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中国経済「ソフトランディング」はこうして実現する!次なる不動産バブル形成のタイムリミットは1年=藤井まり子

この7月は、各国株式が調整ムードを強める中、原油や銅など商品相場の低調さが目立ちました。原因として中国経済の減速懸念が囁かれていますが、その実態は?資産管理の専門家・藤井まり子氏は、株と不動産を循環する中国資金の性質や、地方政府の徹底した住宅価格操作に着目し、「中国経済はソフトランディングできる可能性が高い」としています。

ソフトランディングに向かう中国経済

「中国経済はソフトランディングできる可能性が高い」ということは、「今後の世界経済」を見通すうえで、とてもとても重要なことです。

7月に入って、「中国経済減速」疑惑から、WTI原油価格が1バーレル47ドル台と、50ドル台を大きく下回っています。原油価格同様に、鉄鉱石価格も銅価格も石炭価格も……ありとあらゆる資源コモディティー価格が値下がっています。

この夏のグローバル・マーケットは、「中国経済減速懸念」、それに伴う「資源コモディティー価格の急落」「ロシア・ブラジル・オーストラリアなど、資源国をはじめとする新興国群の景気減速懸念」、ひいては「世界経済減速懸念」の中で、株式市場も調整局面に入ったように見受けられます。

けれども、この「調整」は、「中国の住宅バブルの崩壊」が原因ではなく、ましてや、「中国の株式市場の崩壊」が原因ではないのです。

上海総合指数日足 7/29終値=3,789.17 +126.17 (+3.44%) (SBI証券提供)

この「調整」は、「中国の地方政府の主導のもとで、中国の住宅建設の『量』やインフラ投資の『量』が、2014年後半から大きく削減されていたらしいこと」、すなわち、中国のGDP成長率が(3~4%台に?)昨年秋あたりから大きく失速しているかもしれないという「疑惑」こそが、原因なのです。

ですから、この内外株式市場のこの夏の「調整」は、バブル崩壊ではありません。そして、中国の住宅投資「量」やインフラ投資「量」は、「今あたりが底である」可能性もあるのです。いや、その可能性は高い!

さらには、半年後か(?)、あるいは1年後には、再び「中国の不動産バブル」はある程度は盛り返す可能性があります。

今後の中国経済の成長率が、世界経済を再びけん引するほど盛り返す可能性は低いのだけど、だからと言って、中国経済がハードランディングする可能性も低く、中国経済はなんだかんだとソフトランディングしてゆく可能性が高いのです。

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株式市場を忌避した資金が次の不動産バブルを形成する

なぜ、こういった「ソフトランディング」が可能なのか、以下、中国の不動産販売と住宅販売を中心に眺めてゆきましょう。

今は、上海株式市場が激しく乱高下していて、グローバル規模で投資家たちの目が中国に釘づけにされています。

が、本当に注目すべきは、中国の株式市場ではなく、「中国の不動産市場と株式市場の関係」なのです。

中国国内では、マネーがジャブジャブなのに、資本規制がまだまだ厳しく、為替も自由化されていないので、一般の中国人による海外投資は、いまだに規制で厳しく制限されています。

中国では、規制の網をかいくぐって財産を国外へ持ち出せるのは、一部の高級(?)官僚くらいなのです。中国では、一般庶民の海外投資は、いまだに厳しく制限されているのです。

だからこそ、中国国内には、これといった優良な投資先がない!

その中国では、「株式市場」と「不動産市場」の間で、巨額マネーが周期的に「行ったり来たり」して、「スウィング」する傾向があるのです。

すなわち、中国国内で「株式バブル」が弾けると、その巨額マネーは「不動産・住宅市場」へと向かい(向かうしかない!)、再び「不動産・住宅バブル」が弾けると、マネーは再び「株式市場」へと向かうしかない!その株式市場が、昨今のように再び弾け始めれば、マネーは再び不動産市場へ向かうしかない、ということなのです。

この「資本規制の厳しい中国では、海外投資が自由に行えないので、国内の巨額マネーは、国内の株式市場と国内の不動産市場のの間を行ったり来たりスウィングしている」という「事実」は、大いに注目すべきものです。

今、中国国内の株式市場は激しく乱高下していますが、これをもって、西側の価値基準で「中国バブル崩壊!(株式バブルも不動産バブルも崩壊する!)」と認識することは、とてもとても間違っているのかもしれないのです。

もし仮に、今現在の中国株式市場が弾けるならば、中国では早晩不動産バブルが形成され始める可能性があるのです。実際に、北京や上海などの大都市の住宅価格はこの春から上昇に転じているのです。

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西側がマネできない、中国ならではの住宅価格コントロール

さらに、次に、本当に注目すべきは、「中国では、中国の70都市の平均値で眺めると、住宅販売の『量』が増え始めて、半年か1年後には、住宅価格が上昇に転じる」という「事実」です。

今までの中国では、「地方政府が周期的に大量に住宅供給を行った後、半年から1年くらい時間が経過してから、住宅価格が急騰する」という、赤裸々な現象が起きているのです。

中国の地方都市では、不動産取引においても、田中角栄真っ青のインサイダー取引は、日常茶判事なのです。

繰り返しになりますが、中国では、土地の私有制が認められていないので、不動産や住宅の「供給」は、地方政府が一手に握っています。

新しく払い下げられる不動産や住宅の「供給量(=販売量)」は、地方政府の完全なコントロールの下にあるわけです。

すなわち、中国では、不動産の供給「量」も、その「価格」も、地方政府の意のまま、地方政府のコントロール下にあるといっても過言ではないのです。

具体的には、中国の地方都市では、中国の景気が冷え込んで中国人民銀行が利下げをビシバシ行っている「まさにその時」に、地方政府主導で、住宅がどんどん大量に建設・販売されるんです。

アメリカ・サブプライム危機の直後でも、グローバル規模で世界景気が低迷すると、資源コモディティー価格が暴落しました。そういった大不況の時に、中国の地方都市では、官主導で積極的に大量に住宅が建設されて、住宅供給公社などに供給されるんです。

ある意味、これはとても効率的なんです。が、西側の「民間主導」の「民間企業」の価値基準からいえば、とてもじゃないけど、こんなハイリスクはなかなかチャレンジできません。西側の「民主導」の経済ですと、不況のど真ん中で積極投資というのは、なかなかできない話です。

ところが、「癒着どろどろ」の中国では、官(=地方都市)と癒着している開発業者が、不況期こそどんどん大量に住宅を建設して、住宅供給公社に極めて安い価格体で供給し始めるですね。「癒着どろどろ」の官主導だからこそできることですよね。

そして、中国では、「官主導で大量の住宅が販売(供給)され始めてから、半年とか1年後には、不動産価格が上昇に転じる!」のです。景気が良くなって住宅を購入したいと思う人民が増え始めると同時に、官主導で住宅供給量が制限されて、販売量が減少に転じるから、住宅価格が急上昇するのです。

この「供給制限による住宅価格の上昇」は、やがて「住宅バブル」を形成するわけです。

「癒着どろどろ」の中国では、かくして、地方政府と官僚とその一味が住宅販売を通じて「濡れ手に粟」でぼろ儲けできる「仕組み」が出来上がっているのです。

これは、「国営企業や公営企業などの独占企業がぼろ儲けする」ためには、とても効率的な「仕組み」ですが、共産党一党独裁の中国だからこそ創り上げられる「仕組み」です。

西側の「市場メカニズム」「自由競争」が生きている資本主義経済では、とてもじゃないけど「中国のような独占的な価格形成メカニズズム」は働きません。

というわけで、中国では、株式市場のみならず、住宅などの不動産市場においても、様々な規制や「癒着の構造」が働いていて、その価格だけ眺めても、西側の価値基準では推し量れない動きをしてきたわけですし、これからもしてゆくことでしょう。

言い換えると、中国では、今現在進行形の「株式バブル」は、「次なる不動産・住宅バブル」が形成されるまで、「つなぎ」として、なんとか価格維持さえできていれば、習近平体制は安泰なのです。

すなわち、習近平体制としては、「次の不動産・住宅バブル」が形成され始めるまで、せめて半年か1年間くらいは、なにがなんでも、「株式バブル」を崩壊させるわけにはいかないのです。

幸い、北京や上海などの大都市では、住宅価格が上昇に転じ始めています。中国経済はソフトランディングする可能性が高いと言えるでしょう。

もちろん、可能性としては低いものの、向こう半年~1年の間に、習近平体制が「次なる不動産・住宅バブルの形成」に失敗したならば、「中国発世界同時不況」「中国発世界同時株安」が巻き起きるかもしれません。可能性としては低いものの、このケースには要注意です。

藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』7月28日号より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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