%減収となったことが主因である。北海道新幹線延伸事業以外は、業界全体で杭工事が少なくなるなか「織り込む力」によって技術提案した工法の採用率が高まったうえ、公共予算が道路中心から水処理施設などへとシフトするなか耐震性の高い同社のガンテツパイル工法の採用が増えたことで、同11.9%増収となった。国内建築事業は増収大幅増益となった。コロナ禍明けから設備投資意欲が強まり、同社が得意とする大型工場、物流施設、データセンターなどの地盤改良工事が同24.7%増収となったことが主因である。地盤改良以外は、1件あたりの額の大きいTN-X工法の採用が一時的に減ったこと、期待の新工法であるCP-X工法の受注が2027年3月期へ期ズレしたことから、同29.3%減収となった。海外事業は増収大幅増益となった。ベトナムの経済状態が良好で引き続き自動車工場などの大型地盤改良工事を受注したことに加え、2024年7月にテノックス九州から買収した施工事業の効果が表れたことが要因である。

土木建築コンサルティング全般等事業は、鉄道関係の設計・計算業務がコロナ禍から回復してきたこと、売上ミックスの変化により採算が改善したことから、売上高が592百万円(前期比12.9%増)、セグメント利益が14百万円(同204.1%増)となった。なお、インド高速鉄道プロジェクトでは、補強土構造物の設計業務を請負っている。その他の事業は、安定した不動産賃貸収入を背景に、売上高が23百万円(同微減)、セグメント利益が7百万円(同13.3%増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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