「アベノミクス第2ステージ」「日銀追加緩和のゆくえ」など、今後のマーケットを左右しそうな大小6つのテーマを、投資信託に精通しSEの経歴を活かしたツール提供を行うのりたま氏が総ざらい。追加緩和はあっても来年初旬に?
新3本の矢、日銀追加緩和、暖冬~相場を動かす材料はどれだ
(1)GDP600兆のカギを握る東京五輪の経済効果…それでも届かず?
安倍総理が新しい3本の矢を会見で発表しましたので、取り上げておきます。
3本の矢は以下のとおり。
- 第1の矢、「希望を生み出す強い経済」
- 第2の矢、「夢をつむぐ子育て支援」
- 第3の矢、「安心につながる社会保障」
やはり一番注目したいのは、第1の矢である経済に関すること。この中身としておおまかに以下の2つが挙げられています。
- GDP600兆円を達成する
- 地方創生の本格化
地方創生はリニアや新幹線など少しは具体的なものを話していますが、GDPを600兆円にする中身はぼやっとしています。
ちなみに現在のGDPってどれくらいの額かご存じですか?以下、内閣府のデータをもとにグラフを作成してみました
GDP600兆円の目標というのは名目GDPが基準だそうですが、一応、実質GDPも掲載しておきました。
2014年の名目GDPは、490兆円です。2015年度に500兆円にせまるかもしれませんが、そうすると100兆円増やすことになります。
目標があっても達成時期をいつにするのかが重要だと思いますが、甘利大臣は、2020年の東京五輪後には達成可能との見方を示したという報道が出ています。
あと5年で100兆円。単純に割り算で毎年、20兆円増の計算になります。実績としては、2013年が+8.43兆円の伸び。2014年が+7.71兆円の伸び。
無理じゃない?(^_^;
目標を達成するための成長率は、約3%を継続することらしいです。単純にこれまで成長戦略や骨太方針に書かれていたことを金額に言い換えただけのようです。
今までなんとなく達成できそうな目標として軽く見ていましたが、改めてここ数年の実績を踏まえると、かなり難易度は高いということを実感します。
世界の経済状況はもちろん、天候や様々な要因によって想定外のことばかり起きるのが現実ですから、短期間で継続的に好調を続けるというのに無理があります。
しかも日本は、財政再建も両立しないといけません。2017年4月は10%増税がありますので、経済の下押し要因も見えています。
それらのブレを吸収するなら、4%~5%という高い成長率の年度がないと無理な気がしますが、私にはまったくイメージがつきません。(^_^;
甘利大臣が「東京五輪後」と付け加えたあたり、東京五輪をかなりアテにしているなと思える発言ですが、逆に言えばそれにすがらないと達成できないような言い回しとも思います。
以下、ネット検索でさくっと調べた東京五輪の経済効果です(※適当に拾ったので正確な情報は各自で確認してください)。
- 2012/06 東京都の試算:3兆円
- 2013/09 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の試算:29.3兆円
- 2013/09 日本総研の試算:7~12兆円
- 2014/01 竹中平蔵氏らの試算:19.4兆円
- 2014/12 みずほ総合研究所の試算:36兆円
試算対象の前提が各人で違うのでバラバラであっても当然だと思いますが、新しい方の数字でみると、日本全体では20~30兆円の規模を想定しているのがわかります。
本当にそれだけの経済効果を見込んでもいいのかどうかは疑問ですが、30兆円としても、目標の100兆円からしたら残りは70兆円。70兆円でもやはり高い目標であることに変わりはないかと思います。
実際、今後どうなるかわかりませんが、600兆円という明確な目標を掲げた以上、それが達成されなければ落胆に変わります。
日本株を投資する上でとても重要なポイントになると思いますので、今後、意識して経済状況を見てみると良いと思います。
GDP600兆円の経済目標は無理とも思えるものですが、日本株の投資がうまくいくためにも達成できるようには祈りたいと思います。(人∀・)タノム
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(2)日銀の追加緩和はあっても来年初旬に?
日銀の追加緩和期待は市場の動きなどで感じたりしますが、個人的な追加緩和期待は今のところ上がっていません。
コア物価指数のマイナスが継続すればまた違ってくるかもしれませんが、コアコア物価指数がプラスの状況では、追加緩和に踏み切るどころか、黒田さんは自信を持つかもしれません。(^_^;
昨年の10月に追加緩和して、ちょうど1年が経過しようかというところですが、今のところ期待は薄いかな。
今後は米国の利上げもありますし、今は追加緩和のタイミングではないとは個人的にも思っていますが。やっぱり追加緩和は、最後の切り札として取っておいてほしいです。
米国の利上げタイミングなどが後ずれしていることを考えると、日銀の追加緩和は早くても来年の初旬かなと最近は思っています。今後次第でどうとでも変わりますから、決め付けはしないようにはしておきます。
(3)なんだかおかしいゾ?消費者物価指数の報道
消費者物価指数がマイナスとなりましたが、消費者物価指数はマイナス!と不安を煽る報道ばかりで、意外な伸びを示したコアコア物価指数を強調した報道を見かけないのはおかしいと思います。
明らかに原油安はプラスであることはわかりきっていますし、急激な下落で状況が普通でないのも誰もが感じていることです。
日本の景気を心配しているというより、日銀を非難したいという気持ちばかり先行しているのがあらわれているようで残念です。
(4)そういえばギリシャはどうなった
すっかり気にもとめなくなったギリシャですが、総選挙でチプラスさんの政党が勝利し、首相を続投することとなっています。
国民投票の結果を無視した合意は国民の意志に反しているので、ちょっと意外だったかなと思いついつつも、よほど前の政権が(汚職や負債隠しなど)悪くて選べなかったということかもしれません。
まぁ、相場分析で気にもとめていなかったということは、世界の相場へ大きな影響を感じていなかったということです。
相場では以前、重要だったことも、重要でなくなることはよくあることです。経済における情報というのはとても多く、全てを把握しようとすると投資では負担になります。
しかし、実は投資で重要な情報というのはそんなに多いわけでもありません。局面に応じて情報の取捨選択をして、負担にならない投資を心がけるといいと思います。
というわけで、ギリシャの件は紹介しましたけど、さらりと流しましょう。(^_^)
(5)麻生さん「内部留保のために法人税を安くするのはおかしい」発言
麻生さんが企業の内部留保が増えているとして、企業側が投資に消極的な姿勢であると、先週末の会見で不満を爆発させていました。
「企業の内部留保のために税金(法人税)を安くするのか、おかしい」
おっしゃるとおりです。中国の景気減速で弱気になっている場合じゃないと思います。
デフレ期に節約志向で効率化を求めるようになって、お金を使わない企業体質になっているのかなと思わなくもないですが、そういうのは関係しているかもしれません。
ある意味、良いことではあるのですけど。
確かに、いきなりお金が増えたからといっても、経営戦略が先になければ使っても無駄になるだけなので、同情できる部分はありますが、ここは努力して欲しいところです。
これから政府はそれなりに経済界へプレッシャーを与えればいいし、スチュワードシップコードで物言う株主がどんどん出てくることを期待して、お金を回してもらえるようにして欲しいところです。
TPP(特に自動車分野)が合意したら状況も変わってくるのかな。そんなの待ってられないか。
(6)エルニーニョで暖冬に?
今年の秋は気温が高めで暖冬になるかもしれないという話をニュースで見かけました。
もちろん、エルニーニョ現象の影響です。(^_^;
夏は気温低下で経済に影響を与え、冬は気温上昇で経済に影響を与える。ほんと、困ったものです。
ちなみにエルニーニョ現象は、2016年の春まで続く可能性が高いそうです。7-9月期だけじゃなく、10-12月期まで経済下押ししたら・・・・。(>_<)
2017年は増税とエルニーニョのWパンチはやめてよね。((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
『毎月分配投信の本当のこと のりたマガジン』(2015年9月27日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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