マネーボイス メニュー

Albert H. Teich / Shutterstock.com

今年こそ暴落がやってくる? ストックマン元議員の「3月15日危機」警告

元米下院議員で、レーガン政権では米行政管理予算局長を務めたデビッド・ストックマンは「米国経済はこの夏から下り坂となり、経済災害の奈落に落ちていく」と警告しています。「その始まりは、3月15日である」と。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年3月2日第197号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

※不許複製・禁無断転載(本記事の著作権はメルマガ著者および当サイトに帰属します。第三者サイト等への違法な転載は固くお断り致します)

2017年の「米国債務上限問題」は、これまでとはまったく違う

3月15日以降、米政府の一部の機能がシャットダウンする可能性

デビッド・ストックマンは、ミシガン州選出の元下院議員で、レーガン政権では米行政管理予算局の局長を務めた経済通。

ロスチャイルド財閥の米投資ファンド大手、ブラックストーン・グループで、シニア・マネージング・ディレクターを務めた経歴を持ち、ストックマンの意見には多くの専門家が耳を傾けてきました。

彼は2012年頃から、「2008年金融危機後の連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策は、持続不可能どころか、経済成長の火を完全に消すことになる」と、中央銀行制度のまやかしを糾弾し、「米国の終わり」を強く警告してきました。

2014年には、グリーンスパン元FRB議長を、ひたすら紙幣を印刷させて米国の未来を潰した「史上最凶の中央銀行の詐欺師」と名指しまでしています。そのグリーンスパンは、量的金融緩和が失敗であったことを認めました。

デビッド・ストックマンは、2014年10月、日銀の金融政策決定会合において、9人の政策委員のうち5人が、マネタリーベースで年間80兆円の金融緩和を決定したとき、「日銀の狂った5人の委員が、金融サメをジャンプさせて襲いかからせる」と酷評。

反対した他の4人についても、「彼らは半分だけ狂っているだけマシだ」と、日銀の異次元の金融緩和をボロクソに批判していました。

中央銀行バブルが世界中で始まっている。日本が、再び経済成長路線に乗ることなどあり得ないどころか、破綻は避けられない」と、その舌鋒の鋭さは以前にも増してシャープになっています。

しかし、デビッド・ストックマンの警告は、多くのアグレッシブな投資家にとっては耳障り以外の何物でもありません。

そんな彼らでさえ、つい10日ほど前に行われたインタビューでの、「3月15日以降、すべては急停止する」という真に迫ったストックマンの警告だけは無視できないようです。

2016年にトランプ勝利を予測する『トランプ』と題した本を書いたストックマンは、「トランプが奇跡でも起こさない限り、米国の経済崩壊は止められない」と悲観的な予測を出しています。

Next: Zero Hedge(ゼロヘッジ)にアップされた「ストックマンの警告」の要点



Zero Hedge(ゼロヘッジ)にアップされた「ストックマンの警告」の要点

世界最大の投資専門投稿サイト・ゼロヘッジ(2月27日アップ)は、「ストックマンの警告」の要点を以下のようにまとめています。

今、市場は過熱しており、何を警告しても焼け石に水の状態だ。

トランプが米国経済の救世主だって?そんなものは妄想だ。まるで、赤ちゃん同士が、バブバブ言い合っているかのようだ。

それに大減税だって?それを押し進めるために何が必要なのかは全く分析されていない。要するに、トランプは罠に嵌められているのだ。

今日、米国政府の債務は20兆ドルをゆうに超えている。それはGDPの106%に相当する。トランプが公約を果たすとすれば、今後10年間で、さらに10兆ドルの赤字を積み増しすることになる

そんな状況でも、トランプは国防支出を増大させるという。彼は企業と国民のために思い切った減税を行おうとしている。彼は、メキシコとの国境警備と法の執行に、今まで以上の予算を投入しようとしている。彼は退役軍人の手当を厚くしようとしている。彼はこの1兆ドル規模のインフラ投資計画を実行するつもりでいる。

トランプが、これらすべてを同時にやろうとすることは狂気の沙汰だ。

すでに帳簿に載っている20兆ドル以上の借金を背負っている国に、いったい誰が10兆ドル以上の借金をすることを許すというのだ。そんなことは、絵に描いた餅、実現しない。

――ストックマンの警告の中には、爆弾発言が含まれている

人々が見落としているのは、2017年3月15日という日付だ。これは、2015年10月の最後の選挙の直前に、オバマとベイナー下院議員がまとめた債務上限の取り決めだ。それは、連邦債務上限を引き上げ、「米国の借り入れ上限を2017年3月まで延長する」というものだ。

これは、2015年11月3日にも資金が枯渇し、迅速に対応しなければデフォルトのリスクを回避できないとする米財務省の緊迫した財政難を反映したものだ。

しかしそれは、2017年3月15日に終わるのだ。そのとき、債務上限は20兆ドルで凍結されるだろう。これは法律で決められているのだ。

今現在、米財務省は約2,000億ドルの資金を保有している。しかし、政府は、毎月750億ドルの資金を取り崩しながら運営している。夏までに、それは底をついてしまう。クラッシュアウトするのだ。

トランプが、それを無視して公約どおり財政出動しようとすれば、それ以後は、借金の青天井だ。

いずれにしても、すべてが止まる。 政府はシャットダウンする可能性がある。

オバマケアの廃止と代替案の実施には、1秒とも無駄にはできない。減税なども夢のまた夢だ。もちろん、1兆ドル規模のインフラ投資刺激策もありえない。

ますます、債務限度額を上回る巨額の財政赤字が増え、もう誰も彼や彼の共和党には投票したくないと言い出すはずだ。

Next: ストックマン「市場は容易に20%、おそらくもっと多く修正するだろう」



市場崩壊? 3月15日以降に訪れる2つのビッグ・イベント

このインタビューで、ストックマンは、こうも言いました。

市場は容易に20%、おそらくもっと多く修正するだろう…

そして、「現在の株価と、米国経済の実際のパフォーマンとの間には紛れもない断絶があることに注目すべきだと」言いました。

2つのビッグ・イベントの1つは、債務上限危機です。

3月15日を境に、米国政府は法律の定めるところによって、これ以上借金をすることによる追加資金の調達ができなくなります。以後、政府は、毎月の税収のみで運営しなければなりません。

もちろん、それだけでは現在の支出水準を満たすことはできず、このままでは、この夏にも、財務省が保有する約2,000億ドルを使い切ってしまうことは確実です。

米議会が何らかの方法で予算を手当てできないとウォール街が理解すれば、それは投資家による売り浴びせを誘発することになる、とストックマンは警告しているのです。

米議会は、過去、70回もの債務上限の引き上げを行ってきましたが、おそらく、今回、議会は債務上限を引き上げるための法案の提出はできないので、現在の取り決めでは、予算の割り振りをする権限が大統領に与えられているため、まず予算の切り捨てが断行されるだろうとストックマンは見ているのです。

事実、トランプは、気候変動対策のような環境保護局(EPA)の予算をカットし、水質浄化プログラムを中止しようとしています。

それほど予算はひっ迫しており、各省庁の予算カットが進むと、最終的には政府機能の一部が停止する事態を引き起こすでしょう。

もっとも懸念されるのが、債務上限を抑えられるため、オバマケアを廃止して代替プランに移行することが困難になることです。

ストックマンは、それが金融市場に悪影響を及ぼし、現在の市場における強気な楽観主義は、すぐに潰え去ってしまうだろうと見ているのです。

Next: ストックマン「1987年の株価大暴落より、もっと凄まじいことになる」



ストックマン「1987年の株価大暴落より、もっと凄まじいことになる」

もう1つのビッグ・イベントとは、連邦政府の利上げです。

ストックマンは、「連邦準備制度理事会(FRB)は、3月15日あたりに利上げを行うつもりでいる」と見ています。

事実、数時間前のテレグラフも「FRB議長のジャネット・イエレンが3月中の利上げを示唆」との記事をアップしました。

「トランプとFRBとの対立が、いよいよ本格化してきた」そうした見方もできないこともありませんが、FRBが通貨の発券権限を独占している限りは、紙幣の印刷の暴走を制御するための政策としては、それは理にかなっているのです。

主流メディアが報じているように、本当に3月15日あたりに利上げが行われた場合、他の通貨に対してドルが強くなるのでドル高になります。

金利の上昇は、反対に、金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属の下落要因となります。実際に、イエレンの利上げを示唆するアナウンスがあってから、金と銀は下落しています。

これに対してストックマンは、1トロイオンス当たりの銀(シルバー)価格は、現在の18ドル近辺から4ドル以上、下落すると見ています。

インタビューの最後にストックマンは、「私は、1987年の株価大暴落のときより、もっと凄まじい暴落を演じると予想している」と付け加えました。

1987年10月19日、いわゆる「ブラック・マンデー」では、たった1日でNYダウが前日比で508ドル(下落率では22.6%)も暴落しました。翌日20日の日経平均も一気に連れ安して、前日比3836円安(下落率では14.9%)を記録したのです。

翌日、リバウンドがあったものの、しばらくの間、乱高下を繰り返して、その後、低位で足止めされたのです。このストックマンの見立てが正しいのかどうか、もうすぐ判明します――
続きはご購読ください。初月無料です

初月無料購読で今すぐ読める!最新号(3/9 第198号パート1)の内容

ブロックチェーンの光と影 各国の中央銀行が仮想通貨を発行-未来の支配者は誰か?(その1)

・ブロックチェーンが地球上のすべての取引に地殻変動を起こす
・ブロックチェーンは反中央集権的な技術
・ブロックチェーンが中央銀行に利用されるとビッグブラザーの危険性が出てくる
・不思議な中央銀行「イングランド銀行」もブロッチェーン技術の導入を計画
・「ビッグブラザー」は通貨によって支配・監視する
・日銀は国際決済銀行(BIS)が世界統一通貨を明言するまで態度を明らかにしないだろう
・ブロックチェーンは株式取引の姿を激変させる
・インドで実行された社会工学的な実験
・BIS、IMF、世銀、そしてFRBは世界統一政府の恒久的な確立を目指している
・パナマ文書のリークと「腐敗対策サミット 2016(Anti-Corruption Summit)」は茶番劇である
・実は「99%」の人々ほど、「私は何をすべきでしょうか」と訊ねたがる


※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年3月2日第197号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した続き(混沌のヨーロッパより深刻なのは米国の差し迫った消費不況/待つばかりのシアーズの死・・・始まった“小売の黙示録”/象徴的な「ファミリー・クリスチャン」の永眠)や、最新号(3月9日第198号パート1)もすぐ読めます。

【関連】「世界の終わり」に本気で備え始めたシリコンバレーのIT長者たち

【関連】トランプ米大統領と「エホバの証人」知られざるユダヤ・コネクション

【関連】なぜ黒田総裁は日本経済を破滅に導くのか?「異次元緩和」本当の狙い

「カレイドスコープ」のメルマガ』(2017年1月31日第192号パート1より一部抜粋、再構成

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

『カレイドスコープ』のメルマガ

[月額770円(税込) 毎週木曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
『カレイドスコープ』は、よく「目から鱗」と言われます。国内外の確かな情報を、いくつも紡いで面にしたときに、初めて世界で起こっている事象の深層に迫ることができます。今こそ、ご自分のアングルと視座をしっかり持って、視界ゼロメートルの霧の中から脱出してください。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。