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【展望】マイナス金利祭り早くも終了~少額から買える好業績株を狙い撃つ=山本伸一

円高推移と決算売りで、先週の金融政策好感の買いを早くも打ち消す格好となった日本市場。しかし、決算発表シーズンも2月8日週で一巡。今後は選別物色が進む局面となるだろう。そこで来週は打診売買向きの「少額から買える好業績株」に注目したい。(『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』株式評論家・山本伸一)

2月8日週で決算一巡、今後の注目は「少額から買える好業績株」

まずはこの1週間(2月1日週)の相場動向を振り返り

今週(2月1日週)の株式相場は、マイナス金利導入の金融政策を好感した先週末の流れを引き継ぎ、月曜日も買い優勢の展開に。火曜日も利益確定売りをこなす動きを見せていたものの、外部要因悪化とともに水曜日、木曜日と軟調展開、金曜日も売り優勢となるなど、政策好感の流れも一服してきています。

日経平均株価は、先週末の1万7500円台から、月曜日に1万7800円台に乗せたあと、火曜日は1万7700円台を固める動き。ただ、水曜日に再び1万7100円台まで売り直されると、木曜日は大台1万7000円を試す動き。金曜日には1万6800円台と大台割れを余儀なくされました。

日経平均株価チャート 2016年02月05日終値

先週は、金融政策睨みの展開から、マイナス金利導入の日銀金融政策が金曜日に伝わると一気に買い進まれるなど、サプライズ感のある金融政策をもとに買い直されました。そのまま海外市場でもマイナス金利導入の金融政策好感の流れが持続。月替わりとなった月曜日も外部要因進展とともに買い優勢の展開に。日経平均株価も昨年12月以来の25日移動平均線奪回を果たしました。

2日火曜日には金融政策好感の流れも一服、円高推移とともに利益確定売りに押されました。ただ、2日火曜日の段階では日経平均株価は25日移動平均線を下値支持として値固めの動きも見て取れました。しかし、原油価格下落による米国株安、1ドル=120円割れの円高推移と外部要因悪化を受けて、3日水曜日は大幅調整。

日経平均株価は25日移動平均線割れ、金融政策の伝わった先週末1月29日レベルまで水準を切り下げてくるなど、戻り売り圧力が働きました。チャート上でも25日ボリンジャーバンド-1σでの下げ渋りはあるものの、25日線も下降が止まらず、パラボリックもSARを下抜けて陰転してきています。

為替相場の円高推移が確認された木曜日も軟調展開。日経平均株価の大台1万7000円攻防が見られましたが、1ドル=116円台後半とさらなる円高推移となった金曜日には1万7000円の大台割れを余儀なくされ下値模索の展開となり、金融政策好感の買いを早くも打ち消す格好となっています。

値動きの激しかった個別銘柄をおさらい

個別銘柄では、1ドル=116円台の円高推移を受けてトヨタ<7203>ソニー<6758>富士重工<7270>の外需関連、三菱UFJFG<8306>三井住友FG<8316>みずほFG<8411>のメガバンクが軟調。日経平均株価構成比率上位のファーストリテイリング<9983>も売られており、株価指数の重しに。

トヨタ<7203> 日足(SBI証券提供)

ソニー<6758> 日足(SBI証券提供)

富士重工<7270> 日足(SBI証券提供)

決算銘柄では鴻海精密の支援前進期待でシャープ<6753>が活況高となりましたが、日立<6501>が第3四半期決算で増収着地も通期業績予想の下方修正を発表して大幅安。パナソニック<6752>東芝<6502>も決算売りを浴びており、電機機器は苦戦を強いられています。

日立<6501> 日足(SBI証券提供)

パナソニック<6752> 日足(SBI証券提供)

東芝<6502> 日足(SBI証券提供)

決算に絡んだところでは、伊藤忠商事<8001>の株買い増しでファミリーマート<8028>が高く、同じく決算銘柄のグリー<3632>、古河電工<5801>、ヤマハ<7951>、大陽日酸<4901>、田辺三菱製薬<4508>、ぐるなび<2440>などが買われましたが、決算評価で買われていた小野薬品<4528>や値嵩株の村田製作所<6981>などは指数の下値模索とともに売られました。

新興市場では、インフォテリア<3853>、ブランジスタ<6176>、アークン<3927>、ジェイテック<2479>、デジタルアドバタイジングコンソーシアム<4281>、アイサンテクノロジー<4667>などが物色されています。

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決算も一段落、来週は好業績銘柄の「選別物色」局面に

さて、今週(2月1日週)も企業決算が数多くあり、今回の決算シーズンでは全体調整とともに株価水準を落としている銘柄には期待通りの決算内容でも再評価が期待できる状況にあったことからリバウンド期待もありました。

しかし、ニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言などからFOMCの利上げペースが鈍化するのではとの観測からドル売りが加速し、相対的に円が買われたほか、中核銘柄の決算売りも押し下げ要因になり、日経平均株価は月曜日の上昇を除けば4日続落。

日銀のマイナス金利導入という金融緩和が行われた1月29日(金)の水準を下回って、下値を模索する展開となっています。まずは、米国の雇用統計発表や金曜日引け後に発表のトヨタ自動車<7203>の決算発表などのイベントを警戒した動きもあったでしょうか。
トヨタが過去最高益 昨年4―12月、純利益9.2%増 – 朝日新聞デジタル

ただ、5日の金曜日の大引け間際には急速に下げ渋るなど、売り方の買い戻しも働いている模様。外国人投資家を中心にショートポジションも積み上がってきていると見られており、外部要因の変化で一喜一憂する流れが続いているだけに、米国市場や為替相場の反応が週明けの全体観を左右しそうです。

様々な反応を見せた決算発表シーズンも来週で一巡。今後は決算発表が出揃うことで、業績の悪いものを売って、業績の良いものに乗り換える「選別物色」が進む局面となります。

そこで、来週は今回の決算発表シーズンで良好な内容を明らかにした好決算銘柄のなかから、決算発表後も決算売りをこなして選別物色を取り込む銘柄が狙い目となります。

全体調整とともに水準を落としている銘柄も多く、来週は打診売買向きの「少額から買える好業績株」に注目してみてください。来週は11日の祝日休場、金曜日のSQ算出もあり、金曜日の引け後に決算発表が集中することから、まだ全体観を傾けにくい局面ですが、全体相場が落ち着かない状況では決算評価に着目した銘柄選別を行っていきたいところです。

決算シーズン後の業績の悪いものを売って、業績の良いものに乗り換える「選別物色」に移行することを見越して、今のうちに好業績銘柄の決算内容を分析しておきましょう。具体的には、開示された決算内容と四季報の通期予想などの市場予想との差異などに目を配り、増収でも織り込み済みなのか、サプライズなのか。減益でもマイナスインパクトなのか、アク抜けなのかを精査しておくと、予想外の株価の変動にも対処できるでしょう。

シカゴ日経平均先物円建 1分足(SBI証券提供)


NYダウ 1分足(SBI証券提供)


米ドル/円 1分足(SBI証券提供)

1月米雇用統計結果(2/5 22:30発表)

・非農業部門雇用者数:15.1万人(市場予想:19.0万人)
・失業率:4.9%(市場予想:5.0%)
注目の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が事前の予想を大きく下回った一方で失業率は改善。強弱まちまちとなったが平均時給の伸びを材料に追加利上げ観測が再燃し、週末のNYダウは211.61ドル下落した。

【関連】黒田総裁「必要な場合さらに引き下げ」の危うさ~マイナス金利は無制限ではない

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※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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