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ビットコイン急落と北朝鮮、ロシア最強暗号通貨「クリプトルーブル」の意外な関係

ロシアの最強暗号通貨「クリプトルーブル」とは何か?北朝鮮による仮想通貨取引所へのサイバー攻撃と、ビットコイン急落の関係とは?JPモルガンはなぜアンチ・ビットコインなのか?確定情報がない中、多分に独自の分析と推測を含む記事とならざるを得ませんが、直近の注目すべき動きを分析してみましょう(くれぐれも、暗号通貨の銘柄選びや価格予想の参考にはなさらないでください)。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年9月14日第223号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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仮想通貨は個人のものか国家のものか?新たな覇権争いの裏を読む

ロシア独自の暗号通貨「クリプトルーブル」とは?

ロシアの暗号通貨(仮想通貨)事情は、ますます熱気を帯びています。ロシア最大の証券取引所であるモスクワ証券取引所が、デジタル通貨の取引を計画しています。

すでに、同取引所は、ビットコインと他のバーチャル通貨を取引するインフラを構築中で、仮想通貨間のデリバティブおよび為替トレーディングファンドも計画リストに入れられているとのこと。

また、取引のボリュームでは、ロシア国内で3番目のサンクトペテルブルク証券取引所でも、プラットフォームにデジタル通貨取引を追加する計画を進めています。

この動きは、あらかじめ決められていたスケジュールに沿ったものであると言えます。

ロシアの財務次官が今年の4月、「2018年には、ロシアではビットコインを用いた取引が合法化されているだろう」と公式に述べているし、同時に「仮想通貨の法規制を強化する意向ある」ことについて明言もしています。

これは、ロシアが本気で暗号通貨経済を促進しようとしている強い意志の表れです。

また、ロシアの国営銀行であるVEBも、ブロックチェーン研究所を設立してロシア独自のブロックチェーンを開発する計画があることをほのめかしています。

これらのソースを裏付けるように、企業への融資を専門とするロシアの銀行ズベルバンクのイーゴリ・ブランツェフ代表が、ロシア版暗号通貨「クリプトルーブル」の話に言及していることから、ロシア独自のブロックチェーンの開発計画は、かなり信憑性が高いと考えていいのでしょう。

政府と中銀が暗号通貨をコントロールする

いっぽうで、ロシア財務省は、仮想通貨の個人向け販売を禁止する方針があることを表明しています。

ただ、最新のニュースでは、ロシア財務相は、個人が利用できる連邦ローン債券のような暗号通貨を扱うことを提案しています。

つまり、ロシアは、政府と中央銀行のコントロールの下で、暗号通貨の経済圏をつくろうとしているのです。

ロシア債券にリンクされた暗号通貨ということになれば、実体経済にリンクされた暗号通貨ということですから、ビットコインのような非中央集権型の暗号通貨でない分、バブルを生じる不安から解放された暗号通貨ということになります。

ビットコインは価格操縦されている?

ロシアの暗号通貨が、世界の仮想通貨市場全体に大きなインパクトを与えるのは、もう少し先のことです。

当面は、やはり、ビットコインの値動きによって市場の動向が左右されることになります。

私は、チャートを見ていて、あることに気がつきました。それは、韓国と欧米の西側陣営が、互いに寄り添うようにしてビットコインの値を下げ続けていることです。日本は当然、連れ安です。

Next: ビットコイン相場の下落が「北朝鮮への経済制裁」である可能性



ビットコインを「盗み出した」北朝鮮

中国韓国が、8月に入ってから、予告なしに仮想通貨の「監視強化」に乗り出しました。

中国に至っては、「仮想通貨の取引所全面閉鎖」の情報が出ては消え、消えては出てくる、というありさま。

世界最大手のマイニングファーム・ビットメイン社(Bitmain)のジハン・ウーでさえも、規制当局の気まぐれに翻弄されているかのようです。

今年の春から、北朝鮮がランサムウェアというマルウェアの一種を使って、Wannacry(ワナクライ)と呼ばれるサイバー攻撃を、韓国の仮想通貨取引所や大企業に仕掛けていることが確認されています。

主なターゲットは、ビットコインをメインに取り扱っている仮想通貨取引所であると報じられています。

北朝鮮に対する経済制裁の一環

北朝鮮が、西側の通貨システムや市場を混乱させる目的でWannacry(ワナクライ)を仕掛けたというのであれば理にかなっているでしょう。

北朝鮮はなぜ、たかだか15兆円規模の仮想通貨市場を破壊しようとしているのでしょうか。仮に、北朝鮮がそれに成功したとして、西側の金融システムはびくともしないのに?

明らかに北朝鮮は、ビットコインを盗んで、他国の仮想通貨取引所でそれを売り、ドルなどのフィアット通貨に替えようとしているのです。

北朝鮮の度重なるミサイル発射によって、確かに暗号通貨、特にビットコインの価格は上がりました。

しかし、8月に入ってから、中国と韓国が同時に規制を入れてきた上、それまで、ほとんど沈黙を守って来た米国の証券取引委員会(SEC)までもが、ビットコイン他の仮想通貨市場に介入してきたことを考えると、これらの措置は、北朝鮮に対する経済制裁の一環であると考えざるを得ないのです。

Next: 打撃を受ける北朝鮮/ビットコインの下値は?ゴールドマンの分析



打撃を受ける北朝鮮

中国、韓国が徹底した規制強化の方針を打ち出してから、暗号通貨はビットコイン、アルトコインの別なく下落し始めました。

これは、ビットコインを強奪した北朝鮮にとっては打撃でしょう。外貨の獲得に支障が出るからです。

あるいは、金王朝の人々、それに連なる支配層である高級官僚が、米軍の攻撃が始まった場合、他国に逃げようと準備しているのかもしれません。

仮想通貨市場は時価総額が小さいため、マクロ経済にほとんど影響しません。

だからこそ、中国、韓国、欧米の(おそらく政府とつながりのある)機関投資家が乗りだしてきて、意図的に空売りを仕掛けて値を下げ続けていると考えることもできるのです。

ビットコインの下値は?ゴールドマンの分析

ゴールドマン・サックスのテクニカル分析の責任者であるシバ・ジャファリ氏は、「ビットコインは現値から25%下落する」と予想しています。

しかし、朝鮮半島の有事が長引けば、彼女の分析以上に下落する可能性も考えておかなければなりません。

それは、市場原理を超えて、中国、韓国、米国(そして、後に日本も加わって)の各国規制当局の連携による戦略的な市場操作に違いないからです。

仮想通貨投資家の思惑をまったく反映することなく、ほとんどリバウンド局面を見せることもなく、これからも、一方的に下げ続けることが果たしてありえるのだろうか、という私の疑問を、なんとか説明しようとすると、こうした結論に至るのです。

ロシアの金融界の大物たちが口を揃えて、独自の暗号通貨「クリプトルーブル」の必要性を語り始めたのも、これから誕生するであろうロシアの暗号通貨は、ビットコインと違って、どんな高度なサイバー攻撃に対しても万全のセキュリティーを確保できるという自信の表れなのでしょう。

しかし、それは国家が値動きをコントロールできるという点で、自由世界の個人投資家にとっては、痛し痒しでしょう。

Next: なぜJPモルガンCEOは「ビットコインは詐欺だ」とまで言ったのか?



なぜJPモルガンCEOは「ビットコインは詐欺だ」とまで言ったのか?

昨年、JPモルガンは、ブリッジ通貨「リップル(Ripple)」を使った国際送金をグローバルに行う銀行連合「R3コンソーシアム」に加わりました。

しかし、それもごくわずかの期間で、JPモルガンは、すぐさまR3から脱退し、今年3月、“最強の秘密暗号通貨”と言われているZcash(ジーキャッシュ)との提携を正式に発表したのです。

この世界最大の投資銀行にとって、最も大切なことは、多国籍企業や富裕な資産家である大口の顧客の秘密を守ることです。

JPモルガンが、大口顧客の海外送金にビットコインを採用せず、さりとて、一度は検討したリップルも使わず、Zcashを採用したいと考えている理由は、その匿名性の高さにあります。

ビットコインは、その仮名性から、トランザクションを追跡しようと思えばできるのに対して、「ゼロ知識証明」という方式を採用しているZcashの場合は、それぞれのトランザクションにおける暗号通貨の量、送信者、受信者を非公開にした状態で送金処理が可能になるのです。

暗号通貨を使用したトランザクションの追跡が、絶対といっていいほど不可能なのがZcashという暗号通貨です。

また、JPモルガンは、ブロックチェーン技術「イーサリアム(Ethereum)」の開発や普及に取り組むEnterprise Ethereum Alliance(EEA)に加盟しています。

推理力を発揮するまでもなく、JPモルガンは、明らかに「アンチ・ビットコイン」なのです。

「大衆的な暗号通貨」vs「富める者のための暗号通貨」

さて、JPモルガンが、この決定に至ったいくつかの理由を挙げることができますが、大前提として、JPモルガンの根底に、99%のための国際銀行ではなく、あくまでも1%のための国際銀行であり続けたい、という強い意思が流れていることが挙げられます。

世界中には、難民をはじめとして、その国で銀行口座を開設できない人々が大勢います。

また、他国から出稼ぎにやってきた外国人労働者が、母国の家族に仕送りしようとしても、銀行から国際送金の手続きを行うと、法外な手数料が取られます。それどころか、国によっては、ちゃんと母国の相手先に着金するかどうかも不安になるはずです。

ビットコインのブロックチェーン技術は、ピア・ツー・ピアで、驚くべき安い手数料で国外送金を可能にする画期的な技術です。

したがって、ビットコインを「大衆的な暗号通貨」とするなら、Zcashは「富める者のための暗号通貨」と言うことができるかもしれません。

JPモルガンが、アンチ・ビットコインであり、大衆的な国際送金システムのリップル・プロジェクトから離れてZcashに鞍替えしたのも、当然の帰結なのでしょう。

Next: JPモルガンがZcashに乗り換えた、もう1つの決定的な理由



JPモルガンがZcashに乗り換えた、もう1つの理由

さらに、もう1つの決定的な理由があります。それは、イーサリアムと深く関係しています。イーサリアムは、暗号通貨というより、ICOのプラットフォームと言ったほうが理解しやすいかもしれません。

イーサリアムは、それ自体がまだ未完成で、完成形に至るまで、ハードフォークや仕様変更など、4度の開発段階を経なければなりません。

最終的には、4段階目の「セレニティ」を経て、ビットコインと同じプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)からプルーフ・オブ・ステイク(Proof of Stake)への移行が完了することになっています。

差し迫っているのは、最終段階の「セレニティ」への条件整備ともいえる3段階目の「メトロポリス」というアップデートで、9月下旬に実装されることになっています。

「メトロポリスと」と「セレニティ」が実行されると、トランザクションにかかるコストが圧倒的に安くなり、セキュリティも一気に強化されるので、金融業界にとどまらず、ありとあらゆる産業の様相を変えてしまうかもしれません。

JPモルガンが突如「R3コンソーシアム」から脱退すると同時に、リップル(Ripple)から最も匿名性が高いZcashに乗り換えましたが、イーサリアムが最終段階の開発を終えると、非常に匿名性が高い暗号通貨に生まれ変わるのです。

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その際に、イーサリアムに実装されるのが、Zcashで使われている「ゼロ知識証明」という技術で、9月下旬に予定されているメトロポリスの実施に当たっては、このZcashとの共同作業によって行われるとされています。

つまり、イーサリアムの性能強化と同時に、Zcashがもともと備えている匿名性技術に注目が集まると多くの投資家が期待しているのです。

ですから、JPモルガンがR3から脱退し、イーサリアムの開発や普及に取り組むEnterprise Ethereum Alliance(EEA)に加盟した上、Zcashとの提携を発表したのも自然な流れと言えます――

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※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年9月14日第223号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文や、本記事のパート2(ユーラシアの新通貨制度、ビットコインや他アルトコインの将来について)もすぐ読めます。

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