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COMSAが起こす巨大ICOバブル!株から逃げた投資家は暗号通貨で攻めに転じる

テックビューロが今年10月2日をめどに実施する日本初のICO(Initial Coin Offering = 新規通貨公開)は、ブロックチェーンと暗号通貨の世界に吹き荒れる第2の熱波になりそうです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年8月10日第218号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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「株を買っているのは日銀と年金だけ」個人投資家の資金シフトも

ブレーク寸前!COMSA(コムサ)のICOによる資金調達

ビットコイン(BTC)は、8月1日のハードフォークを境に再び上昇に転じ、一時期、円建てで最高値の38万円を超えてきました。

イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)、ネム(NEM/XEM)、ライトコイン(LTC)などの主流アルトコイン(alternative coin = BTC代替コイン)も、これに同期するように同じような放物線を描いて上昇。ここにきて、利益確定の売りが優勢となって、ややクールダウン気味といったところ。

これは、8月22日あたりに予定されているビットコインのセグウィット(segwit: トランザクションのサイズを圧縮して小さくする)のアクティブ化と、11月に予定されている2Mハードフォークを見据えた一時的な動きと捉えることができます。

しかし、ブロックチェーンと仮想通貨(以下、正式名称として「暗号通貨」を使用)の世界には第2の熱波が吹き荒れようとしています。

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ひとつは、日本の暗号通貨取引所の運営を含む「Zaif(暗号通貨関連サービスの総合ブランド名)」の母体であるテックビューロ株式会社が、今年の10月2日をめどに実施する日本で初のICO(Initial Coin Offering = 新規通貨公開)

ICOとは、上場前の企業やプロジェクトが暗号通貨を使って実施する資金調達法のこと。東証などの株式市場に上場する前の新興企業が行うIPO(Initial Public Offering = 新規株式公開)とよく比較されます。

テックビューロが実施するのは、「COMSA(コムサ)」というプラットフォームを立ち上げ、企業が独自に発行する暗号通貨をネットを通じて個人などの不特定多数に販売できる環境を整えることで、同社は、企業がICOの実施に当たって必要となるホワイトペーパーの作成なども支援することになっています。(日経新聞:8月3日付)

新聞発表と同時に、「COMSA(コムサ)」の公式サイトが公表され、現在は10月2日から開始される「COMSA」のトークンセールまでのカウントダウンが表示されています。

COMSAトークンの購入を希望する事前登録者の数は、日経新聞で発表された8月3日の初日で1万人に達し、8月10日現在、3万2000人を突破しました。一部の経済新聞やネットで広がっただけにしては、大きな盛り上がりが予想されています。

今後、COMSAトークンは「CMS」で表され、単位は「COMSA」となります。

COMSAのホワイトペーパーによれば、COMSAを提供するテックビューロは、10月2日からのCOMSAトークンの発行によって資金調達を行い、その資金は、COMSAのICOトークンセール基盤のプラットフォーム開発や整備に振り向けられる以外に、主に、さまざまなトークンの開発に割り当てられることになっています。

COMSAのプラットフォームを使ったICOとしては、早くも、家庭用飲料水宅配サービスを展開するプレミアムウォーターホールディングス<2588>やクラウド・ファウンディング大手のCAMPFIREが名乗りを上げるとともに、タイムラインまでも掲げています。

特に、11月中旬にICOを実施することになっているプレミアムウォーターホールディングスの株価は、これを好感して8月3~4日の連日、ストップ高を演じて新高値をつけました。

その後、7日、8日と利益確定の売りが殺到して値を下げたものの、投資家たちは、暗号通貨による資金調達が株式市場に与えるインパクトを決して無視できないことを知ったでしょう。

Next: 株式市場と日本円から逃げ出した資金は暗号通貨市場に向かう



株式市場と日本円から逃げ出した資金は暗号通貨市場に向かう

さて、この流れは今後、「大きなうねり」になっていくのでしょうか?……その答えは、とんな専門家でも100%自信を持って言うことができません。

ただし、株式市場、債券市場が、すでにバブル崩壊前夜に直面しており、「それが起こるのは時間の問題」とされる中で、投資家たちは、有望な資金の避難先を長いこと探してきたことも事実です。

暗号通貨市場は、今年5月の時点で6兆円程度。その後、10日で1兆円ずつ規模が拡大しており、現在では17兆円規模にまで膨らんでいるとの試算もありますが、株式市場の600兆円と比較すると暗号通貨市場は、あまりにも規模が小さすぎるのです。

大阪証券取引所が2010年まで開設していた新興市場のヘラクレスや、初期の頃の東証マザーズでは、大口の個人投資家が買いに入ると、上場している銘柄の時価総額が小さいため、自分が買うことによって値がつり上がり、結局、売るに売れなくなってしまうという自縄自縛に苦しめられていました。

大口の機関投資家にとっては、それは自殺行為に等しいのです。

かといって、株式市場からの個人投資家の撤退はほぼ済んでおり、現在の投資の主体は、日銀年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)であることは投資家に周知されています。

日銀は政権の支持率を上げるため、最初から不可能であると分かっていながら「2%のインフレ目標の達成」を掲げて、無計画な異次元の金融緩和を続けてきました。結果、日銀は、日経インデックスに組み込まれている大手企業何社かの筆頭株主になってしまったのです。

つまり、「売るに売れない状況」を日銀と政府自らが招いてしまったのです。これからの局面では、売れば株式市場全体の暴落につながりかねないからです。

また、GPIFにしても、世界の株式市場が不安定になり、揺れ動くボラティリティに対処できなくなって巨額の損失を生じさせるなど、政府と中央銀行自体が将来の巨大なリセッション要因(日本はすでにスタグフレーションに入っている)を作り出している状況では、個人投資家は離れていくばかりです。

今現在、規制がまったくといっていいほど入っていない暗号通貨市場を拡大させるため、ベンチャーに先導役を引き受けさせて投資を呼び込む方法は、民間によるイノベーションを活発にするという点では歓迎されるべきことでしょう。

Next: 世界の金融業界はもはやブロックチェーン技術を無視できない



世界の金融業界はブロックチェーン技術を無視できない

民間銀行は、ブロックチェーン技術を使って独自の暗号通貨を発行したり、暗号通貨の時価総額で第3位のリップルのネットワークに参加することによって、より安全に速く、かつ低コストで国際送金を可能にするサービスを実施するなど、さまざまな商品・サービスを開発する余地が残されているものの、証券会社は、ブロックチェーンへの対応を急がないと市場から淘汰される運命にあります。

COMSAの成功は、世界中の金融機関において、ブロックチェーン導入への雪崩現象を引き起こすきっかけとなることは疑いようのないことです。

すでに、去年の4月から6月にかけて、東証を含む証券取引所の連合体である日本取引所グループ(JPX)が、野村総合研究所とともに、株式市場におけるブロックチェーン技術の適用に関する実証実験を行っています。

この実験には他に、野村証券SBI証券三菱UFJフィナンシャル・グループなども参加しており、実験結果も同年8月に日本取引所の公式ホームページ上で公開されています。

このレポートでは、ブロックチェーンという言葉は使われていませんが、「分散型台帳技術(DLT)が、金融ビジネスの構造を大きく変革する可能性を持つ技術であることが確認された」と結論付けています。

日本取引所グループの実験と同時期に、ドイツ証券取引所ロンドン証券取引所オーストラリア証券取引所なども、ブロックチェーンを利用した証券取引の計画をスタートさせています。

韓国証券取引所やカナダのトロント証券取引所も、これに続いて、ブロックチェーンを用いた証券クロスボーダー取引(国境を越えて複数国の間で行われる証券の売買)に乗り出すための研究をスタートさせています。

こうした動きを主導しているのは米ナスダックですが、いよいよ、ブロックチェーンを実装した国際的な証券取引に乗り出す構えです。

これに先駆けて、みずほ銀行富士通富士通研究所は、ブロックチェーンを応用した証券クロスボーダー取引の決済業務にかかる日数を即日決済に短縮させる共同研究を行っています。

これが実現すれば、これまで国際的な証券クロスボーダー取引の決済に3日もかかっていたのが大幅に短縮される上、取引にかかる手数料も大幅に引き下げられるため、ごく近い将来、日本の一般個人投資家もスマホで海外の投資銘柄を物色する日が来るでしょう。

Next: ブロックチェーンはウォール街をも脅かす「革命」だ



ブロックチェーンはウォール街をも脅かす「革命」だ

いっぽうで、COMSAのICOプラットフォームで前述したように、既存の証券取引所に頼らない資金調達法も試行錯誤が重ねられています。

米ナスダックに上場を果たしている米国のオンライン小売事業者、オーバーストック・ドットコム(Overstock.com)は、すでにブロックチェーンを使って、法的に規制されていない私募債の発行から資金の調達を行ってきましたが、さらに広く資金を調達するため、2015年4月、米証券取引委員会(SEC)にブロックチェーンによる公募債の発行について目論見書を提出しました。

オーバーストック・ドットコムは、米証券取引委員会の許認可が得られることを前提に、その2ヵ月後の6月には、ブロックチェーンによるデジタル証券発行に関する公示を行ったのです。

さらに8月には、米ナスダックで行われたプライベートな会議で、暗号証券取引所「tØ.com」の運営に関するプレゼンテーションまで行っているのです。

同時に立ち上げられたtØ.comの公式ホームページには、暗号資産同士の証券トレードシステムに簡単に組み替えることが出来るシステムの構築に尽力していることが明記されています。

同社CEOであるパトリック・バーン氏は、そのときのプレスリリースで「ウォール街に暗号化革命が訪れた」と述べているように、以前から、ウォール街の獰猛な集金システムを強く批判し続けてきた反ウォール街の経営者として知られています。

彼は、ウォール街の支配者たちのことを「自己利益のために多くの企業を破壊している」と、こきおろしています。

彼が目指すのは、「ブロックチェーンによる、企業のための証券市場」です。遅れること半年で、米証券取引委員会が正式にオーバーストック・ドットコムを承認したことは、後の時代になってからウォール街の閑散とした風景を目のあたりにした米国の人々にとって、「あのときが、金融界にとってのエポックであった」と、感慨深げに思い起こす出来事になっているかもしれないのです――
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