米利上げの時期が注目される中、イエレンFRB議長は「マイナス金利は1つの追加的政策の手法」と発言。ミネアポリス地区連銀総裁もFF金利の引き下げを主張している。(メルマガ『いつも感謝している高年の独り言』)
マイナス金利は「追加緩和の一手法」イエレンFRB議長
9月17日に行われたFOMC会合のイエレンFRB議長記者会見の内容が、筆記録として発表されましたので、その中でもっとも気になった箇所を紹介します。
イエレン議長会見のポイント
★ダウジョーンス通信・Michael Derby記者の質問
「連銀の会議で、発言者不明ではありますが(筆者注:連銀発表では発言者氏名をすべて抹消しているため)、あなたの同僚である出席者の1人が『マイナス金利にしてみたい』と発言したそうですが――もしさらに、金融緩和策を進めざるを得なくなったときには、新しい刺激策としてマイナス金利を実施するのですか?連銀の政策の道具の1つとしてマイナス金利政策を加えるのですか?」
★イエレンFRB議長の回答
「現在の時点ではマイナス金利政策を真剣に考えてはいません。つまり主要な道具とは考えていません」
「しかし、前回の会議では1人の出席者がインフレ見通しを懸念して、追加的政策として金利をマイナスにするべきだと提案しました。マイナス金利は欧州の数ヶ国で実際に実施されていますが、我々としては現時点では考えていません」
「もちろん我々の大多数は楽観的に考えていますが、もし今後の見通しが悪くなれば、これも1つの追加的政策の手法として、その時点で考えたいと思います」
近い将来、「マイナス金利」が現実のものになるかもしれません。このやりとりを見てそう感じるのは筆者だけでしょうか。近い過去には「消費税」も存在していなかったのです。
しかも、利上げの動きと真逆の、要人による「マイナス金利」への言及は、これだけではありません。
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ミネアポリス地区連銀総裁がFF金利の引き下げを主張
米ミネアポリス地区連銀の総裁が「フェデラル・ファンド金利(FFレート)目標の引き下げ」を主張したとのブルームバーグ報道が出ていますので、その講演録を紹介します。
講演者は米ミネアポリス地区連銀のナラヤナ・コチャラコタ(Narayana Kocherlakota)総裁。
ただ、講演録そのものは非常に冗長です。結論に至る道筋は長く、曖昧模糊の霧の中。典型的な連銀の発表です。一言も「マイナス金利」という単語は(直接的には)出てきません。
ブルームバーグ報道のポイント
★導入部分
雇用状況は改善されたものの、物価上昇率は低く、今後も低いまま推移すると思われるため、フェデラル・ファンド金利は2015年も現在のレベルから上げる理由がなく、雇用状況を改善させるには、さらにFF金利を下げる可能性を考えている。
★結論部分
FF金利を上げるのではなく、むしろ下げることを考えるべきだ。
筆者は以前より、FFレート目標を引き上げる、すなわち米国の利上げは不可能と主張してきました。
量的緩和策からの出口は見あたらず、具体的な出口政策は現在まで存在しません。ゼロ金利政策からマイナス金利政策へと進むでしょう。
しかし、この矢継ぎ早の発表は気になります。それだけ大津波が近いからなのでしょうか?
※太字はMONEY VOICE編集部による