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自民二階派の中村喜四郎議員はなぜ「共謀罪」に反対したのか?=三宅雪子

中村喜四郎さんが「共謀罪」(「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案)の採決で反対票を投じたことが話題になっていますが、過去のゼネコン汚職事件からの経緯を振り返ると、これは至極当然のことだと思います。(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)

※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2017年5月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:三宅雪子(みやけ ゆきこ)
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。

中村喜四郎氏が共謀罪に反対するのは至極当然、その背景とは?

【政治史あれこれ】自民党に嵌められた男

歳を感じてしまいました。5月23日の共謀罪の衆議院本会議の採決にて。タイムラインを見ていたら、「中村喜四郎さんという人が反対票を投じていた」というツイートが目にとまりました。が~ん。ああ、もう中村喜四郎さんを知らない世代がでてきたのか…と深く感じてしまったのです。

中村喜四郎さんといえば、かつて自民党のホープと言われた議員。しかし、1994年のゼネコン汚職で逮捕されます。しかし、先代からの鉄壁の後援会に支えられて、公判中も無所属で2回当選(旧茨城3区・現茨城7区)。その後、実刑を受けて服役。その最中に永岡洋治氏が自民党から当選しましたが、郵政民営化の際に反対して、その後も様々な苦境に追い込まれて自殺してしまいました。刑を終えた中村氏がふたたび茨城7区から返り咲き、以降も連続当選します。通算6回。とにかく選挙に強いんですね。現在は無所属ながらも二階派

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政界では早くから将来の総理候補と目されると、何かと「狙われる」と言われます。それはライバルだったり、当局だったりするわけです。故・藤波官房長官しかり、中村喜四郎さんしかり。疑獄事件が起きて、そこに多くの国会議員が関わっていたとき、その全員は無理だけれど1人は逮捕しなければ国民も納得しないですし、事件の幕引きができません。その1人になって逮捕された本人にとっては、「なぜ自分だけ」という被害者意識を持つでしょうね。

あれからだいぶ時間が経った気がしますが、戦後発の閣僚になった中村氏はまだ60代。よく当選をすると「禊ぎが済んだ」と言われ、比較的容易に復党が叶う自民党の中で、なぜ中村氏だけ現在のような処遇のままなのか、謎ではあるのですが。

ということで、このゼネコン事件で「嵌められた」「犠牲にされた」という気持ちがおそらく強いだろう中村氏が、冤罪の温床になる可能性が強い共謀罪に反対票を投ずるのは私からすると至極当然なのです。この共謀罪だけでなく中村氏はいくつかの法案で反対票を投じていますから、それも復党できない理由なのかもしれません。

茨城7区は、自殺した永岡洋治氏の奥さんが比例復活ながらも議席を得ていますから(4期目)、公認を得るのは非常に難しいので、そういった選挙区事情もあるのでしょう。中村氏は最近の選挙で票を伸ばしていますから、次の選挙で自民党候補に比例復活当選をさせなければ、所属する二階派、二階幹事長の後ろ盾で悲願の復党となるかもしれません。

こうした歴史を知るのと知らないとでは、全く違いますから「ググる」ことをお勧めします。

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【選挙】なぜ女性候補者は「不幸アピール」に走ってしまうのか?

嘘はついてはいけません。結局、最後、嘘はわかってしまうものです。これが私の持論です。最近は、さすがにわかりやすい「学歴詐称」はなくなりました。「海外留学」などと詐称する方は、何かのコンプレックスをお持ちなんでしょうか? 大昔ならまだしも、いまどき「海外経験」が票になるのかどうか懐疑的です。帰国子女の私には全く理解不可能です。

しかし!その代わり、第三者からは確かめようのない身の上話、苦労話などが選挙で氾濫しはじめています。そして、政策論争があまりが残念です。なぜか有権者も豊洲問題を厳しく追及する人はいません。女性、そこそこ美人で、何かしら「苦労」をしていなければいけない。だから、「シングルマザー」「DV」「貧困」「奨学金」「幼少期のいじめ」を売りにする候補ばかりになってしまうのです。これぞ、男女差別だと思いませんか? 男性でこうした苦労や不幸をアピールする方はあまりいないような気がします。まあ、選挙戦略の1つなんでしょうね。

数千万の自家用車(外車)を持っているのに、今まで乗ったことのないような自転車に急に乗りだし、庶民派をアピールしている候補もいます。どうせ、当選したら自家用車で登庁するんでしょう?と思ってしまいます。本当に自転車で登庁するなら、票を投じるかも(投じないけど)。

私の場合、国会議員になってやめたことがあります。ブーツマニキュアなどでしょうか。群馬は寒いのでブーツNGはつらかったのですが、支持者からのダメ出しでした。これは関東圏とは違うところですね。

自由なテレビ局から、いきなりあれダメこれダメの世界に入ったわけでしたが、さほどつらくはなかったです。自由がない世界。でも、その自由だって、たいした自由ではありません。

都議選挙は、都民ファーストの特に女性候補が目玉のようですが、注目すべきは各党の動きです。さて、低投票率都議選となるか、荒れる都議選になるのか…。
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三宅雪子の「こわいものしらず」』(2017年5月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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3年3ヶ月の与野党国会議員の経験を生かし、三宅雪子独自の語り口で、あたたかみのある中にも、言うことは言う「こわいものしらず」なコラムを展開します。加えて、「教えて!○○さん」「名言・迷言・明言」「永田町コトバ」「ヒトリゴト」「話はそれますが…」など、私的なコンテンツもローテーションでお届けする予定です。

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