住宅ローン減税を利用している方も多いと思いますが、住宅ローン減税中に繰り上げ返済をするのって得なのか?損なのか? 悩むことありませんか? せっかくの減税メリットの効果が薄れてしまったイヤですよね。そんな方に、繰り上げ返済した場合としなかった場合についてお話しします。(『アラフィフ世代のための~家族と幸せになるお金の教室~』三原由紀)
プロフィール:三原由紀(みはら ゆき)
フィナンシャルプランナー。1965年、東京生まれ。正社員・パート・契約社員・ボランティアなど、20年間でさまざな仕事と働き方を経験。2015年に合同会社を立ち上げ、FP個別相談・事務サポート・健康食品の紹介など自分の本当にやりたい複数の業務で収入を得る働き方を実践している。ブログ『40代・50代女性のためのお金の相談室』を運営。
試算すれば一目瞭然! 住宅ローン減税と繰り上げ返済の損得勘定
誰もが悩む「繰り上げ返済」
住宅ローン減税を利用している方も多いと思いますが、住宅ローン減税中に繰り上げ返済をするのって得なのか?損なのか? 悩むことありませんか?
繰り上げ返済をすることで、せっかくの減税メリットの効果が薄れてしまったらイヤですよね。そんな方に、この夏に繰り上げ返済した我が家の実例をお話します。
繰り上げ返済をした場合としなかった場合について考えてみましょう。
住宅ローン減税のキホン
住宅ローン減税についてカンタンに説明すると、以下になります。
- 毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除
- 所得税で控除しきれない分は、住民税からも一部控除
- 住宅ローンの借入れを行う個人単位で申請
- 消費税率の引き上げに合わせて、大幅に拡充
ちなみに、我が家が今回の住宅ローンを組んだ平成21年は最大控除額500万円でした。つまり、毎年50万円までの控除を10年間受けられるということです。
50万円の控除 = ローン残高5,000万 になります。
我が家も含め一般的に、ローン残高は毎年減っていくので、控除額も減っていきます。
子育て中の世帯は、教育費もかかるのでなかなか繰り上げ返済は難しいものです。しかし、老後資金の準備も必要。借金は減らしておきたいですよね。
100万円を定期預金で運用すると、10年後はいくらになる?
現在のマイナス金利で貯蓄をすると、元金保障の定期預金の金利は0.01%。
年利0.01%(複利)で、100万円は10年後に、100万1,000円 です。
利息は1,000円です。
住宅ローン100万円を繰り上げ返済すると?
住宅ローン減税中に、100万円を繰り上げ返済したとします。その場合のメリットと、住宅ローン減税への影響をみてみましょう。
ローンの内容は、金利0.85%、毎月返済額180,840円 です。
借入金融機関の返済表を参照すると、100万円に最も近い元本は2017/7から2018/1までで、1,079,311円です。つまり1,079,311円を繰り上げ返済することで、利息合計186,569円を圧縮することができます。
定期預金にしておくよりは、繰り上げ返済した方がメリットが大きいことがわかります。
繰り上げ返済の代わりに「同額で投資」すると?
また仮に、繰り上げ返済をする代わりに、同額で投資をする場合を考えてみましょう。
1,079,311円を元手に、10年後に186,569円(繰り上げ返済で圧縮できるローンの利息分)を増やすには、年利1.6%(複利)で運用することになります。
Next: 繰り上げ返済で節税効果はどれくらい減ってしまう?
繰り上げ返済による住宅ローン減税への影響は?
住宅ローン減税は、毎年の住宅ローン残高の1%を所得税より控除する制度でしたね。
つまり、前掲の住宅ローン返済表に基づき、2017年は7/26から12/26までの元本合計924,796円、2018年は1/26の元本154,515円が、当初の住宅ローン返済額より減ることになります。
当初の控除額より少なくなる金額は、
2017年は924,796円 × 1% = 9,247円
2018年は154,515円 × 1% = 1,545円
です。
実際の計算では100円未満端数切り捨てなので、
2017年は9,200円
2018年は1,500円
が、当初予定より所得税の控除が少なくなります。
つまり、節税の機会損失は10,700円です。
まとめ
住宅ローン減税中に約100万円(1,079,311円)を繰り上げ返済すると、住宅ローンの利息186,569円を圧縮できます。
代わりに、住宅ローン減税額10,700円(2017年9,200円、2018年1,500円)が当初予定より少なくなります。
いかがですか? 住宅ローン減税に及ぼすデメリットはあまり気にならないのではないでしょうか?
また、100万円を貯蓄するのであれば、繰り上げ返済をした方が効果が高いことがわかります。
仮に10年間運用したとすると、繰り上げ返済をすることは年利1.6%の預金と同等の効果があるのです。現在の年利0.01%と比べると160倍の金利ということです。
やみくもに繰り上げ返済するのは危険
ただし、効果が高いからといって、やみくもに繰り上げ返済をするのはオススメできません。
各家庭の貯蓄額や返済者の年齢、出費の予定によっては、繰り上げ返済をしない選択が良いこともあるからです。
繰り上げ返済するときには、ライフプランを考えて検討することも重要です。
団信があるから、繰り上げ返済は必要ない?
実は、我が家の住宅ローン、残高が結構あります。住宅買い替えの見通しが甘かった…という「しくじり先生」です。なので、次は(おそらくないけど)住宅については、ローン・購入・買い替え・注文住宅に関することなどなど、かなり上手くやれる自信はあります。我が家にはもう活かすチャンスはないかもしれないけれども。住宅ローンなどなどについてお悩みの人のお役に立てる自信はかなりアリ。
住宅ローンは、団信(住宅ローン専用の生命保険)もあるし、ギリギリまで繰り上げ返済はしないでいい、と思っていました。しかし、ギリギリになりました(笑)ので、今回は繰り上げ返済を久しぶりにしました。
借りてから年数が経っているし、利率も低いし、それほど効果ないのかな?と思っていましたが、気持ち良いくらい利息を圧縮することができました。
余談ですが、最近は団信も、ガン団信などと色々あります。今、借りる・借り換えするのであれば、絶対にガン団信を付けます! 当時、こんな団信があったら…。
『アラフィフ世代のための~家族と幸せになるお金の教室~』(2017年10月9日号)、著者ブログ『40代・50代女性のためのお金の相談室』より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
アラフィフ世代のための~家族と幸せになるお金の教室~
[無料 ほぼ週刊]
専業主婦・パート主婦・起業をしている/したい主婦、どんな立場でもお金の問題・悩みはツキもの。家族と幸せになるには、マインドだけでなく、実際にお金の問題を解決することが重要です。学校では教えてもらえなかったお金の扱い方を学びましょう。