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アベノミクスはなぜ「訳がわからない経済政策」に墜ちたのか?=斎藤満

安倍総理のアベノミクスが、いよいよ訳のわからないものになってきました。がむしゃらにお金を使うだけのアベノミクスの「無駄」ばかりが目立つようになっています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年8月3日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

いよいよ万事休す?資源の無駄撃ちアベノミクスの支離滅裂

わけがわからないよ

「アベノミクス」が、いよいよ訳のわからないものになってきました。

7月29日の日銀による追加緩和が、長期金利の急騰、円高で市場を混乱させた上に、28兆円余の事業規模を誇る経済対策を閣議決定した8月2日の株式市場では、日経平均株価が244円も下落する「歓迎」ぶりとなったのです。

がむしゃらにお金を使うだけのアベノミクスの「無駄」ばかりが目立つようになっています。

参院選ではアベノミクスの信認選挙と言い、これしかないと言い、結局選挙では大勝したのですが、そのアベノミクスは、当初の「3本の矢」はもはや跡形もなく、ただむやみやたらに金を使い、株を上げるだけの政策になってきました。

その頼みの株価も、この「大規模経済対策」に反応しなくなって、いよいよ万事休すの感があります。

国民の背中に突き刺さった矢

もともと「3本の矢」は、金融、財政、改革と、考えられるすべての手段を使って経済を高める、という「上げ潮」的発想で始まったものです。

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ところが金融面で、前例のない異次元緩和マイナス金利と、極限までやり尽した挙句、物価目標はいつまでたっても達成のめどが立たず、今回の長期金利急騰のように、市場をただボラタイル(不安定)にするだけであることが明らかになりました。

「2本目の矢」の財政も、米国にそそのかされ、対外公約にして財政拡大を正当化しようとしたのですが、一方で2020年度に基礎的財政収支を均衡させると豪語し、財政再建も約束したために、随所に「ごまかし」をちりばめた大規模対策となりました。

例えば、事業規模は28兆1千億円と言いますが、今年度の国債手当は4兆円だけで、2兆円余りは翌年度以降に回します。そして地方にも1.3兆円負担してもらい、さらに「国債」ではない財投債を6兆円も発行して、全体として13.5兆円の財源手当てをしたことにしました。

これは複数年度で負担するものですが、これをすべて先取りして規模を大きくしました。28兆円の事業も複数年度で行うもので、政府もGDP押し上げ効果を1.3%(6兆円余)としています。

一般会計に表れる「国債」という債務は、今年度4兆円、複数年度で6.2兆円に抑え、財政再建と両立するように見せていますが、財投債や地方債も広義の「政府債務」で、政府債務は13.5兆円増えることになります。数兆円の財源で10兆円程度の事業規模の対策とGDP効果は変わらないのですが、単年度だけでは来年に効果が反落するので、複数年度続けざるを得ません。

つまり、毎回生じる補正予算の息切れ、反落を先取りして何年分も補正を続けるようなものです。それでも、将来の日本の成長率、競争力を高めるようなもの、言い換えれば潜在成長率を高めるものなら持続的効果を持つのですが、そうなっていません。かつて賛否両論があって見送りとなっていた整備新幹線の復活などを、21世紀型インフラ整備として挙げる体たらくです。

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