100年に一度しか起きない出来事のために、対策しておく必要はあるのでしょうか。それは、どのようにするべきでしょう。正しいリスクの分散方法について考えます。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
100年にたった1度の大暴落でも、それは明日起こるかもしれない
それぞれの投資には、どのようなリスクがあるのか
人はどうしても自分が好きなもの、理解しやすいものに投資する傾向があるように思います。
例えば不動産が好きな人は、少しでも多く銀行からお金を借り、不動産に投資しようとします。ギャンブル体質の人は、日本株やアメリカ株の個別銘柄ばかり持ちたがりますし、もっとリスクが好きな人は、FXや株の先物におカネを集める傾向にあります。
逆にリスクをとるのが嫌いな人は、債券ばかりに投資します、為替のリスクも取りたくない人は、日本国債をたくさんお買いになります。究極のリスク嫌いの人は、何にも投資はせずひたすら現金と預金です。
不動産にせよ、債券にせよ、株にせよ、あらゆる資産には固有のリスクがあります。例えば不動産ばかりにお金を集めているとどうでしょう。地震や津波など天災で、物件の価値が大きく既存することもありますし、金利が急騰した場合は破綻にむけ一直線です、先の「かぼちゃの馬車」事件で問題になったように。
株の個別銘柄を大量に保有しているとどうでしょう。読みが当たればインデックス・ファンドを上回る成果を挙げる可能性もありますが、逆の目が出ることもよくあります。
レバレッジが掛けられるFXや先物などは、さらにギャンブル的です。
日本国債や円の現預金ならノーリスクだとお考えの方も多いようですが、決してそうではありません。めったにあることではないのですが、わが国の財政破綻や預金封鎖などの可能性はゼロではありません。
つまり現預金を含むあらゆる金融資産には、それぞれのリターンに見合った固有のリスクがあり、どう頑張ってもそこから逃れることなどできないのです。
Next: お金を一か所に集めることで、避けられないリスクとは?
価値の源泉を正しく理解して、距離の離れたリスク分散を目指す
ですからおカネを一か所に集めてしまう行為は、裏を返せばリスクを一か所に集める行為でもあるわけです。
リスクを一か所に集めておけばどんなことが起きるのでしょう。
10年に一度しか起きない稀な出来事でも、100年生きるとすれば、生きている間に10回も起きる計算です。
100年に一度しか起きない出来事でも、確率的には100%起きてしまいます。しかも起きたときの被害は壊滅的です。生きているうちに必ず壊滅的な被害に遭うならば、そのリスクを分散するしか手はありません。
ただしいくら分散しておいても、すべての資産が共倒れになってしまえばお終いです。
例えば日本国債と国内の現預金の関係をみてみましょう。両者はいずれも、発行体である日本政府の信頼性が価値の源泉です、逆に言えば日本の財政が破綻すれば、共倒れする関係にあるわけです。
生命保険や公的年金も同様です。昨今は公的年金も日本国債のウエイトを下げていますが、それでも1/3以上は日本国債で運用しています。
民間の生命保険はさまざまですが、死亡保障型の保険は大半が日本国債で運用されています。
ですからこれらの金融商品も、おおむね日本国債や現預金と同じリスクを持っているといえるでしょう。
このようにいくら頑張って分散しているつもりでも、源流が同じならそれは分散投資とは言えません。
いつもお話ししているように、ペーパーアセットと実物資産をまずしっかりと頭の中で区分して考えること、さらにそれぞれの中で分散しておくこと。これが「距離が離れた資産に分散する」ことの意味です。
長期的にみればこの考えは必ず役に立つと思います。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2018年11月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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