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【5月米雇用統計】結果良好ならドル円は戻り売り!想定レンジ110.50~112.50円=ゆきママ

今日は投資家にとってのプレミアム・フライデー!いよいよ5月米雇用統計が発表されます。果たして今回はどうなるのか、トレード戦略を含めて詳しく解説します。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今月のメインシナリオは「まずまずの結果」からの売り場探しに

政治リスクが後退しない限りドルの上値は重い

今回の雇用統計も、出た数字そのもので値動きが決まるという単純なイベントにはならない可能性が大です。というのも、そもそもドルの上値の重さの原因は、ここ数ヶ月の低調な米国経済指標にあり、引き続き緩慢なインフレが続くことが予想されていることにあるからです。

インフレの伸びが十分でなければ、FRB(連邦準備制度理事会)は利上げやバランスシートの縮小といった金融政策の引き締めを早めることはありませんから、まだまだドルはジャブジャブ状態でドル高に結びつかないというわけですね。

そして、この状況を打破してインフレを高めるゲームチェンジャーとして期待されていた、トランプ大統領の大規模な公共工事や未曾有の減税政策については、ご存知のようにトランプの政治的立場の危うさから、政策の実行が次第に困難になりつつあります

6月8日には、この元凶となったコミー前FBI長官の議会証言(公聴会)が上院で行われ、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)とロシアの関係を巡る捜査を打ち切るよう、トランプから圧力がかけられたことを証言するのではといった報道もあります。

証言の内容次第では、ますますトランプは追い込まれ、期待されていた政策も遠のいていくことになりますから、やはりこれらの状況を考えると、ドルの上値は本質的に重いままの可能性が高いでしょう。

しかも、6月13日~14日にはFOMC(連邦公開市場委員会)も予定されています。利上げとバランスシート縮小の方法について大枠が発表されると見られていますが、ここでの内容もはっきりしない限り、ドルはなかなか動けないということに留意していただければと思います。

Next: 期待感が高すぎる? 良好な先行指標は割り引いて見る必要あり



先行指標は良好で市場の期待感も高め

次に先行指標の数字を見ていきましょう。今回は比較的良好な数字が続いており、市場は期待感先行の値動きを続けています。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)と雇用統計の事前予想値

今回は日程の関係でISM非製造業部門の発表が雇用統計後になってしまいますが、全体的に堅調な数字が並んでいます。これを見て悪い結果が出るということはあまり想定できません。

特筆すべきはADP雇用報告と呼ばれる民間企業が発表する雇用者数で、+25.3万人(事前予想+18.0万人)という大幅な伸びを記録しています。

一部では雇用はまだまだ勢いよく伸びており、労働市場の需給が引き締まるなかで、賃金の伸びが加速するのではないかといった声も聞かれました。ただ、内訳を見ると雇用者の伸びは一般に低賃金とされるサービス業が中心で、昨年11月以来の大幅な伸びとなっています。

言うまでもなく、最近はインフレを推し量る上で平均時給の伸び(賃金上昇率)に注目が集まりますから、ADP雇用報告については少し割引く必要があるのかなと考えています。

また、市場も良好な結果を織り込んでおり、予想を下回った時の反動は少し大きくなる可能性がありますから、念のため注意しておきましょう。

Next: ドルの上値は限定的、想定レートは1ドル=110.50~112.50円



良好なら戻り売り!想定レートは1ドル=110.50~112.50円

5月米雇用統計の事前予想値は非農業部門雇用者数+18.0万人、失業率4.4%、そして最も注目される賃金上昇率は前月比+0.2%、前年比+2.6%となっています。先ほども書いたように、ここ最近は利上げペースといった金融政策を大きく左右することになる賃金インフレが焦点ですから、賃金の数字に強く反応することになります。

ちなみに、非農業部門雇用者数に関しては、イエレンFRB議長自身も現在の適正な増加ペースは+7.5万人~+12.5万人としていますから、この水準を大きく下回らない限りは、それほど大きく値動きに影響しないと考えて良いでしょう。

そして、今の相場状況を見ると、やや期待感先行の流れからドル円は上値を伸ばしており、本校執筆時点(2日午前11:50時点)のレートは1ドル=111.60円近辺となっています。

仮に予想並みの数字が出るのであれば、ある程度は織り込み済みで、現在の水準から大きく動くことはないでしょう。また、仮に前月比+0.4%、前年比+2.8%といったかなり強めの数字が出ても、政治不安などを考えると一旦は上値を伸ばしても、伸ばしきれずに終える可能性が高いと考えています。

そこで、今回のトレード戦略は戻り売り(ショート)となります。先行指標が良好なことから、予想並み以上のまずまずの数字が出ることをメインシナリオとします。

ドル円の日足チャート

ドル円は、やはり灰色の一目均衡表の雲を意識した値動きが続いています。好結果が出れば、雲を上に抜けてもおかしくはないですが、112円前半には89日移動平均線(112.077円)21日移動平均線(112.166円)一目均衡表の基準線(112.299円)などが控えており、上値を阻みそうです。

したがって、基本的には上記のレジスタンスをエントリーポイントにして戻り売りを狙っていきたいところでしょう。ただし、これらのポイントを抜けてあっさり112円半ばを超えてくるようであれば、113円台がターゲットになりますから、一旦は手仕舞いした方が無難でしょう。

それから、まずないとは思いますが、賃金上昇率が前年比で+3.0%を超えるようなよほどのサプライズがあった場合もこの限りではありません。

あるいは、逆に予想を下回る弱めの数字が出た場合は、コミー元FBI長官の議会証言やFOMCを控えていることを考えると、それなりにショートカバーも出そうですから、追っかけ売りも自重したいところです。

ここ1~2週間のドル円相場は値幅が限られており、チャンスは少なめですので慎重にトレードしていただければと思います。それでは、今日の雇用統計も頑張っていきましょう!

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年6月2日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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