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将棋の加藤一二三先生に学ぶ投資術!?「ひふみんアイ」が相場に効く理由=炎

藤井聡太四段の29連勝に沸く将棋界ですが、引退した加藤一二三九段にも注目です。彼が対局中に行う、相手側の目線で見る「ひふみんアイ」は相場に活用できます。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

相手側に回り込んで考える「ひふみんアイ」は相場にも有効だ!

藤井聡太四段「29連勝」で市場も将棋ブーム

一躍、時の人となった将棋界の藤井聡太四段(14歳)の快進撃が止まらず、29連勝という連勝新記録を樹立しました。とりあえず遅ればせながら、藤井四段にお祝い申し上げます(※注:残念ながら7月2日に29連勝でストップしました)。それとともにメディアが大騒ぎするものですから、世の中は猫も杓子も将棋の話でもちきりとなっています。

こうした一種のブーム状態から、株式市場でも関連銘柄として、将棋の実況放送をするメディアを持つサイバーエージェント<4751>KDDI<9433>、将棋のプロ公式戦のスポンサーとなっている日本たばこ産業(JT)<2914>などを挙げる声も出てくる始末。まぁ、いつの時代もあやかろうという人たちはいるものです。

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引退した加藤一二三九段の「あの技」を投資に応用すると?

こうした中で、藤井四段と初戦を戦って敗れた加藤一二三九段が引退宣言。この方も、一躍クローズアップされています。

メディアでは加藤九段の特徴的な対局中の行動として、相手の立ち位置で将棋の盤面を俯瞰する「ひふみんアイ」がもっぱらの話題となっているのを、皆さんもご存じかと思います。

将棋は、一定のルールで動かせる駒を操って、相手の王将を得るまで戦う知的な対戦ゲームだと筆者は認識しています。いま話題のAIとの対局では、コンピューターが勝っているとされています。似たような盤上の戦いに囲碁チェスがありますが、それぞれに奥の深い戦いが繰り広げられるという点で将棋と同じです。

一方、株式投資においても、相手こそいないようには思いますが、実は買い方と売り方がにらみ合って展開する、一種のゲームだという考え方もできます。

例えば、皆さんが運用のプロだとして、盤面ならぬ板上に置かれている売り板買い板を眺めて判断を下す必要があるとします。

あなたが買い方だとして、できるだけ安く買いたいと考えるのであれば、「ひふみんアイ」を使って売り方の目線で買い板を眺めてみれば良いということです。

反対に、できるだけ高く売りたい量をたくさん売りたいというのであれば、買い方の目線で売り板を見て作戦を考えるということになります。

日々、繰り広げられる買い方・売り方の戦いが、将棋の勝敗と似た世界だとの認識を持てれば、今回の「ひふみんアイ」が良いヒントをくれているのかも知れません。

Next: 投資の小話をもう1つ。「風邪薬」と「株」の共通点って?



株の「効能」と「副作用」

皆さんは普段、風邪をひいたり、腹痛などの病気になったら、病院に行って調剤薬局でお薬を処方してもらうかも知れません。

調剤薬局では、薬剤師が患者に提供する薬の効能を説明します。こうした薬は、開発から治験などを経て、上市に至るまでに何年にもわたる期間を必要とします。

そして、薬剤師さんの説明では、必ず副作用の話が出てきます。それが抗生物質だったりすると、なおさらです。効能と副作用は対になっているのかも知れません。

なぜこんな話をするのかというと、株式にもあてはまるのではないかと思うからです。

株式に投資する皆さんは、投資することで何らかのリターン・メリットを受けようと考えておられるのかも知れません。対面営業の証券会社には、経験豊富な営業マン(中にはアナリスト資格やFP資格を持っている方も)がいます。取引の際には、富裕層であれば特に、各株式の性質・価値・株価の値動きなどについてじっくりと説明を受けているのかもしれませんが、いかがでしょうか。

ただ、株に効能書などないとお考えになっている投資家の皆さんは、そうした対面営業マンの説明など要らないとお感じになるかと思います。その場合に、株の効用を説明する役割を担っているのが、会社四季報などの情報誌です。これらの情報は、SBI証券やKABU.COM証券などのオンライン証券でも閲覧することができます。

読者の皆さんの多くは、対面営業ではなく、こうしたネット上で株式取引ができる証券会社を活用されているはず。しかし実は、そこにも多くの株の効能書が付いていることに、気がついておられる方もいるかと思います。

株は、魚や野菜といった生鮮品と同じです。業績が変動するので、株価も変動がつきもの。さきほど説明を受けて投資したばかりの株の効能が、あっと言う間に陳腐化してしまうことだってあり得ます。

風邪に効く薬が必要なのに、間違って腹痛用の薬が投薬されるようなミスは許されないことです。事故に遭わないためにも、投資家の皆さんはまず投資の目的は何か、投資資金の規模リスクに耐えられる期間はどの程度かなどを明確にしておかないといけません。

短期で儲けるための投資では、かなりプロ的な効能書が求められます。それは投資家にとって、かなりの副作用を伴うものという認識を持つ必要があります。

反対に、中長期投資の資金とは言っても、書かれている効能書が間違っていたら、いつまでもリスクだけを負い続けることになってしまいます。

投資家にとって、株式投資を勧める証券会社助言サービス会社は資産運用の良き相棒であるに違いありません。株の効能書をお互いに読み砕いて、納得して投資することが求められます。

株の効能書としては、アナリストが書いた膨大な企業レポートがネット上で掲載されていることもあります。証券会社やIR会社のサイト内、企業サイトなどにこうした効能書に似た報告書があり、皆さんも閲覧されているのかも知れません。

ほとんどの場合、そうした株の効能書には投資に際しての注意が添えられています。「自己責任の下で服用して下さい」と。

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億の近道』(2017年7月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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