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また忖度。勤労統計「データ改ざん」で露呈した見せかけの賃金上昇と雇用改善=斎藤満

厚生労働省が発表する「毎月勤労統計」のインチキがついに露呈。人件費も雇用も改善していない事実がわかり、安倍政権の「データ改ざん」体質が浮き彫りにされました。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

データの改ざんのみならず、データの解釈までゆがめている…?

作為を感じる毎月勤労統計のミス

厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計」のインチキがついに露呈しました。

昨年初からこの統計が示す賃金上昇率が、実は偽装され、過大に表示されていたことは、これまでにも何度か指摘してきましたが、ついにこれが公になり、安倍政権の「データ改ざん」体質が浮き彫りにされました。

厚生労働省はここで二重の過ちを犯しています。

1つは、調査方法でのルール違反です。本来、従業員499人以下の事業所については「抽出」サンプルが認められていますが、500人以上の事業所については、「抽出」ではなく、全数調査が必要でした。ところが、少なくとも東京都においては3分の1程度の事業所しか調査していなかったことが判明、しかも10年以上にわたってこれを放置してきました。

もう1つの過ちが、昨年分について、その「抽出」する事業所サンプルを意図的に操作して、賃金水準が高まるよう「修正」したことです。しかも、それを年末まで大臣に報告もしていませんでした。

ベースアップの時期でもないのに基本給が上がる不自然さ…

問題はその「作為性」です。安倍政権は一部から「官製ベア」と言われるほど、経済界に賃上げ要請を繰り返し、圧力をかけてきました。

しかし、現実の賃金はなかなか上がらず、物価上昇分を差し引いた実質賃金ではマイナスが続き、アベノミクスの欠陥とも見られていました。ところが、昨年1月分から「毎月勤労統計」においては突然、賃金上昇率が高まりました。政府はここぞとばかりに「雇用賃金が改善している」と成果を強調するようになりました。

ところが、嘘はつけないもので、統計の不自然さが如実に表れていました。

例えば、ベースアップの時期でもないのに、昨年1月から「基本給」にあたる「所定内給与」の伸びが、それ以前の0.3%前後の伸びから1%前後に突然高まったのです。安倍政権の賃上げ要請が功を奏したとすれば、4月以降の賃上げに反映されるはずなのですが、なぜか1月から「段差」が付くように高まりました。

しかも、4月以降、春闘賃上げの成果が出るべき時期には、数字は高まらず、「ベア」以外の要因でなぜか賃金が高まった形になっています。その点は私以外のエコノミストも何人か気づき、調査サンプルが変わったためではないか、との指摘が出始め、内閣府や日銀も疑義を持ち始めました。

Next: なぜデータ操作は起きたのか?日本の「雇用改善」もかなり怪しい…

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