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アノニマス、フォルクスワーゲン大株主のドイツ銀行に宣戦布告

謎のハッカー集団アノニマスの革命への呼びかけと、フォルクスワーゲンの大株主たるドイツ銀行の破綻懸念についてその関連性を考察する。次のリーマンショックはドイツ銀行なのではないかとする憶測もある。(『ヤスの備忘録』連動メルマガ・高島康司)

アノニマスの革命宣言とドイツ銀行の危機

以前の記事で詳しく紹介したが、9月から10月にかけて、政治的、経済的な変動を予感させる日が集中している。これらの日のいずれかに市場が暴落するのではないかとする憶測もある。そのようなとき、謎のハッカー集団のアノニマスが、不気味な革命宣言を行った。

アノニマスとは?

周知のようにアノニマスとは正体のはっきりしない謎のハッカー集団である。格差に抗議する現代のロビンフッドを名乗り、これまで多くの政府系機関や大企業のサーバーのハッキングに成功している。

アノニマスがどのような集団なのかを示す出来事は、2012年12月に起こったCIAや政府系機関をクライアントに持つ大手シンクタンクのストラトフォーのハッキング事件である。

アノニマスはストラトフォーのサーバーをハッキングし、契約者のクレジットカード番号をすべて盗み出した。そして、政府系機関のクレジットカード番号で100万ドルを越える現金を引き出し、それを多くの福祉団体に寄付した。

アノニマスはこうした活動を頻繁に展開しているが、いまだに正体が暴かれたことはない。アノニマスは、格差が極端に拡大し、一部の大企業や超富裕層に権力が集中してしまった現代の腐敗した資本主義システムに挑戦する活動を展開している。

アノニマスの革命宣言

そのアノニマスは9月7日、ユーチューブに革命宣言のビデオを公開した。それは「ブラックオクトーバー作戦2015、平和的な革命に参加しよう。10月1日から10月31日」というビデオだ。ビデオは次のような行動を人々に呼びかけている。


「ブラックオクトーバー作戦2015」

10月の計画

1.銀行口座から現金をすべて引き出すこと。
ただし、どうしても必要な金額は口座に残しておいてもよい。

2.クレジットカードは使用しないこと。
これは簡単にできることだ。支払いが済むまで待たなくてもよい。

3.現金で支払うこと。
大家、仕立て屋、医者、徴税人などどんな人物でも現金の支払いは拒否できない。

4.「アノニマス」の他の活動をチェックすること。
「アノニマスイベント 2015」などのようなキーワードで検索し、我々の社会活動に参加しよう。

5.平和的な革命に参加しよう!
時間を見つけてください。怖がる必要はありません。これらの簡単な行動で我々の未来を変えることができます。

6.これのビデオを拡散してください。
周囲の人々にこのビデオを拡散してください。このビデオや無料の音楽は次のアドレスからダウンロードできます。 http://www.without-directive.com/


以上である。

なにを実際に行うのか?

このビデオでは10月1日から31日にかけて、革命を実行するとの宣言がなされているだけで、具体的になにを行うのかは明らかにされていない。上記のサイトにアクセスしても公開されたビデオ以上の情報はない。

しかし、視聴者への呼びかけの内容を見ると、大手の銀行をハッキングし、オンラインシステムを停止させてしまうことを計画しているようにも見える。他方、ただ単に多くの人々の銀行から現金を引き出すことを呼びかけ、銀行を窮地に追い込もうとしているだけのようにも見える。

Next: 9月20日アノニマスから新たな声明が。標的はドイツ銀行


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9月20日の声明

さらに9月20日、アノニマスの公式サイトで以下のような声明があった。

ドイツ銀行や、スペインのバンコ・サンタンダーは米連邦政府のストレステストに合格しなかった。また、アメリカ最大の銀行、バンク・オブ・アメリカには警告が出ている。いつまで普通の人々が民間銀行の失敗の責任を負わなければならないのか?

アノニマスは、10月1日から31日までの平和的な革命に参加を呼びかける。銀行口座の現金をすべて引き出してほしい。クレジットカードは使わないで現金で支払うこと。これで未来が変わる。我々は大銀行のデビットカードやクレジットカード、ローン、そして大銀行そのものも必要がないことを見せつけようではないか。

我々こそが99%で、彼らをやっつけることができることを見せつけよう。

以上である。

アノニマスの警告と危機的状況にあるドイツ銀行、その奇妙な符合

この声明だけを見ると、銀行預金の引き出しを大勢で行い、銀行の機能を停止を呼びかけているだけで、銀行のオンラインシステムやサーバーのハッキングまでは計画していないようにも見える。

しかし他方、9月20日の声明にあるドイツ銀行は実際にいま危機的な状況にある。そのひとつは、ドイツ銀行が他の大手金融機関とともにLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)および為替レートの不正操作疑惑で調査対象になっていることだ。

アメリカをはじめとする規制当局は、今後数ヶ月以内にドイツ銀行から巨額の罰金を徴収する意向を明らかにしている。

いまこの訴訟費用の負担が巨額に上り、ドイツ銀行が最近発表した7-9月期(第3四半期)決算では赤字に転落した。さらに巨額の罰金が課せられた場合、ドイツ銀行は第2のリーマンにさえなる可能性が指摘されている。

さらにドイツ銀行は、いま排ガスの規制をごまかす不正ソフトウェアのインストールが問題になっているフォルクスワーゲンの大株主である。また、フォルクスワーゲンに長期融資を提供している。すでにフォルクスワーゲンの株価は35%も下落しており、これはドイツ銀行の経営をさらに圧迫することは間違いない。

ちなみにドイツ銀行は、ヨーロッパ最大規模のデリバティブを保有しており、その総額は75兆ドルにものぼると見られている。ドイツのGDPは4兆ドル程度なので、その規模の大きさは想像を越えている。ドイツ銀行が破綻した場合、その額の大きさから見てEUによる救済は不可能だろうと見られている。

果たしてアノニマスは、ドイツ銀行のこうした状況を知ったうえで預金を引き出せとの呼びかけを行ったのだろうか?

いまドイツ銀行とフォルクスワーゲンについては調べているので、次回以降の記事に改めて詳しく書く。

【関連】ロシアのシリア空爆で明らかになった「米軍によるイスラム国支援」

未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』(2015年9月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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