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罠に嵌められたドイツ。フォルクスワーゲンとイスラム国を結ぶ点と線

シリア難民問題にフォルクスワーゲンショック。どうやらドイツは罠に嵌められ、集中砲火を浴びる立場に置かれた感があります。「泣きっ面に蜂」とか「弱り目に祟り目」と言いますが、往々にして関連はあるもので、これらの背景にはロシアそしてサウジアラビアの影が見え隠れしています。(本格株式講座 世界情勢最新分析報告書)

プーチン・ロシアと、イスラム国を裏で操るサウジの暗躍

罠に嵌められたドイツ

日本時間9月22日夕刻に露見したフォルクスワーゲン(VW)の不正問題で、米国の排ガス規制に抵触しない様に数値を改竄していたことが発覚、大問題となっています。

一説には、最終的に特別損失が邦貨換算で2兆円を突破するとの試算も出ていまして、流石の市場関係者も「見ざる、聞かざる、言わざる」を決め込めなくて困惑しています。

一報が伝わったのは、ソウルと上海市場が引けてから、香港とムンバイ(インド)は時差の関係で引け際に株価指数が揺れ動き、欧州市場は寄り付きから混乱を呈しています。

ですが衝撃が地球を一周し、残った市場でもその影響が反映されている一方、東京市場だけは連休で織り込むことが叶わないので困ったことになっています。

どうやらドイツは罠に嵌められ、集中砲火を浴びる立場に置かれた感があります。

サウジアラビアが後援していると推測される「イスラム国」が、意図的に難民を生み出しているのは明らかで、これまでのドイツは積極的に受け入れてきたものの、従来は小規模でしたので余裕がありました。

ですが「イスラム国」に弾圧されている人々にドイツの厚遇が伝わると、雪崩を打つかの如く、シリアからドイツに向かって「民族大移動」が始まったのはご存知の通りです。

その経路となった東欧諸国および中欧各国にしてみれば迷惑な話で、すでに押し付け合いが始まっていますが、大義名分を振りかざしていたドイツも遂に本音を吐露し、難民申請者12万人に関して、EU(欧州連合)加盟各国に割り振ることを提案、一部構成国の反対を押し切り、全会一致を原則とするEUとしては異例の多数決で押し切りました。

今回の決定は、間違いなくEU解体の第一歩に繋がるとみられますが、問題はEU全体の受け入れ人数を「12万人も」と捉えるか、それとも「12万人しか」と解釈するかにあります。

すなわち難民側から言えば、「12万人しか」受け入れて貰えず、一刻も早いドイツ到着を求めることになります。

ドイツを次々と襲う「弱り目に祟り目」は偶然ではない

留意すべきは、「イスラム国」と密航業者が結託している事実で、密航の手配を黙認する代わりに、一部をピンハネしています。

したがって早晩、難民申請者が上限を超えるのは火を見るよりも明らか、その際にEUが受け入れ枠を拡大できるかと言えば甚だ疑問です。

結局、折衷案として小幅の増員と国境規制強化の併用に落ち着くでしょうが、抜本的解決には程遠いどころか、新たな火種を生むことになります。

難民の受け入れを主張するドイツですら、反難民感情が高まるでしょうし、EU加盟国内では、極右勢力が台頭し難民及び移民と鋭く対立することになります。

なかんずく、国境規制を強化された場合、先に到着した移民が家族や親族、知人を呼び込むことが出来ずに不満を抱く一方、国境で足止めを喰らった予備軍と、入国を阻止する官憲との間に軋轢が生じるのは避けられない話ですから、事件や事故が発生しても不思議ではありません。

いずれにせよ、最後に槍玉に挙がるのはドイツで、他のEU加盟国からも憎まれますし、(シリア系)難民もドイツを非難することになります。

そんな状況下で、ドイツの大手自動車メーカーであるVWの不祥事が明らかになるのは偶然でしょうか。

VWについては、良からぬ噂が漏れ伝わってきていましたが、いきなりこれだけの醜聞が明らかになるとは、市場も夢想だにしていなかったと考えられます。

「泣きっ面に蜂」とか「弱り目に祟り目」と言いますが、往々にして関連はあるもので、次の点を考慮すれば、必然であることもうなずけます。

Next: 欧州混乱の背後に「ロシア・サウジアラビア同盟」イスラエルはイラン攻撃へ?


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欧州混乱の背後に「ロシア・サウジアラビア同盟」

欧州へ向かうシリア系難民の急増を横目に、誰がほくそ笑んでいるのかと言えば、これは明らかにプーチン大統領のロシアです。

最近、ウクライナが話題に上りませんが、それもそのはず、難民問題で手一杯の欧州主要国からすれば、ウクライナまで手が回りません。

それはすなわち、この問題に関してはロシアのやりたい放題であることを意味しますが、それもこれも「イスラム国」のお蔭、その「イスラム国」を裏で操っているのが、本誌の読み通りサウジアラビアだとすれば、話の辻褄が合います

過去にシリア空爆を巡ってプーチン大統領と対立した挙句に、尻尾を巻いて逃げ出したのが他ならぬ米国のオバマ大統領、その米国の対イラン政策に業を煮やしたサウジアラビアが、オバマ大統領に縁切り宣言をしたのは、都度申し上げている通りです。

オバマ大統領の不介入政策(有体に言えば「逃げ腰外交」)に付け込み、欧州を混乱に陥れるのが、ロシアとサウジアラビアの魂胆、それによりウクライナを巡ってはロシアが主導権を握っています。

ロシアの願いが叶ったのであれば、今度はサウジアラビアの求めに応じなければなりませんが、ロシアが動いたのは件のシリア、現地で政府軍への支援を増強しています。

シリアは大別して、政府側、反政府勢力、そして「イスラム国」が内戦を繰り広げていますが、かつてシリア空爆に反対した経緯があるとはいえ、今になってロシアが肩入れを強める理由はありません。

この対シリア軍事支援増強は、一種の口実ではないかというのが本誌の見立てです。

遠からずイスラエルはイランを攻撃する

ロシアの決定を受け、イスラエルのネタニアフ首相が「急遽」訪露、現地時間9月21日にプーチン大統領と会談していますが、奇妙なことに、イスラエル軍の首脳や諜報機関幹部も同席しています。

表向きは、隣国シリアに基地を設営したり、軍事的支援を増強したりするのは、イスラエルにとっては迷惑千万ですので、その件で談判に及んだとのことでしょうが、本来ならロシア大統領が会談に応じる必要がありません。

ではイスラエル首相との話し合いの内容は何なのか、これはイスラエル核施設攻撃しかありません

サウジアラビアにとって最大の悪夢はイランの核武装ですから、何としてもこれを阻止せねばなりません。

ただ、サウジアラビアにはそれだけの軍事力がありませんから、担当するのはイスラエル、ロシアが後方支援に回ることになります。

想起いただきたいのは、日本の岸田外相がこの時期に訪露している事実、日本がこの件に関して蚊帳の外とは限りません

遠からずイランをイスラエルが攻撃する、その最後の地ならしに日本も一枚噛むと言うのが本誌持論です。

【関連】アノニマス、フォルクスワーゲン大株主のドイツ銀行に宣戦布告

本格株式講座 世界情勢最新分析報告書』(2015年9月23日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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