1人の子どもにかかる教育費はいくらくらいでしょうか。時代によって大きくトレンドが変わる教育費について、親はどういう思いで用意すべきかを考えます。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。
親の介護をする時代は終焉へ。それでも教育費と愛は変わらない
教育にも流行がある
新婚のご夫婦などで、お子さんが誕生したり、住宅を購入したりと、いわば人生のキーポイントを迎えられたときに、これからの家計収支のシミュレーションを私のところに依頼されることがあります。
現在や将来の収入見込み、貯蓄や資産の額など、このシミュレーションを作成するのにはその家庭のデータが必要です。
その中のひとつが、お子さんの教育費用です。
まだお子さんが小さい場合には両親の思いを、お子さんがある程度の年齢に達していればその子の思いを、数値化していきます。
この将来の教育費にも、時代とともに変化があるのです。
少なくても7~8年前くらいまでは、高校や大学の時代に長期の海外留学を両親が希望して、シミュレーションに算入することも多くありました。
しかし、ここ2~3年は、海外留学の話が相談者から出てくることはほとんどなく、私も質問しなくなっていました。
また、地域的なことでもありますが、地域に私立の小学校や中高一貫校が開校すれば、その学校や既存の私立校への受験がブームになるようです。
ただ、このブームも長くは続かないようです。つまり、教育・進学にもブームがあるようです。
必ず必要になる教育費
通常は、保育園や幼稚園に通い始めて、その後に義務教育である小学校、中学校に通学します。卒業後は、子どもの希望や学力などで、様々な高校、専門学校、短大、大学や大学院へ。
基本的にはこの流れで進学していくのですが、高校を例にしても、普通科のほかにもさまざまな学科があり、学費も違っているようです。
子どもの教育費の支出のピークは、大学受験から大学卒まで言われています。
しかし、中には、私立の小学校や中学に進学するために、費用を準備する家庭もあります。また、あらかじめ教育資金を準備しておくのであれば、いわゆる「学資保険」や「死亡保険」といった保険商品を運用して準備をする家庭が多いようです。
また、子どもが高校や大学に入学する時期になって教育資金が不足する場合は、親は、銀行から「教育ローン」などの融資を受けます。
子どもが大学生の場合は、子ども本人が有利子・無利子または給付型の奨学金を借りて、子ども本人が卒業後に(給付型以外は)返済していくのが一般的です。
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1人あたり少なくとも1,000万円
ところで、1人の子どもにかかる教育費はいくらくらいでしょう?
もちろん、子どもの進学状況によっても変わってきます。
ただ、一度に多額の支出になるのは大学受験から入学までですが、その子の生涯にかかる費用は、私の業務経験から、少なくても1,000万円くらいはかかるようです。
いくらデフレの時代といえども、学習塾や進学塾の月謝はコンスタントに値上がりしているところが多くなっています。今後も教育費が下がっていくことは、当分の間、考えられないでしょう。
教育を受けさせて親に残るものは
年老いた親を子どもが面倒を見る時代は、すでに終焉を迎えていると思います。
私自身も、子どもに面倒を見てもらうつもりはありません。子どもが描く人生を歩めば良いと思っています。
つまり、親が子どもに教育を受けさせるのは、子どもが将来したいことの手助けをすることも含まれていますが、手助けに親の強権的な意見は不要です。
親は、ただお金を捻出するだけ?
子ども自身が思い通りの人生を歩めれば、一番喜ぶのは、子ども自身でしょう。次は子どもの配偶者。そして次に、陰ながら見守ってきた両親です。
このために、親は子どもに教育費を捻出する。とは、言い過ぎでしょうか。
教育費は見返りを期待しない餞別
教育費は、子どもに悔いのない人生を送らせるための餞別です。
親の用意できる金額に上限があっても、それを理解できる子どもを育てるのも、親の役割でしょう。
『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2019年2月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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