投資には興味があり、始めてみたいが、なかなかトレードに時間を割く余裕がないので二の足を踏んでいるという方はいないでしょうか。そんな方に向いている投資スタイルはひょっとすると長期投資かも知れません。メルマガ『株式投資図鑑の銘柄情報』を配信する小浜研二さんは自身のメルマガで「勝ち組投資家になるには」と題し、株式投資における長期投資の有効性について語ってくれています。
株式投資はなにをもって「勝ち」「負け」と言えるのか
個人投資家の9割は負けている?
株式投資で成功した人の体験談は世の中にあふれています。それを見て「自分でもできるのではないか」と思い株式投資を始めた人も多いでしょう。
しかし、個人投資家の9割は負けているとも言われています。
それが本当だとすると、成功者は1割にすぎず、大半の人はうまくいかないということになります。やっぱり株式投資は危険なものなのでしょうか。
「負け」の大半は「撤退」
実はここに統計のマジックがあります。
この統計では何を「勝ち」とし、何を「負け」とするか、定義がはっきりしていないのです。そしておそらく、「負け」と答えた人の中には損失が発生して「こりゃいかん」と感じ、早々に撤退してしまった人が含まれています。
儲けているのに撤退する人はあまりいませんから、「負け」の大部分は「現在損失が出ている」のではなく、「損失が出て、株式投資はやめてしまった」ということになります。
今成功者として紹介されている人も、やがて撤退により「負け」になってしまう可能性も大いにあるのです。
明日や1ヶ月後の話をすれば、株価が上がるか下がるかは五分五分です。それまで撤退しなければ、半分は「勝ち」として生き残れるのです。これは「大数の法則」に従うため、投資の回数を重ねれば重ねる程、成果は五分五分に近づいていきます。
それでも勝ち続ける人はいる
そんな五分五分の世界でも、長い期間勝ち続けている人はいます。
代表的なのがウォーレン・バフェットです。
また、『ピーター・リンチの株で勝つ』で有名なピーター・リンチ、最近の日本では数年で10億円の資産を生み出した『東証Project』を執筆するブロガーで個人投資家の五月さんがいます。
この人たちに共通することは、みんな長期投資家だということです。
逆に、デイトレードのような短期投資で勝ち続けている人を僕は聞いたことがありません。この事実からも、勝ち続けるためには長期投資を行うことが必要だということがわかります。
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なぜ短期投資がダメで、長期投資がいいのかを検証
チャート分析は根拠なし
短期投資ではなぜ勝てないのでしょうか。
結論から言うと、短期投資で使われている手法はまともな根拠がなく、おかしなことをやっているからです。
短期投資でよく使われる手法がチャート分析ですが、これは株価の軌跡をあとづけで勝手に解説しているにすぎません。「この株価の動きは上昇トレンドに入りつつある」なんて言っても、「じゃあどこまで行ったら下がるの?」という質問には誰も答えられないでしょう。
それならばと、同じような軌跡を描いた過去のチャートを持ち出して来るでしょうが、株価が将来的に同じ動きをする理由なんてどこにもありません。株価は無数の人の思惑が絡み合って動いているのであり、物理法則とは全く異なるものです。
イナゴ投資家になるな
短期投資家の中には、いち早く情報を得て上昇に乗っていこうとする人たちもいます。いわゆる「イナゴ投資家」です。彼らは株価が上がるという情報に群がり、一層株価を上げようとします。
一時的に儲かる人もいるでしょうが、行くところまで行くとどこかで必ず急落してしまいます。これまで幾度となく繰り返されてきたバブルの発生と崩壊です。
イナゴたちもそれは分かっていて、いち早く抜けて利益を確定しようとしています。逃げ遅れたか、バブルだと気付いていなかった哀れな人がババを引き、「イナゴタワー」の崩落に巻き込まれてしまいます。
長期投資が「正しい」わけ
長期投資では企業が将来生み出す利益や配当を基準にして株価を予想して投資します。長い目で見れば株価は利益に見合った水準に落ち着くという考え方が長期投資の基本原則になります。
金融理論では、株価は企業が将来生み出す利益の合計ということになっています。それが本当だとすると、将来の利益が完全に予測できるならば、唯一の「正しい」株価を計算することができるのです!
もし僕が将来の利益を完全に予想できたなら、借金してでもお金を集めてきて、「正しい」株価より割安な株を買い漁ることでしょう。安い価格で買って「正しい」株価で売ることができれば必ず儲けることができるからです。
長期投資とは、「正しい」株価を見つけることだと言っても過言ではありません。今ある情報をもとに将来の利益を予測すること、いわば予言者になることが長期投資の醍醐味と言えるでしょう。
長期投資は精神的にも安定
長期投資では、日々の株価の上げ下げに惑わされる必要はありません。
一度投資したら、株価が自分の信じている水準に来るのをじっと待てばいいのです。バフェットも「今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいいのです」と言っています。
逆に短期投資をする人は日々の株価、もっと言えば1分単位の株価に一喜一憂し、結局疲れ果てて投資をやめてしまうケースが多いようです。
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長期投資では、個人投資家は機関投資家よりも有利だ
インターネットの普及が格差をなくした
インターネット普及以前は、個人投資家は証券会社を訪れるか、電話をして株式を売買していました。手間がかかる上、手数料も今の何倍もかかっていて、機関投資家に対する大きなハンデでした。
しかし、ネット証券が普及した現在は、PCや携帯でサクッと取引することができ、手数料も大幅に下がりました。
インターネットのおかげで、情報収集に関しても個人投資家は機関投資家に負けなくなりました。企業のIRサイトやGoogle検索で必要な情報はほぼ手に入ります。
僕は証券会社に勤めていますが、証券会社の中にインターネット以上の情報はほとんどないというのが実感です。本当に便利な世の中になったものです。
機関投資家の制約
売買に関しても、機関投資家は制約が多いのです。
投資家から預かった資金を常に運用していないといけないので、いい投資対象がないときでも何かに投資していないといけません。そのせいで、投資の成果は平凡なものになってしまいます。
一方の個人投資家は、いい投資対象がなければ、無理に投資しないでチャンスを伺っていればいいのです。「休むも相場」とはよく言ったものです。
株の選び方も個人投資家の方が圧倒的に自由です。
機関投資家の投資対象は、東証一部上場企業や一定以上の時価総額がある株に限られている場合が多いので、機関投資家の投資対象にならない中小型株にはチャンスがたくさん残っています。
機関投資家が見捨てた株にチャンス
機関投資家で運用を担当している人の多くはサラリーマンです。彼らの使命は、運用資産を増やすことはもちろんですが、それ以上に損失を出さないこと、損失を出してもしっかりと言い訳ができることが大事なのです。
サラリーマンの運用担当者は冒険をしません。冒険して損失を出したら会社をクビになってしまうか、そこまでいかなくても上司から叱責を受けます。
そうなると困るので、彼らの運用は非常に保守的です。なるべく多くのみんなが知っている株に投資し、株価が下がったら少しでも早く売ろうとします。
機関投資家が見捨てた株にこそ、投資のチャンスがあります。本当に価値のある株がサラリーマン的な動機で売られた時こそが、個人投資家にとって絶好の買い時なのです。
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長期投資で成功するにはどんな考え方が必要なのか
すぐに利益を出そうとしない
長期投資でうまくいくための最も大切な考え方は、すぐに利益を出そうとせず、気長に待つということです。株価が安いときに投資して、上がるのをじっと待つスタイルですから、いつ結果が出るかは誰にも分かりません。明日結果が出ることもあれば、10年経ってようやく結果が出ることもあります。そこまで自分を信じて待てることが肝心です。
値上がりで儲けても、そのお金をすぐに使ってしまってはいけません。できれば、儲けたお金はもう一度投資することをおすすめします。その方があなたの資産が増えるスピードは格段に上がるでしょう。金融用語では「複利効果」と言います。
「利益プラス10万円」というような利益を見るのではなく、「資産額1億円」ように資産の金額を目標にするのがいいでしょう。
自分の力で考える
長期投資の成功の鍵となるのが、マスコミや周囲の人の言うことに惑わされず、自分の力で考えられることです。
例えば、「日立の業績が悪化している」というニュースが出ると、大部分の人は日立の将来性を不安に思い、株価は下がるでしょう。そんな中でも「本当にそうなのか」と疑問を呈し、自分で財務諸表を見てみる常識を疑う力が必要になります。
自分の力で考えると言っても「自分はパナソニックの製品が好きでよく買っているから業績も上がるはずだ」と考えるのも短絡的です。
その製品が本当に売れているのかデータを調べ、売上が業績に与える影響はどの程度かということに立ち返る必要があります。これらはインターネットや新聞、経済雑誌などで調べることができます。
バフェットの師であり、バリュー投資の元祖であるベンジャミン・グレアムは「自分だけで考えろ、正確に考えろ」と言っています。自分の力で正しく考え、周囲に惑わされない強さが長期投資には必要なのです。
自分の間違いを認める
ある程度の確信を持って投資した以上、基本的に「損切り」することはおすすめしません。
しかし、どうしても株を売らなければならないという場面に遭遇することがあります。それは、自分の確信が間違いだと気づいた時です。
どんなに詳細な分析を行ったとしても、誰だって間違うことはあります。ビジネスが自分の予想した通りには拡大しなかったとか、より強い競合他社が出てきてシェアを奪われたとかいうことがあります。
会社の「強み」だと思っていたことが、実はそれほどすごいものではなく、誰でも真似ができるものだったりもします。
間違いに気づいた時は、損が出ていようと利益が出ていようと、その株からはおさらばすべきです。自分の間違いを素直に認め、同じ間違いをしないようにすることが重要です。
投資の神様と言われるバフェットですら、間違いを犯していると自ら告白し、それを隠すどころかおおっぴらに公言しています。「素直な心」が次の成功に結びつく重大な要素と言えるのです。
終わりに
株式投資は奥が深く、これが絶対という手法はありません。しかし、長期投資は正しく行うことで、成功の確率をグンと上げるものです。株式投資図鑑は一人でも多くの人が長期投資を実践し、「勝ち組」投資家になるのを応援しています。
『株式投資図鑑の銘柄情報』(2015年7月21日号、24日号、26日号、28日号、)より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による
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