マネーボイス メニュー

ビットコインにまだ慌てるな。今後は銀行主導の世界が待っている=伊藤智洋

暴落やコインチェック問題でやたら仮想通貨が批判されていますが、お金が仮想通貨へ移行する動きが止まるわけではありません。ビットコイン価格の展望とともに解説します。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年2月11日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(金、NYダウの今後のシナリオ)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

【関連】ビットコイン「ガチホ時代の終焉」と計画的急落。株式市場の連鎖崩壊は起こるか?

「底が見えるまで手を引くべき」今後のビットコインの値動きは?

すでに投機の対象でしかない

昨年12月24日に配信した当メルマガで、ビットコインは、半年から1年程度の期間で60万円前後の値位置まで下げると書きました。このときは早くても3月頃と推測していましたが、昨年12月18日以降の急落が止まらず、2月5日には70万円を割れる値位置まで下げてしまいました。

予定の地点まで値が下げたため、このメルマガを読んでいる方が、買い場だと判断することも考えらえるので、今後の読み方を書いておきます。

ビットコインは、現時点で、通貨としての価値を失い、すでに投機の対象でしかありません。今後、通貨としての価値を回復していく可能性がありますが、それは、価格が安定した後、多くの人が再びビットコインが便利だと判断する状況になってからです。

投機は、姑息で汚い手段で、通常の経済活動を利用して、お金をかすめ取っていきます。経済活動であらわれる資金移動の事情によって作られる、毎年繰り返される価格変動に乗り、その動きを増幅させることで大きな利益を得る作業をしています。投機は、実需のそうしなければいけない事情を利用して、利益を得ています。

ビットコインは、まさにこれから上昇するのだと煽られたという、昨年までの特殊事情によって、特別な需要が生み出されました。投機は、その実需による買いを増幅させて利益を得るため、ビットコインに入ってきました。

この実需は、通常の経済活動であらわれるものではなく、新しく魅力ある商品が生み出されたことによる一時的なものに過ぎません。株ならば、毎年年度末から年度初めに向けて積極的な資金移動があって、多くの銘柄が上昇しやすくなります。ビットコインには、そういうものがないのです。

現状では、投機が再び積極的になる基準が値段しかありません。いくらになれば、積極的な買いが多く入り、ビットコインを買いたいと考えている人が出てくるのかが確認して、初めて、投機的な人気が再燃することになります。

そうなると、この値位置なら買いたいという場所をレンジ下限として、投機が利益を得られる程度のレンジを毎年つくる動きになります。今後、そのようなレンジ内の展開があらわれるなら、ビットコインの市場は、長く続く可能性が出てきます。

60万円前後は、今後つくるレンジ下限になるかもしれない値位置に過ぎません。今後、さらに下値を掘り下げて、30万円、10万円以下になることも考えられます。

今後のビットコインの値動きは?

60万円前後が誰もが買いたいと考えている水準なら、2月の安値付近が押し目底になって、今年、150万円程度まで上げる動きがあらわれるはずです。

そのような展開にならず、下値を掘り下げるなら、一度、30万円以下まで下げる、あるいは、徐々にボラティリティが減少していき、低水準であまり値動きのない状態になっていくことも考えられます。

今後、下値を掘り下げる動きへ入る場合、2月に押し目をつけた後の反発は、100万円前後で上値を抑えられて、再度、下降の流れへ入る公算です。

上下の値動きにかかわらず、下げられない値位置が見えてくるまで、手を引く方が無難です。市場として成立するなら、一定のレンジでの動きになるのですから、今買っておかなければ損というわけではありません

下図は、今後のビットコインの想定される値動きです。

ビットコイン 日足チャート

ビットコインの暴落や、コインチェックの事件などで、最近、やたら仮想通貨が批判されてきていますが、今後、仮想通貨へ移行する動きが止まるわけではありません。

仮想通貨は、銀行が積極的に進めていくことになるからです。

Next: 銀行が先導する? まだまだ止まらない仮想通貨への移行



銀行が積極的に進める「仮想通貨」

2018年は、三菱東京UFJ銀行が「MUFGコイン」、みずほ・ゆうちょ・地銀のグループが「Jコイン」を発行すると言われています。

仮想通貨発行による銀行のメリットは、経費削減ビックデータの蓄積です。

昨年11月にメガバンクは、今後数年かけて、みずほが1万9,000人、三菱UFJが9,500人、三井住友が4,000人という大規模な人員削減を発表しました。銀行は、高い経費率が利益を圧迫してきたため、本格的な体質改善に動き出しました。その取り組みの1つが、仮想通貨の発行だと考えられます。銀行を中心とする閉鎖空間の中での仮想通貨の発行は、信頼性が保たれて、データ管理費が大幅に削減できることになります。窓口業務も減り、人員を削減できることになります。

もう1つのメリットは、ビックデータの蓄積です。MUFGコイン、Jコインの管理会社は、利用者の詳細なお金の動きをビックデータとして蓄積することになります。これまで銀行は、人のお金の出し入れまでは管理できていましたが、何をいつ買ったのかということまでは詳細に把握できていませんでした。これが仮想通貨であれば、詳細なお金の流れまでがわかるようになります。このようなデータが、今後、銀行の新たな事業へと発展していくと言われています。

みずほフィナンシャルグループ<8411> 日足

上図は、みずほフィナンシャルグループの日足です。

みずほフィナンシャルグループは、経費率が76.4%とメガバンク3社の中で最も悪く、危機的な状況でした。そのため、株価は、2013年以降の株価の上昇局面でも、上げ幅が抑えられて、(マイナス金利の影響もあり)200円を割り込んでいます。

しかし、今年から毎年1900人ずつ、10年かけて人員を削減し、仮想通貨によってシステムにかかる経費を大幅に縮小していくことができます。

そして、Jコインが流通するようになれば、ビックデータを利用したビジネスへと発展していく可能性があります。

メガバンクは、現在の問題点を改善し、そして、新たな展開へ舵を切っているわけです。みずほの200円以下の値位置は、10年後に見れば、おいしい値位置だったと考えられるようになっているかもしれません。

続きはご購読ください<残約3,600文字+チャート21枚>

1. 金は2月に本年の最安値をつける可能性がある

※この項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ購読!

2. パワー・トレンド講座、第四十三回:下げ幅の大きさが天井を示す

※この項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ購読!


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年2月11日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛した「金は2月に本年の最安値をつける可能性がある」もすぐ読めます。

直近の詳細な相場シナリオ分析はメルマガをご覧ください

2月11日号 目次
今後のビットコインの想定される値動き(チャート付きの解説と展望)
1. 金は2月に本年の最安値をつける可能性がある
2. パワー・トレンド講座、第四十三回:下げ幅の大きさが天井を示す
※本記事で割愛した項目(図表とチャート付き)は有料メルマガ内で見られます

※過去の日経平均株価のシナリオの精度は、以下のアドレスで確認できます。
http://www.p-trend.jp/docs/Ito-NKPFM160801.pdf

【関連】なぜ買い豚も売り豚も自滅するのか?「次の暴落」が怖くなくなる投資術=鈴木傾城

【関連】中国はなぜビットコインを潰しにかかったのか? 不都合な規制の裏側(前編)=高島康司

【関連】仮想通貨でも日本は負け組になるのか? 世界とかけ離れた日本の課税=俣野成敏

『少額投資家のための売買戦略』』(2018年2月11日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

有料メルマガ好評配信中

『少額投資家のための売買戦略』

[月額1,078円(税込)/月 毎月第2・第4日曜日(年末年始を除く)]
値動きには理由があります。一般的に言われているような確率や、需給の変化を見るだけでは、先のことなどわかりません。確率論や、統計データ分析をやりつくし、挫折を味わった経験があるからこそ、理解できた値動きの本質を書いてゆきます。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。