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「逆オイルショック」に備えよ~原油安と米利上げ、相反する2つの材料

米国が利上げを開始後に、もし原油価格が一段と下げれば、インフレ期待が低下し、FRBが予想するほどインフレが高まらず、利上げサイクルが途中で立ち消えになる恐れがあります。原油安と米国の利上げという相反することが同時に起こると、金融市場は思いがけぬ混乱を見せるかもしれません。(『マンさんの経済あらかると』)

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再びの原油下落、背景はより複雑に

昨年秋の原油価格急落が一旦は収まったかに見えましたが、ここへきて再び原油価格の下げが強まってきました。

米国原油WTIは昨日(12/8)37.5ドルまで下げました。きっかけは先週末のOPEC総会で、生産枠を何も決められずに増産が放置されたことですが、今回は経済的な需給論を超えた、政治的(宗教的)な要素も加わって、事態がより複雑になっている感があります。

需給面では、石油がぶ飲み型の中国で、輸入が11月は前年比8.7%減と、1ケタのマイナスに改善され、需要の弱さにやや光明が射したものの、原油の供給面では増産傾向に歯止めがかかっていません。

ロシアなど非OPECの増産ばかりか、OPEC自体、3000万バレルの生産枠に対して足元では3180万バレルも生産し、今後は制裁解除後のイランが増産に出ると見られます。

WTI原油先物 月足(SBI証券提供)

WTI原油先物 月足(SBI証券提供)

ロシアとイランの影響力の高まり

ここで問題を複雑にしているのが、ロシアとイランの政治的な影響力が高まっていることです。

ロシアとイランは最近でも親しく接近していて、これがイスラムのスンニ派(サウジやイスラム国など)と対立しています。

イランは米国と核開発で妥協したことから、イランの核に脅威を感じるイスラエルやサウジが神経質になっています。そのサウジは核保有国のパキスタンと手を組み、いざとなればパキスタンの核を使ってイランに対抗しようとの意図がうかがえます。

OPECのなかではサウジとイランが対立し、非OPECにはロシアだけでなく、最近サウジとの関係が悪化する米国がいて、これがイランと接近しています。

サウジはOPEC内での指導力も、非OPECへの影響力も低下の危機にあります。

そしてイスラム国掃討に際しては、これを訓練した米国や、その盟友英国、そしてイスラム国と宗教的に近い中東有志連合が、空爆に際しては事前に通告し、ターゲットを外したりして実効を上げないようにする一方、フランスやロシアは通告なしに直接爆撃し、効果を上げています。

それだけロシアの国際評価が上がり、ISの反仏、反ロ感情が高まります。

またサウジの場合、国家財政を考えると、1バレル100ドル近い水準でないと財政が均衡しない一方で、原油掘削コストは10ドル以下で、原油価格下落には最も余力があります。かつてビン・ラディンを輩出したワッハーブ派の過激派勢力も原油生産をし、サウジ王朝とは別の動きをします。

またロシアも低コストの油井を持ち、こちらも中東産油国より価格耐久力があります。

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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