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【展望】資金が向かうのは新興銘柄か中核銘柄か?米FOMC結果を見極めて=山本伸一

外部要因の軟化により、戻り売りが上値を抑えたかたちで終えた12月7日週の日経平均株価。12月14日週はFOMCや日銀金融政策決定会合、日銀短観などの金融イベントを控える中でのIPOラッシュとなる。これらIPO関連に資金が向かうか、あるいは中核銘柄が買い直されるか、FOMCの結果とそれに伴う米国市場の反応で大きく変わってこよう。(『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』株式評論家・山本伸一)

注目のIPOラッシュ、参戦は慎重に。まずはFOMC後の市場の反応を見極めて

まずはこの1週間(12月7日週)の相場動向を振り返り

12月7日週の株式相場は、その前の金曜日の相場調整の下押しから、月曜日に見直されたものの、火曜日から木曜日にかけて調整色を強める流れ。金曜日には見直されましたが、週央の売り圧力が目立っています。

日経平均株価は、先々週末の1万9500円台から、月曜日には1万9600円台まで戻したものの、火曜日には1万9500円台割れ。水曜日には1万9300円台まで水準を切り下げ、木曜日には大台1万9000円割れ目前まで迫ったものの、金曜日には1万9200円台まで戻してきました。金曜日の日経平均株価終値は、1万9230.48円で取引を終えています。

日経平均株価チャート 2015年12月11日終値

先々週は、押し目買い優位の流れが見られたものの、木曜日の海外時間帯で確認されたECB理事会の金融緩和政策への失望感から金曜日の調整につながり、下値不安が燻る展開となっていました。ただ、米国市場で確認された米雇用統計の好結果を受けて米国株高、ドル高と外部要因が改善。

東京株式市場では、先々週金曜日に見られた欧州金融政策イベントへの失望売りから月曜日には急速に見直されてきました。しかし、米国での利上げ観測、原油相場下落とともに米国株が下落、中国市場も輸出鈍化で売られるなど、再び外部要因が軟化した火曜日には売り直されています。

商品市場の調整とともに米国株が振るわず、アジア株安の流れとともに調整色を強めた水曜日も軟調推移。日経平均株価は続落し、5日移動平均線と25日移動平均線のデッドクロスを形成するなど、チャート軟化も重しとなりました。

木曜日もリスク回避の流れは止まらず、日経平均株価は3日続落。大台1万9000円割れは回避し、外部要因改善で金曜日は見直されたものの、戻り売りが上値を抑えたかたちになりました。

日経平均構成銘柄では、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>らメガバンクが米国利上げの思惑などもあって週を通して軟調推移しましたが、トヨタ<7203>、キヤノン<7751>、ソニー<6758>、ホンダ<7267>など外需関連は見直し買いも入りました。

金曜日の指数反発とともに日経平均株価構成比率上位のファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、ソフトバンク<9984>が揃って切り返す動き。SQ算出に絡んだ思惑注文でボリュームを増やし、ダイキン<6367>、京セラ<6971>なども賑わいを見せています。

また、主力取引銀行が数千億円規模に上る追加の金融支援を検討していることが分かったと報じられたシャープ<6753>が急伸。原油相場が約7年ぶりの安値水準を付けていることから日本航空<9201>ANAホールディングス<9202>の空運が見直されました。

シャープ<6753> 日足(SBI証券提供)

日本航空<9201> 日足(SBI証券提供)

ANAホールディングス<9202> 日足(SBI証券提供)

一方で、国際石油開発帝石<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業、中部電力<9502>、関西電力<9503>の電気ガス、JXホールディングス<5020>、東燃ゼネラル石油<5012>の石油製品らの下落が目立っています。

値動きが激しかった個別銘柄をおさらい

個別銘柄ではクレディセゾン<8253>が、9日(水)にみずほ銀行の保有株売却に応じて自社株買いの発表で賑わったほか、11日(金)もクレディ・スイス証券が投資判断「アウトパフォーム」を継続し、目標株価を2850円から3100円に引き上げたことが買い材料視され、相場の落ち着きとともに見直し買いを集めました。

クレディセゾン<8253> 日足(SBI証券提供)

また、全体相場が軟調に推移するなか、ディフェンシブ銘柄の医薬品セクターが賑わう展開に。なかでも小野薬品<4528>は野村證券が投資判断「買い」、目標株価2万4000円でカバレッジを再開したことが買い材料視されて急反発。会社計画を上回る業績予想を示しており、増額期待の買いも押し上げ要因となりました。

小野薬品<4528> 日足(SBI証券提供)

新興材料株で注目を集めた銘柄をチェック

新興市場ではそーせいグループ<4565>が上伸。NVA237(グリコピロニウム臭化物)の導出先・ノバルティスによる材料性や目標株価引き上げが買い材料視され連日で上場来高値を更新したほか、インフォテリア<3853>が活況高。全市場の売買代金上位にも進出しました。テックビューロとソフトウェアを組み合わせる専用接続アダプタを開発する事業提携を明らかにしており、フィンテック関連のテーマ人気で買い進まれました。

そーせいグループ<4565> 日足(SBI証券提供)

インフォテリア<3853> 日足(SBI証券提供)

セキュリティ関連でテリロジー<3356>なども物色されたほか、ペプチドリーム<4587>、カイオム・バイオサイエンス<4583>、トランスジェニック<2342>、カルナバイオサイエンス<4572>、テリロジー<3356>なども賑わっています。

金曜日日中の日経平均株価は、SQ算出に絡んでの売り買い交錯から、SQ値1万8943.54円の算出が伝わると、原資産の日経平均株価は算出値を上回る推移となっており、低めの目標との意識や日中の円安推移とともに水準を切り上げる動きを見せました。その後、夜間取引で先物が大幅下落し、週明けは軟調な展開になりそうですが、SQ値や大台1万9000円、75日移動平均線(1万8743.67円)、25日ボリンジャーバンド-2σ(1万9155.29円)が心理的節目として意識されてくるでしょう。

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重要金融イベントも控える中でのIPOラッシュ、参戦は慎重に

さて、今週(12月14日週)はFOMCや日銀金融政策決定会合、日銀短観などの金融イベントを控えるなか、注目したいのは先週も短期資金を集めたIPO銘柄です。

先週は鎌倉新書<6184>ランドコンピュータ<3924>などのほか、あんしん保証<7183>など直近IPOなども短期資金を集めて人気化しました。

IPOの初値買いで短期に利益をあげられた方も多かったのではと推察しますが、資金の逃げ足も速く、初値形成後買い進まれるよりも買い気配で高い初値を形成した後は、買い一巡後に売り物に押されて高値から大きく値崩れする銘柄もありました。

12月はまさにIPOラッシュなので、参戦する場合は、資金の逃げ足が速いことを覚悟しておかないと危険です。

今週も15日(火)にダブルスタンダード<3925>が東証マザーズに、16日(水)にツバキ・ナカシマ<6464>が東証1部、17日(木)にオープンドア<3926>が東証マザーズ、ミズホメディー<4595>がJASDAQに、18日(金)にもフリュー<9090>が東証1部、アークン<3927>が東証マザーズ、アートグリーン<3419>が名証セントレックスにと7銘柄の新規上場が控えており、短期資金を呼び込む場面もあると思われます。

ただ、これらのIPO案件のどれを買ってもいいというわけではありません。テーマ性や需給などから人気化すると思われるIPO案件もあれば、公募価格が明らかに高めに設定されていて初値が期待できない銘柄もあります。

FOMCの結果と米国市場の反応を見極めるのが重要

また、日程面からもFOMC通過後はIPOなどの新興市場よりも、中核銘柄などの売買が盛んになると思われ、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>ら先行して調整しているメガバンクや、為替感応度の高いキヤノン<7751>、ソニー<6758>、ホンダ<7267>などに買い戻しが入るようだと、IPO関連に資金が向かわずに空振りに終わる可能性もあります。

逆にFOMC通過でこれらの銘柄や為替感応度の高いマツダ<7261>、富士重工業<7270>、村田製作所<6981>、アルプス電気<6770>などが売られるようなら、活発な短期資金循環から、新興株や直近IPOの高値も期待できるでしょう。

まずは、来週16日~17日のFOMCの結果とそれに伴う米国市場の反応を見極めることが肝要。週後半のIPO銘柄については、この結果の相場の場味次第で参戦するかしないかを決めた方がいいでしょう。

【関連】「逆オイルショック」に備えよ~原油安と米利上げ、相反する2つの材料

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※SBI証券提供チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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