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トランプ次の一手は?オバマが激怒した「プーチンのサイバー攻撃」黒幕は中国

「米大統領選中のサイバー攻撃はロシアの仕業だ」オバマとワシントン内部のヒラリー派は、困ったときのプーチンとばかり濡れ衣を着せていますが、このロシア・ハッキング説は虚偽でしょう。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年12月15日第186号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文もすぐ読めます。

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サイバー攻撃を仕掛けた「中国の罪」をロシアに擦り付けた米CIA

プーチンロシアとトランプ政権の「疑惑」

トランプ次期大統領は、国務長官にエクソンCEO、レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)の指名を決めました。ティラーソンが有能であることは誰もが認めるところです。

しかし、ティラーソンが、トランプの選挙を操作したのではないかと疑われているロシアのプーチンと親しい関係を築いているということから、トレーダーたちは、この指名を訝しく思っているのです。

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事実、ティラーソンは、数年前から、ロシアの英語圏向けニュース「RT」に何度か出演している有名人です。

トランプが、マイク・ペンスを次期副大統領にするために、元ニューヨーク市長のジュリアーニを推さず、クリス・クリスティーをあえて降格させたように、トランプが、一人の候補者に多くの政治的リソースを割く意味が不明で判然としない以上、ウォール街はやや困惑させられています。

なぜ、ペンスをそこまで高く評価するのか?なぜ、ティラーソンを外交の重要なポストに就けるのか…?

米国の左翼の陰謀論者は、プーチンが米国の大統領選を馬鹿にしているだけでなく、ティラーソンを指名したことは、トランプ政権をロシアの傀儡にするためのシナリオの一種であると考えています。

「困ったときはプーチンのせい」ヒラリー派の誤算

ここで珍妙な、ほほえましい場面(YouTube動画・英語)があります。

先日、ホワイトハウスで行われた記者会見で、ワシントンの報道官が、ロシアとの間の種々問題について、外交的解決の道はあるかという記者の質問に答えている場面です。ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)報道官が、ついうっかり漏らしてしまったこととは――

彼は、今回の大統領選を混乱させ「サイバー攻撃を仕掛けたのは中国である」と、うっかり口を滑らせてしまったのです。その後、すぐに「失礼、ロシアでした」と言い直したものの、ときすでに遅し。

ワシントン内部のヒラリー派は、「困ったときのプーチン」とばかり、この忍耐強く、なかなか真相を言わない男に濡れ衣を着せてしまえば、12月19日に実行される全米の大統領選挙人による投票でヒラリーを勝たせることができるかもしれないと考えているのでしょう。

しかし、ロイター(英文)が報じるところによれば、CIAを含む米国の情報機関のすべてを束ねているODNI(Office of the Director of National Intelligence)は、「CIAが主張しているロシア・ハッキング説を支持しない」と公式に言明したとのことです。

この会見でのアーネスト報道官の舌禍と、その後のバツの悪そうな表情は、ホワイトハウス自体がディスインフォメーションを流していることを決定的に証拠づけるだけでなく、さしてそれを気にも留めない大統領府の腐敗した体質を垣間見せたという点で、非党派的な政権移行への希望を持っていた米国の有権者を大いに失望させたのです。

Next: 「トランプ・プーチン同盟」の背景に、中ロ共同開発の秘密兵器?



「トランプ・プーチン同盟」を形成させた2つの背景

トランプとロシアのプーチンとの間には、確かに信頼関係が形成されています。それには、明確な理由が一つ二つあります。

その一つは、ロシアと中国が、経済協力において同盟国であるだけでなく、軍事に関しても、強固な同盟関係を結んでいる事実があることから、実利的な中国との仲立ちをできるのがロシアしかないということです。

もう一つは、米国の産業界が中国のレア・アースに依存しているということ、この二つです。

今年4月、中国は、超音速兵器の最先端を行っていると軍事関係者に評されている最新鋭の超音速滑空体「DF-ZFグライダー」の7回目のテスト飛行に成功しました。それは、完成の域に達しています。

中国とロシアは、これまでにも、核攻撃を行う能力を持つ超音速兵器を繰り返しテストしてきました。少なくとも2014年から始まっています。

米国情報当局は、ますます複雑化している世界のミサイル防衛に対処するため、中国が、超音速で高高度を滑空できるグライダー型の核搭載型飛行体を配備する計画を持っていることを早くから掴んでいます。

DF-ZFグライターも、1時間以内に世界中のターゲットを攻撃することができる通常戦略攻撃兵器の一部として使われる可能性があります。

これらの超音速兵器の速度と破壊力が、どれほどのものか想像することさえ困難です。それは圧倒的で、マッハ5以上で飛行することができます。

中国とロシアの新兵器は、世界の安全保障に深刻な脅威を及ぼします。米国の兵器開発力は、すでにそれに追いつけないほど衰弱しています。

全米アカデミー(※)は、最近、空軍の委託を受けてとりまとめた詳細な報告書のうち、機密扱いにされていない部分の要約を発表しました。
※全米アカデミー:
United States National Academies ; National Academy Complex。全米科学アカデミー、全米技術アカデミー、米国医学研究所、全米研究評議会の4組織から構成されている。

そこには、「今の米国には、新兵器の明確な獲得方法が欠如している。(中国などの)潜在的な敵対者の熱狂的な研究開発のペースは速く、その成果は驚くべきものである。これは、米国とはまったく対照的であり、この分野への投資は重要である」と書かれており、新兵器開発で米国がロシア・中国の後塵を拝していることを認める記述があります。

なぜ中ロは野放しにされたのか?

なぜ中国とロシアは、国防を目的としながらその実もっとも攻撃的な新兵器の開発を、まったく邪魔されず成功させるに至ったのでしょうか。

もちろん、ネオコンに牛耳られているワシントンでは、米国とロシア、中国の利害が一致したからに他ならないのです。

日本では、北朝鮮が小型核弾頭の開発に成功したと、極東有事の可能性を煽っています。そして、米国は、北米北朝鮮の大陸間弾道ミサイルのターゲットになろうとしている、と国民の恐怖を煽っています。

また、日本の自称右翼の人々は、核武装化によって日本の真の独立を勝ち取るべきだ、と主張しています。

これらは、現状をまったく知らないか、あるいは、知っていながら保守を気取っている軍事評論家による情報操作の賜物なのです。

Next: 「中国による兵糧攻め」が米国の安全保障を揺るがしはじめた



レア・アースの獲得に赤信号が点った米国

米国も、もちろん、DARPA(国防高等研究計画局)が宇宙兵器の開発を急いでいます。しかし、この分野でロシアと中国に大きく水をあけられてしまったことは否定しようのない事実です。

その理由は、米国が幅広い分野で、コモディティー(原油・ガスなどのエネルギー、金・銀・プラチナなどの貴金属、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物の総称)の逼迫(品不足)に直面しているからです。

一方で、中国の兵器開発を牽制するかのような厳しい中国への批判を行い、一方で、米国の経済成長と軍事増強の二つを同時に達成しようというトランプの計画は、経済成長だけを求める新自由主義の投資家の熱狂を冷やすこととなり、トランプ政権の船出は、かなり厳しい障害に直面しそうです。

米国は重要なコモディティーのうちの50%以上を輸入しています。中でも、電気自動車から軍事技術までの広い範囲で必要不可欠なレア・アース(希土類元素)は中国に依存しています。

ペンタゴンは、10年以上の間、レア・アースの供給網への不自由なアクセスを改善しようと何ら手を打ってきませんでした。

しかし、2016年、米・連邦監査局は、レア・アースに関する広範な報告書の中で次のように警告しています。

「ペンタゴンは、重要なレア・アースを構成することについてまだ同意しない」。

中国のレア・アースに頼っている産業界は米国だけでなく日本も同じです。その中国が、レア・アースを外交カードに使うために、さらに戦略性を強化しようと、2020年に向けて生産量を制限する方針を発表しました。

米国にとって、それは安全保障を直撃するほとのインパクトになるのです。

米国は、完全に中国が輸出しなくなった場合に備えて、レア・アースを採掘し複雑なサプライチェーンを管理するエンジニアを、一刻も早く養成しなければならないのです。

しかし、米国のたった一つの大学でさえも、レア・アースについての本科を設置していないのです。人材の育成には、大分時間がかかります。

Next: トランプ次期大統領は、中国を制御するための時間を稼いでいる



時間を稼ぐトランプ

トランプは、中国に軽いジャブを与える程度にして必要以上に刺激せず、資源確保のための計画を練る時間を稼いでいるのです。

だから、トランプにとってロシアのプーチンとの友好関係は、中国を間接的に制御する上で必要欠くべからざる要素なのです。
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※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年12月15日第186号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文もすぐ読めます。

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「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年12月15日第186号より一部抜粋、再構成

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