マネーボイス メニュー

世界で一番戻りの弱い日本市場、「米中問題」など米株市場と同じ理由で下がるのか?=櫻井英明

先週末、雇用統計の予想が大きく下回り米株市場は大きく下落。引けにかけて戻したものの5日続落で終了した。しかし、日本市場はこれに追従していくのだろうか。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)

米株市場と日本市場を同じ原因で語るのは、何かおかしくないか

予想を大きく下回った雇用統計で先週末の米株市場は続落

NY株式市場は5日続落。雇用統計は、非農業部門の雇用者数が2万人増と市場予想の18万人増を大幅に下回った。2017年9月以来約1年半ぶりの小幅な伸びにとどまり、建設や小売りなどの業種でマイナスとなった。

過去の伸びの反動が出た可能性がある」との見方だ。中国の2月のドル建て輸出が前年比20.7%減と3年ぶりの大幅に落ち込んだ。世界経済に対する懸念に拍車を掛けたという見方。ただ、失業率は再び3%台に改善。賃金は前年比で2009年以来約10年ぶりの大幅な伸びを記録するなど、明るい材料も見られた。

現在は職を探していないが働く用意のある人や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は7.3%。1月に付けた11カ月ぶり高水準の8.1%から改善。

「2016年5月は1万5,000人増、17年9月も1万8,000人増と低い伸びとなったあと20万人増の水準に戻した。単月の結果に過ぎず、統計が示すほど米経済が弱まっているとは考えにくい」という声もある。

先週までのアメリカ・日本の株価動向

NASDAQは週間で11週ぶりに下落。DJ輸送指数は0.5%安で11日連続下落。1972年以降で最長記録を更新。10年債利回りあは2.625%まで低下。ドル円は111円台前半。

日経平均は寄り付き117円安、終値430円安と4日続落。大発会が452円安だったから、今年2番目の下落幅。昨年12月18~25日の5連敗以来の4日続落。今年初の4連敗だ。

「NYダウは4連敗で下落幅752ドルだが、日経平均は同776円。東京はボラの高さに加えて、期末事情による金融機関売りによる需給関係の悪さがあるかもしれない」という声もある。

「1日高値2万1,822円から4日間の下落率は29.9%。4日の半値戻し、5日のゴールデンクロスとテクニカルな基調転換に対する反動安が起こりやすい時期」という指摘もある。

日経平均は週間で2.7%(577円)下落。2019年に入ってからの週間下落率では最大となった。

週足は4週ぶりに陰線。値上がり107銘柄、値下がり2,003銘柄と強烈だが新安値は73銘柄と意外とおとなしい。新高値は2銘柄。騰落レシオは98.51まで低下。NT倍率は13.37倍。25日線(2万1,223円)からは0.9%のマイナスかい離に転じた。200日線(2万2,021円)からは4.5%のマイナスかい離。75日線は2万1,085円だ。

上場廃止となるパイオニアに代わって、日経平均新規採用銘柄にオムロンが新規採用。値がさの村田製でなかったことは225プレイヤーからは好感されよう。

いくつかの指標はそろそろ限界水準。底打ち反転期待の月曜日は今年6勝1敗。週末安、週初高のトレンドに期待。

因みに…。
大発会の1月4日(金)は452円安で、翌1月7日(月)は477円高。
2月8日(金)は418円安。翌3連休明けの2月12日(火)は531円高。
2月15日(金)が239円安、翌2月18日(月)は381円高。
2月22日(金)が38円安 2月25日(月)102円高。
3月1日(金)217円高、3月3日(月)219円高。
気学では「後場急伸する。押し目買い」。
火曜は「強日柄にして押し目買い方針の日」。
水曜は「不時の高下を見る日。押し目買い方針良し」。
木曜は「吹き値売り方針の日」。
金曜は「目先の天底を作ることあり」。

Next: 米株市場と日本市場の上げ方に大きく乖離があるのはなぜか?



東京市場の動きに違和感がある理由とは…

「何かおかしくないか」という疑問が生じかねないのが東京市場の動き。NYが軟調と言ってもNYダウは5週連続高まであって、NASDAQは先々週まで10週続伸。これと日経平均を同時に論じている方が変な気がする。

先週の25国の株価指数で一番下げたのは日経平均。世界経済などとは別の次元で動いていると考えるべきだろう。メジャーSQに向けての売り方の抵抗、あるいは3月決算の多い東京市場の特殊要因。これを皆と一緒になって「米中問題」とか「ブレグジット」で解釈しようとすると見間違えそうだ。

<日経ヴェリタスの特集は「株価急落への備え。3段階で学ぶ」>

(1)先物&ETF活用編 先物売りで損失抑制

株価指数先物「日経225」や「日経225ミニ」。相場の先安観が強まった時にベテラン個人投資家が利用する場合が増えているのは、特殊な値動きするETF。「相場の先行きに不安な場合のヘッジとしては有効」と。個別株投資では信用取引を使った「つなぎ売り」を使う投資家も多い。

(2)プロの機関投資家やヘッジファンドが使う代表的な手法

現物株買い(ロング)と信用売り(ショート)組み合わせるロング・ショート運用がある。「的確に株価の上げ下げを予想し、その通りの展開になった場合」のみ儲けが増える。直近1年間の株価の変動率基に算出した「相関係数」(1に近づくほど連動性が高い)を見る。相関係数が0.7以上なら連動性が高いと言える。

組み合わせを決めたら、どちらを買い・売りするかがポイント。株価指標面から割高な銘柄を「売り」、割安銘柄を「買い」するのがオーソドックス。

(3)オプションでの「売る権利」使う保険

相場の先安観が強く、急落するリスクに備えたい場合の応用編。「プットオプション(売る権利)」。「保険として活用したい場合、現物株の投資額に見合った枚数を買うことが重要」とも。

頭では理解できる。しかし、これを実行している個人投資家さんがどれくらいいるのだろうか。「ヘッジするくらいなら株式投資をやめた方がいい」という選択肢もある。これらの手法の多くは、職業業界人としての立場を守るために資金量を考えずに行なわれている。そこを抜きにして考えてよいものだろうか。

プロの機関投資家=オウンマネーを取り扱わないサラリーマン。ヘッジファンド=ある意味で投機家。言葉を置換してみると変さが浮上してくるような気がする。

【関連】Tポイントが消える?ファミマからヤフーまでもがそっぽを向き始めたワケ=岩田昭男

【関連】トランプ退陣の日は野党次第。コーエン証言「トランプは詐欺師」と動かぬ証拠がトドメを刺す=江守哲

【関連】なぜ政府は全国民にマイナンバーカードを持たせたいのか?2021年、健康保険証と一体化へ

「兜町カタリスト」』(2019年3月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

「兜町カタリスト」

[無料 平日刊]
個人投資家のみならず、マーケットのプロからも注目を集めてきたメルマガ櫻井英明責任編集「兜町カタリスト」。前場・後場の1日2回無料配信。マーケットのど真ん中からとっておきの情報を発信します。カタリストとは英語で「触媒」のこと。マーケットの動きを的確に知る触媒として、新たな情報ソースとして、ぜひご活用ください。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。