現在の金利は、官製レートでは「ゼロ近辺」や「微マイナス」です。しかし、現に日本経済で起きていることを考えると、実質の金利は高騰しているように見えます。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
中小・零細企業や個人への貸し付け不足が日本のデフレを加速する
日本経済に「実質金利暴騰」の疑い
「官製レート」では、ゼロ近辺とか微マイナスの金利ですが、どうも日本経済で起きていることから考えると、実質金利はかなり高くなっていると思われます。
おそらく金融機関が何ら条件が無いなかで、中小企業や零細企業、それに個人に貸し付けてもよいと考えるレートは年利30%とか年利40%でしょう。
そのような金利では実際に貸し出しはできませんから、10%台の金利での貸し出しは断ることになります。
金融機関からすれば、中小・零細企業や個人は、売上が厳しかったり生活が苦しくなっていて与信レベルが下がっているので、貸し出しには慎重になります。
ですから、ゼロ付近の金利は「官製レート」としては存在しても、実際は年利30%とか40%レベルなのでしょう。
こうした金利では実際に融資が行われないため、目には見えないのですが、実は、日本の金利はかなり高くなっていると言えるでしょう。
計算式でみると?
これが、計算式ですが、「官製レート」では、
だいたい、このような感じでしょう。
ところが、日本の生活者の実感は、
実質金利が10%で、デフレ(物価の下落)が10%とか、あるいはそれ以上というのが実感でしょう。
真ん中の名目金利が「0」なので、表面上は「実質金利が高い」というのはわかりにくいのですが、生活実感からすると、非常に実質金利が高い「金融引き締めモード」であることが明らかになります。
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不足する中小・零細企業や個人への貸し付け
こうした高い金利でリスクをとって貸し出すのは、かつては日栄や商工ファンド(SFCG)でした。
しかし、「臓器を売って金返せ」という取り立てが社会問題化した日栄は消滅。また商工ファンドも、裁判を連発する異常な取り立てを行っていました。裁判所の期日簿(予定表)をみると、日本全国どの地域に行っても、商工ファンド(SFCG)が、ずらりと並んでいるのです。さらに、商工ファンド(SFCG)は、リーマンショックも重なり経営破たん。
これらの企業は確かに問題を抱えていましたが、世の中から消え去ってしまうことで、その分の融資も日本社会から消えてしまったのです。
こうして、「官製レート」だけが残ったわけですが、中小・零細企業や個人への貸し付けは不足することになり、日本のデフレを厳しいものにしていると考えられます。
『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2017年11月30日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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