サラリーマンのメリットを捨てられるほど、投資から得られる価値とは…。末期がんの宣告を受けた私が、若い甥に伝えたい資産形成のヒケツを書いています。(『億の近道』石川臨太郎)
若い甥に教えたい、投資は人生を充実して豊かにする
メルマガ『億の近道』編集部より
この特別コラムは、石川臨太郎氏が治療の合間に書き下ろしたものです。現在闘病中のため、定期的に掲載できるかどうか分かりませんが、気力体力の続く限り書けるときに書きたいとの意思ですので、寄稿があったら掲載するというペースで続けたいと思います。ぜひご愛読下さい。
なお、コラムの感想や石川臨太郎氏への励ましのメッセージなどがあれば、投稿フォームを開設致しましたので、ぜひご利用下さい。
ずるくて汚いやつしか稼げない、投資の世界に誘う悪書?
今回は、NPOイノベーターズ・フォーラムのおかげで2005年ごろ出版した『副業はサラリーマン』と『年収300万円の私を月収300万円の私にした投資戦略』に10年間の有料メルマガの原稿やトピックスについて紹介します。
※参考:メルマガ「奥の近道」執筆陣の書籍/DVD情報
長生きしすぎるリスクだけを考えて、お金を使えないで死んでしまう危険にぶち当たったこと。
お金はあの世には持っていけないので、有効に使っていかないと、悲しいことになること。
交通事故で死んでしまうより、余命をいただいいたので、残す財産はしっかりと妻に100%残すための公正証書の遺言状にどんなことを書いたか。
妻の強い希望で会社を清算することにしましたが、生きている時は実に有効な節税手段ですが、清算するときはゴッソリとコストがかかることが分かったこと。また税理士に相談すると、素人では気が付かないような節税の手段もあるということ。
そんなことが本の内容になります。
私が『副業はサラリーマン』と『年収300万円の私を月収300万円の私にした投資戦略』を出版した2005年ごろに、JR四ッ谷駅近くの居酒屋で、私は先輩の投資家から厳しい批判の矢面に立っていました。
久しぶりに参加した、ある勉強会のあと、数人の投資家仲間と意見交換のために入った居酒屋でのことでした。
私はこの勉強会の最後に恒例になっている短い自己紹介のなかで、東洋経済新報社から2005年10月27日に新発売される投資の本「副業はサラリーマン 年収3000万円、資産1億円超を実現した私の投資法」の紹介をしたことに対する厳しい批判でした。
「石川君、株式投資はずるくて汚いやつしか稼げない世界だ。そんな世界に個人投資家を誘うような本は、すべて悪書だ」
あまりの先輩の舌鋒の鋭さに、唖然とした若い勉強仲間が間に入ってとりなそうとしてくれるのを制して、私は神妙に先輩の話を聞き続けていました。
「投資は専門家に任せておけばいい。インターネットで儲かった、儲かったと騒いでいるやつらは、全部偽者だ。株式投資で稼いだことをホームページなどを使って自慢するやからは、とんでもないまがい物だ。たかだか5億や10億、株で稼いだからといっていい気になって自慢するのは、心得違いもはなはだしい」
Next: 著書に対する先輩の批判、聞きながら感じたこととは…
10年以上勝ち続け、20億円に近い資産を一度失った先輩
私はこの先輩投資家の話を、熱くなって反論せずに、冷静な気持ちで聞くことができている自分の成長を、少しだけ喜びながらも、この批判にきちんと答えるためにはどう話したらいいかを考えていました。
ただ、お酒が入った席で、むきになって議論をするのは、まったくつまらないことだと考えていたので、その場で反論するつもりはありませんでした。
趣味の世界の話なら、酒の肴にもなるし、大好きです。しかし真剣に意見をぶつけ合うならアルコールなどが入らない状態で、冷静に意見を交換し合うべきだというのが、私の持論でもあります。その持論を変えるつもりはまったくありませんでした。
この先輩は私より確実に相場が上手な投資家です。
ご自分でも株式投資で10年以上勝ち続け、20億円に近い資産を作りました。しかし、その資金を株式投資により、一度はすべてを失ったことがあることをご本人から教えていただいたことがあります。
これは先輩の偽らざる本音かもしれないとは思いつつ、私は心の中で、「それは違う」と言い続けていました。たしかに、株式市場を短期で捉えると、強い投資家が弱い投資家から資金を簒奪していく場所であるという、ゼロサムゲームが行われている面もあります。しかし株式投資にはゼロサムゲーム以外の面も持っています。
たしかに、欲と恐怖をコントロールできずに破綻する人も多いのが、株式市場など相場の世界です。しかし自分の欲と恐怖を見据えて、欲と恐怖をコントロールできるようになれば、株式市場は投資家に多くの素晴らしいプレゼントを与えてくれる場所でもあるのです。
「投資は専門家のものだ」というのは明らかな間違い
よく機関投資家で働いていて、最後には相場の苦しさに音を上げて、大学の先生などになった人が、「相場はバクチだから手を出さないほうが利口だ。それより自分の仕事の能力を磨いて、自分の才能に自己投資して、仕事の能力を磨いたほうが自分の生涯賃金が大きくなる」という意見を述べていることがあります。これも投資をバクチにして失敗してしまった人の偏った意見だと、私は考えています。
私は「投資は専門家のものだ」などというのは、明らかに間違いだと考えています。むしろ投資こそ個人のものであるべきなのだと考えています。
私の周りには、素晴らしい個人投資家がたくさんいます。
一番の年長者は70歳を越えています。いまから20年以上前に不動産投資と株式投資で資産を作り、50歳のとき務めていた県庁を早々と退職して、自分の資産運用だけで生活することを始めた、私の理想の師匠です。
その当時に年間家賃収入800万円を確保して、その安定した家賃収入で悠々自適な生活をしていました。株式投資も行っていますが、その投資総額は600万円くらいです。そして毎年200万円から300万円を確実に株式市場から確保しているとのことでした。
証券会社の仲の良い社員の人に確認したら、間違いなく毎年稼ぎ続けている素晴らしい投資家だということが分かりました。自宅にお邪魔して海外旅行の映像を見せていただいたこともあります。
60歳からは毎年2回海外旅行にでかけ、70歳を超えてからは毎年3回、4回と大好きな海外旅行に出かける回数が増えています。とてもうらやましい人生だとあこがれている投資家です。だから私の投資も、この師匠のアセット・アロケーションに段々近づいていけたらいいな~と考えて、行動していました。
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株式投資はお金以上に、多くの能力を与えてくれた
歳を取った投資家ばかりではなく若くても優秀な投資家もたくさんいます。
株式投資で5~6年で10億円以上稼いだ人も2人知っています。その他にも5年程度のスパンで1億円以上の資金を稼ぎ出した人はたくさんいるし、株式投資で稼いだ資金のおかげで、それまで務めていたサラリーマンを卒業して、好きな仕事を始めた人も5人以上知っています。みな個人投資家でした。
みな違うやり方で株式投資で稼いでいます。
デイ・トレードからバリュー投資まで、千差万別の自分にあった投資手法を身につけて、リスクをコントロールして確実に株式市場から資金を得ています。
私もこのような優秀な個人投資家から心構えやリスク管理、投資手法を学び、自分でも実践し、サラリーマンを定年より早く卒業することができました。
会社を辞めるとき、当然に迷いました。
今の会社にあと3年間勤め続け、定年退職まで我慢して居座れば着実に安定した経済的メリットが年間1,000万円以上に上ることが分かっていました。社宅、健康保険、年金、福利厚生施設。サラリーマンとしての数々のメリットを捨てるにはかなりの覚悟がいりました。
でも、たった一度の人生を自分が満足するように充実して生きてみたいという思いを捨てることはできませんでした。サラリーマンを辞めることのメリットとデメリットを分析し、判断し、辞めると決断し、勇気を持って実行することができたのも、株式投資で常に判断、決断、実行のプロセスを繰り返し訓練していたことの賜物だと感じています。
株式投資はお金という宝物も与えてくれましたが、それ以上の多くの能力を私に与えてくれたと感謝しています。
そんな株式投資をバクチだからと避けるのは、本当にもったいないことだと思います。
株式投資は素晴らしいものであることを、お金を増やす面からばかりでなく、人生を充実して豊かに生きるために活かす道をご紹介できれば、私と同じような悩みを持っているサラリーマン仲間のお役に立てるのではないかと考えています。
(筆者注:情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
『億の近道』(2018年12月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による