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日経平均が9月に高値を突破した理由! チャートが示す年末高を解説=伊藤智洋

先月、日経平均は26年10か月ぶりとなる高値を更新しました。過去の値動きの経験則からいえば、この高値には大きな意味があると考えられます。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年10月14日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(ドル円、NYダウの今後のシナリオ)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

今年の日経平均は、強気か横ばい。その理由をチャートで読み解く

大発会と大納会の値位置を比較してわかること

日経平均株価は、1990年から2017年までの期間で、大発会の値位置よりも大納会の値位置の方が低かった年の値動きを調べると、6月を過ぎてその年の最高値を更新したことがありません。

1950年~1989年までの期間、バブル崩壊前、大きな調整をほとんど経過せずに上昇してきた期間では、8月に1回、9月に1回だけ、年間の最高値を更新した年があるだけです。

過去の経験則を考慮すると、本年1月の高値を9月28日に越えた動きは、本年が強気パターンの年(大納会の値位置が大発会の値位置よりかなり上になる)か、横ばいパターンの年(大発会と大納会の値位置が近いが、若干大納会が高い)になる可能性を示しています。つまり、本年の12月28日の終値の値位置は、1月4日の始値2万3,073円よりも上になるということです。

11月、12月のどちらかで価格が上昇するとしても、目先の価格が9月7日の安値22172円以下まで下げてしまうと、5月以降、上値を抑えてきた2万3,000円という値位置が強力な壁として意味を持つことになります。

年末から4月へ向けて、上げやすい時期だとしても、上値の重い場所がはっきりしている状況で、年末へ向けて積極的に2万3,000円以上を目指す動きになり難いと推測できます。

本年が過去の経験則にしたがうなら、10月12日の安値2万2,323円付近が押し目底になると推測できます。

以上のことは、具体的に説明を求められても、ここがこうだということを提示できないのですが、個人的な経験値として、自分の中の優先順位をつけている内容になります。したがって、私の見方を信じるか否かだけの判断になります。

その見方は、本年1月の高値の突破が、2008年10月以降の大勢の上昇局面の継続を示しているというものです。

強気の見方が正しければ、来年は少なくとも2万8,000円を大きく超えるような上昇場面があらわれると考えられます。

日経平均が上昇した年の始点は10月がほとんど

来年、2万8,000円を大きく超える展開になる場合、2008年10月以降の上昇は、再び高値を更新してゆく動きに入ります。そこで以下では、2008年10月の高値をその後更新していくまでの状況について紹介します。2008年からの上昇を2010年4月まで経過して、2010年4月の高値を上回ったのは、2013年の2月になります。

図表01 2011年以降の日経平均株価日足

図表01は、2011年以降の日経平均株価の上昇の動き方を示しています。10月の最初の営業日に点線を引いています。

2012年後半から上昇を開始し、本年で6年目に入る長い上昇の流れになっていますが、高値を更新している期間は、
「2012年10月から2013年5月までの上昇(約7か月)」
「2014年10月から2015年6月までの上昇(約8か月)」
「2017年9月から2018年1月までの上昇(約3か月)」
の3つの上げ場面だけです。

3回の上げを足すと18か月になるので、だいたい5年以上の上げ期間で、高値を更新する上昇を演出した期間は約1.5年程度になります。長く上昇を継続しているようでも、動いている期間は短いことがわかります。

どの年も、10月頃(2017年は9月が始点となっていますが、その他は10月中旬頃の安値が始点となっています)から、翌年までの上昇場面で、大幅な高値の更新場面を作り出しています。

これらの年に高値を更新できた理由は明確です。12年末は、積極財政、金融緩和政策を主張していた安倍首相が誕生したことで、急速に円安が進んだことが挙げられます。14年10月は、日銀が追加の金融緩和を実施したことで、一気に上昇への弾みがつきました。

17年は、10月に2万2,000ドル付近に位置していたNYダウが18年1月までの期間で2万6,000ドル以上へ上昇しています。トランプ大統領の減税政策が議会を通過したことにより弾みをつけた株価は、たった4ヶ月で4,000ドル幅の上げ局面になりました。そのため、ドル・円が横ばいの状況でも、日経平均の上げ幅が一気に拡大しました。

日経平均は、本年10月に戻り高値をつけた後、暴落したため、今後の価格が高値を更新するためには、株価を押し上げるのに十分な政府、日銀の政策が実行される以外に考えにくい状況です。

Next: 日銀の政策が実行されると考える、その根拠とは



チャートに意思表示があった以上、その動きを重視すべき

過去の値動きの経験則で言えば、日経平均の9月の高値の突破は、単純にイレギュラーだと考えられません。固執しているわけではなく、何らかの根拠があって積極的になったと推測できます。本来、未来のことなどわかるはずもないのですが、チャートが未来を暗示する形を作るという個人的な経験値があります。

今回の場合、私の優先順位は、「政策での後押しなどあるわけがない」という決めつけではなく、チャートの示す通り、政策の後押しがあらわれる可能性があるという見方の方が先になります。

株価を押し上げるための十分な政策の後押しがあるかもしれないという理由がまったくないわけではありません。安部総理の最大の目標は、憲法改正です。憲法改正のための国民投票を実行できる状況を作るには、消費税引き上げを正当化し、参議院選挙で勝利することが必須条件です。

人の行動は目標がはっきりしているときにだけ予測可能です。今回は、安倍総理の最後のチャンスになるのですから、できるだけのことをやるはずです。

今回のようなチャートの動きには、必ず理由があります。一度、はっきりと意思表示があった以上、その動きを重視すべきだと考えています。

臨時国会は、10月24日に開会するようです。政府は、本年の一連の災害からの復旧・復興などに向けた今年度の補正予算案を提出する予定になっています。10月31日は、日銀会合での決定内容が発表されます。

10月末の状況次第では、日経平均が2万2,323円付近を底値として、6,000円幅以上の上げ局面へ入る可能性があります。注目したい場面です。

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東京金先限は6000円以上を目指すスタート地点にたった

今回は、金の展開について、以下の動画で紹介致します。大勢の上昇局面の最終段階の上昇が始まったという見方です。以前に紹介している内容を含めて、順を追って説明すると長くなるので、動画を掲載することにしました――
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image by:Thanakrit Sathavornmanee / Shutterstock.com


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『少額投資家のための売買戦略』』(2018年10月14日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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