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天皇陛下が「お気持ち」表明、生前退位へ。そのとき株価はどう動いたか?

陛下の「お気持ち」は、生前退位のご意向が強くにじむメッセージに

「元号関連銘柄」に物色の矛先

生前退位の意向を示されているとされる天皇陛下は8日大引け後の午後3時、現在の自らの「お気持ち」をビデオメッセージの形で表明された。

8日の東京株式市場では、元号の変更間近かとの思惑から、カレンダー製造などで特需が連想される印刷、紙・パルプ銘柄が「元号関連銘柄」として物色された。

印刷機械関連の東京機械製作所<6335>の終値は10円高(+25.64%)の49円。午前10時54分には高値58円まで急騰する場面があった。日本写真印刷<7915>共同印刷<7914>なども高い。

一方、前日までに元号関連銘柄として物色されていたオフセット印刷用写真製版大手の低位銘柄・光陽社<7946>や、包装資材・紙工品の野崎印刷紙業<7919>、商業印刷・請求書等印字のカワセコンピュータサプライ<7851>は大幅反落となり、明暗を分けた。

東京機械製作所<6335> 49円 +10 (+25.64%) 5分足(SBI証券提供)

日本写真印刷<7915> 2,245円 +234 (+11.64%) 5分足(SBI証券提供)

共同印刷<7914> 329円 +16 (+5.11%) 5分足(SBI証券提供)

光陽社<7946> 156円 -15 (-8.77%)  5分足(SBI証券提供)

野崎印刷紙業<7919> 157円 -9 (-5.42%) 5分足(SBI証券提供)

カワセコンピュータサプライ<7851> 281円 -29 (-9.35%) 5分足(SBI証券提供)

日経平均先物は400円高

天皇の「お気持ち」表明中も取引が続けられた日経平均先物(期近)は400円高の16610円で午後の取引を終了した(15:15)。

日経平均株価 16,650.57円 +396.12 (+2.44%) 5分足(SBI証券提供)

日経平均株価先物 16,610.00円 +400.00 (+2.47%) 5分足(SBI証券提供)

投資家の反応

Next: 象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(全文)



象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(平成28年8月8日)

戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年を迎えます。
私も80を越え,体力の面などから様々な制約を覚えることもあり,ここ数年,天皇としての自らの歩みを振り返るとともに,この先の自分の在り方や務めにつき,思いを致すようになりました。
本日は,社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか,天皇という立場上,現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら,私が個人として,これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来,私は国事行為を行うと共に,日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を,日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として,これを守り続ける責任に深く思いを致し,更に日々新たになる日本と世界の中にあって,日本の皇室が,いかに伝統を現代に生かし,いきいきとして社会に内在し,人々の期待に応えていくかを考えつつ,今日に至っています。

そのような中,何年か前のことになりますが,2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから,ほぼ28年,この間(かん)私は,我が国における多くの喜びの時,また悲しみの時を,人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に,国民統合の象徴としての役割を果たすためには,天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において,日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め,これまで私が皇后と共に行(おこな)って来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井(しせい)の人々のあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは,幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように,憲法の下(もと),天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で,このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ,これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり,相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう,そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく,安定的に続いていくことをひとえに念じ,ここに私の気持ちをお話しいたしました。
国民の理解を得られることを,切に願っています。

出典:象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば – 宮内庁(平成28年8月8日)

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