今現在進行形のドル安・円高は、黒田日銀総裁への信任の低下で起きているのではないでしょうか。次期総裁人事が絡んで、1ドル105円まで進む可能性もあります。(『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』藤井まり子)
※本記事は有料メルマガ『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』2018年1月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
まったく覇気がない黒田総裁。プロパー総裁誕生で円高が加速か?
日銀総裁人事次第では、1ドル105円の覚悟を
為替の動きは予測不可能といわれています。私は当メルマガで、ドルインデックスについては「ドル安でアメリカ経済と世界経済は繁栄」と、昨年からお伝えしてきました。ただし、今年のドル円の具体的な予測は、避けてきました。実際に予測不可能だったからです。
あえて、今後のドル円の動きを予測すると、日銀総裁人事と絡んで、1ドル105円くらいの円高が起きても不思議ではないです。覚悟しておきましょう。
今後のドル円の動きを占ううえでは、やはり、
- 日米欧の中銀の金融政策
- 購買力平価
が重要になります。
まず購買力平価では、今現在のドル円は、下記の図を見てもわかるとおり、
- 日米の消費者物価から眺めると、1ドル125円あたりが妥当
- 日米の企業物価から眺めると、1ドル95円~96円あたりが妥当
- 日米の輸出物価から眺めると、1ドル76円あたりが妥当
だいたい上記の3つの購買力平価の間に収まってきました。ですから、年初の1ドル113円の為替水準は、ちょっとだけ「割安」であったかもしれません。いつ「1ドル109円~108円あたりまでの円高への揺り戻し」が起きたとしても不思議ではなかったのです。
為替相場は「行き過ぎる」こともありますから、1ドル105円くらいの円高が起きても、不思議ではないと考えます。
黒田総裁の「コミュニケーション能力の低さ」が露呈
日銀とFRBの金融政策の違いについて、皆さまはご存知でしょう。FRBは2018年も政策金利の引き上げを行います。アメリカ経済が拡大を続けているからです。
FRBは、2018年は0.25%の政策金利の引き上げを「4回」行うことでしょう。ただし、「FEBは『バランスシートの縮小』計画を2018年のどこかの時点で断念、あるいは放棄するのではないか?」と、今から疑われています。つまり、アメリカドルは様々な通貨に対して安くなりやすいのです。
一方日銀は…、黒田日銀総裁の「コミュニケーション能力の低さ」が日に日に露呈し始めています。黒田日銀総裁の覇気のなさは、もはや「レームダック(役立たず)であること」を自らバラしまくっているみたいな感じです。
Next: 正反対の質問に同じ答弁? 怪しくなってきた黒田総裁
正反対の質問に同じ答弁
最近の黒田氏は、記者から難しい質問を受けると、「自信なさそうに早口の応答で誤魔化す」ことや、官僚みたいな「通り一遍の棒読みの応答」が多くなりました。
マーケット関係者がとても注目したのは、次の2つの答弁です。
1月23日の記者会見で日本人記者から受けた「なぜ2%インフレ目標なのか? 日本人には物価上昇を嫌う人が多いのだから、1%インフレ目標でよいのではないのか?」という質問に対する、黒田日銀総裁の応答。
また、ダボス会議でのフィナンシャル・タイムズの外人記者から受けた「日本はデフレが長かったのだから、4%インフレ目標を掲げたほうが良いのではないのか?」という質問に対する、黒田氏の応答です。
上記の質問に対しての答弁が、まるで「官僚」みたいに同じ内容で、しかも「中身のない、棒読み状態」だったことです。
正反対の質問に、同じ内容の答弁を棒読みする黒田日銀。黒田日銀総裁は「本質的な理屈が理解できていない?」、あるいは「やる気があるのか?レームダック化が始まっているのか?」ということで(そういう噂は以前からあったけど…)、多くのマーケット関係者はかなり衝撃を受けてしまいました。
ドル安・円高は黒田日銀への不信感からか
今現在進行形のドル安・円高は、「黒田日銀総裁への信任」の低下で起きているのではないでしょうか?
ただでさえ、日銀は、構造失業率(NAILU)の計算方法を誤魔化しています。さらに日銀は、採用するインフレターゲットを諸外国並みに「エネルギーと生鮮食料品を除く消費者物価指数」にしていません。ターゲットを「生鮮食料品は除くけど、エネルギーを含む消費者物価指数」に設定して、意図的に確信犯的に(?)「実際の物価目標水準」を低めに設定しています。
黒田日銀総裁は、「2014年の消費税増税が日本の景気に水を差して、2%インフレ目標達成の障害になった」事実も、いまだに認めていません。
かくして、「日銀の総裁がどうも理屈を理解していないようだ」ということで、一部の投機筋は、円買い日本株売りをしているのかもしれません。
Next: 注目の次期日銀総裁人事は「プロパーの人物」に白羽の矢が立つ?
次期日銀総裁はプロパーの人物か
さらに、黒田日銀総裁人事に注目が集まっています。
黒田日銀総裁の続投なるのか? 漏れ伝わるところでは、ご本人もお疲れ気味で、「再任(=続投)」を望んではいないとも聞きます。
黒田日銀総裁が退任して、日銀プロパーの人物が次期総裁となれば、「円高が進行して日経平均は下がる」と見る向きが多いです。
やはり、1ドル105円は覚悟した方が良いのでしょうか。
日銀人事については、本田悦郎氏が副総裁として次期総裁を援護射撃するという情報も漏れ伝わってきています。
本田悦郎氏は、安倍首相の信任も厚い「リフレ派」の人物で、理論にも強い人物です。そもそもまだ若くて元気です。本田氏が次期副総裁に就任したならば、日本株式市場も再び力強い上昇トレンドを回復できることでしょう。
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『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』(2018年1月30日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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