私は一昨年まで、ビットコインが仮想通貨の主流であり続けると考えていました。でも、それはどうやら難しいようです。何がビットコインに取って代わるのかを考察します。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)
プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。
※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年2月26日号の前書きを一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛したメインコンテンツ(日経平均株価や原油相場の分析)もすぐ読めます。
目下、急騰中のビットコインに取って代わる意外な伏兵とは?
ビットコイン、あっさり高値更新
ビットコインが13年12月につけた1200ドルを超えて、17年2月24日に1215.8ドルまで上昇しています。当面、超えられないと見られていた高値をあっさりと抜いてしまいました。
24日に配信されたロイターのニュースによると、「米規制当局がビットコインの価格を反映する上場投資信託(ETF)を初めて認可するとの思惑から買われた」ということです。
ネット上で関連ニュースを追ってゆくと、ビットコインに連動したETFの上場を投資家ウィンクルボス兄弟が2014年に提案し、アメリカ証券取引委員会(SEC)に許認可するよう申請していました。
その最終判断の期限が2017年3月11日で、認可されれば、ビットコインへのさらなる需要が見込めることから、事前に人気が高まったようです。
ペーパーマネーへの揺らぐ信認と、加速するビットコイン人気
リーマンショック後、先進国がこぞって通貨供給量を増加させたことで、紙のお金の価値が下がり、以前より紹介している通り、基軸通貨であるドルの信認も薄れつつあります。
そのような中で、もともと信認のない人民元からの逃避として、中国でのビットコインの需要が盛り上がり、仮想通貨の取引量が増え、その価値を高めています。
私が昨年1月に出版した『株の値動きは4回のうち3回当てられる』では、ビットコインについて、30ページくらい割いて、16年に価格が上昇し、その後、大幅な上げ場面が訪れる可能性があることについて書きました。
本のタイトルと内容が異なりますが、もともと、一般的な年収の人が毎年投資で収入を増やすため、具体的にどうするかということがテーマとして言われていたので、タイトルの方がテーマから離れてしまったように思います。
昨年の本は、あまり売れず、アマゾンで酷評されています。わかる人が読めば、すごくいい本なのですが、タイトルから理解できない人ばかりが手に取ったのだと思います。
それでもビットコインは仮想通貨の主流になれない?
本でもしっかり紹介したように、一昨年まで、私はビットコインが仮想通貨の主流であり続けると考えていました。しかし現在は、ビットコインが仮想通貨の主流であり続けるのは難しいという考え方に変わりました。
Next: 仮想通貨の主役交代。何がビットコインに取って代わるのか?
ビットコインの「ライバル」は中央銀行
今年、三菱東京UFJ銀行が秋ごろに仮想通貨を発行し、それにみずほ銀行も続くようです。
各国中央銀行は、仮想通貨を発行した場合の実体経済への影響について具体的に調べだしています。日銀のホームページには、「中央銀行発行デジタル通貨について」という昨年11月に出したレポートが掲載されています。
日本では、昨年5月、仮想通貨の関連法案(主に仮想通貨交換業者を管理監督するための法律)が国会で可決されて、今年、施行されることになります。
これまでの流れを見てゆくと、ビットコインは、仮想通貨の主流であり続けるのが難しく、いずれ、中央銀行が発行する仮想通貨が取引の主体となって、ビットコインなどの取引量が減ってゆくことになるという考え方に変わりました。
足元のビットコイン相場はETF上場の行方しだい
今回、ビットコインのETFが上場できるなら、中央銀行が仮想通貨を発行するまで、ビットコインが仮想通貨の中心であり続けることも考えられます。その場合、価格はさらに何倍にもなる可能性があります。
上場を拒否されるなら、今年の高値がビットコインの最高値になるかもしれません。
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読者購読すると今すぐ読める!有料メルマガ(2017年2月26日号) 目次
1.原油は3月に上昇する
2.パワー・トレンド講座、第二十回 日経平均が目先もちあいレンジ下限割れになる意味とは
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『『少額投資家のための売買戦略』』(2017年2月26日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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値動きには理由があります。一般的に言われているような確率や、需給の変化を見るだけでは、先のことなどわかりません。確率論や、統計データ分析をやりつくし、挫折を味わった経験があるからこそ、理解できた値動きの本質を書いてゆきます。