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本気で知りたい「自分の年金」いくら足りない?いま何をすればいい?=新美昌也

公的年金は老後の生活を支える柱ですが、それだけで生活をするのは難しく、自助努力による備えが必要です。実際に貯金はいくら必要なのか。年金受給額から試算しましょう。(『お金を殖やす、貯める、今日からはじめる節約テク』新美昌也)

プロフィール:新美昌也(にいみ まさや)
CFP/1級FP技能士。2004年よりフリーで活躍。民間の介護保険に詳しいFPとして、新聞や雑誌などの取材に多数協力している。ライフプランに基づいたマネーアドバイスも好評。

老後は毎月6.2万円の赤字。自分の受給額を把握して早めの対策を

公的年金だけでは生活できない

公的年金は、リタイア後の生活を支える柱です。ただ、公的年金だけで生活をするのは難しく、自助努力による備えが必要です。

少子高齢化の進展により、若い世代が年金をもらう頃には、公的年金の給付水準は今より下がるでしょうし、受給開始年齢も現在の65歳から70歳になっているかもしれません。若い世代ほど、早めに「自分年金」づくりを始めましょう。

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中小企業等のサラリーマン(第2号被保険者)は、いわゆる「1階部分」として国民年金(基礎年金)、「2階部分」として厚生年金(報酬比例は部分)に加入します(自営業者や20歳以上の学生などの第1号被保険者は国民年金のみに加入します)。

サラリーマンの保険料の半分は、会社が負担します。受給額は、基礎年金から最大約78万円が支給されます(40年加入の場合)。報酬比例部分は、現役時代の報酬に比例して決まります。たとえば、ボーナス込みの平均月給が40万円~45万円の場合、月額7万円~9万円程度の年金になります。年間では86万円~108万円程度。基礎年金と合わせて、年額164万円~186万円程度ということになります。

配偶者が専業主婦(主夫)など第3号被保険者の場合、保険料の負担なく国民年金を受給できます。第1号被保険者の方は、将来の年金は最大でも年額約78万円ですので、民間の個人年金保険などで備えましょう。

将来の年金受給額を調べるには?

サラリーマンの場合、年金への加入期間や加入期間中の平均月給がいくらなのかにより、年金の受給額が大きく異なります

50歳以上の方は、ねんきん定期便に年金の見込額が記入されています。50歳未満の方のねんきん定期便には、年金の見込額が記入されていませんので、自分で計算する必要があります。

見込額は、日本年金機構のホームページ(ねんきんネット)で簡単に試算できます。サイトには、ねんきん定期便の見方も案内があります。ぜひ活用しましょう。

Next: 老後までにいくら貯めればいい? 年金受給額の不足分を計算する



年金受給額の不足分を計算する

総務省「家計調査報告(家計収支編)平成27年平均速報結果の概要データ」を使って、65歳までにいくら貯める必要があるのかを試算してみましょう。

高齢無職世帯(夫婦)の1か月の収支は、おおよそ62,000円の赤字です。90歳まで生きると仮定すると、65歳までに貯めなければならない金額は約1,934万円となります。

さらに、介護や病気に備える費用や趣味やレジャーなどの費用を300万円~500万円程度見積もると、2,234万円~2,434万円程度は貯めておきたいものです。

皆さんも、以下を参考に、ご自身が65歳までに貯めておく必要がある金額を試算してみましょう。

<65歳までに貯めておきたいお金(65歳~90歳までの必要額)>

(計算例)

(1)公的年金の不足額
実収入約213,000円-支出額約275,000円=-62,000円(月額)

(2)65歳~90歳までの不足分
62,000円×12か月×26年=1,934万円

(3)介護や病気などに備えるお金
300万円~500万円

以上より、必要額:(2)+(3)=2,234万円~2,434万円

不足分に備える「3つの方法」

キャッシュフローを改善するには、「収入を増やす」「支出を減らす」「資産運用」が基本です。それぞれについて検討してみましょう。

<1.収入を増やす>

配偶者が専業主婦(夫)であれば、働いてもらうことを検討しましょう。若い世代であれば、厚生年金に加入することによって、配偶者の受給額を大きく増やすことが可能です。

配偶者がずっと専業主婦(夫)であった場合、年金を受け取る時期を遅くすれば年金を増やすことができます。年金額は繰り下げた月数(最大60か月)×0.7%の割合で増額されます。つまり、受給額は最大で1.4倍になります。

また、65歳以降も働き続けるなどが考えられます。この場合、「月給+年金」が47万円を超えると年金がカットされますので、留意しましょう。

<2.支出を減らす>

保険料などの固定費の見直し、住宅ローンの借換えなどが考えられます。

<3.資産運用>

若い世代であれば、NISA、確定拠出年金、個人年金保険などを検討してみてはいかがでしょうか。

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お金を殖やす、貯める、今日からはじめる節約テク』(2017/5/12, 5/15, 5/17, 5/19号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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