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黒田総裁「必要な場合さらに引き下げ」の危うさ~マイナス金利は無制限ではない

黒田総裁は、短期のところをマイナス金利にすることで、イールドカーブ全体を押し下げることができ、緩和が強化されると説明しました。しかし、これはプラス金利の世界の話です。マイナス金利が一般的になった世界でマイナス金利をさらに拡大すると、利上げと同じような引き締め効果を持ってしまいます。(『マンさんの経済あらかると』)

マイナス金利下での「追加利下げ」は逆効果、株価に悪影響も

本当の金利はマイナス49.5%?~NHKニュース報道

2月1日の夕方7時、NHKニュースで、日銀のマイナス金利設定によって国債が大きく買い上げられ、金利が大幅に低下したことを伝えていました。そこでの説明に衝撃を受けるとともに、国債価格の値上がりが株やほかの資産価格押し上げにも影響するとの印象を強く与えたように見えます。

しかし、そこには大きな誤解がありました。

額面100円の国債に1%の金利がついていたところに買いが殺到し、価格が200円に上昇すると、利息は1円で変わらないので金利は1%から0.5%に低下することになる、との説明でした。

裏返すと、金利が低下すると国債価格は大きく値上がりしていることを意味し、それが株やほかの資産にも波及して値上がりを呼ぶ、との連想を誘いました。

しかし、これは200円の投資が200円で返ってくるときの話で、国債は途中の価格がどうあれ、満期には額面(100)でしか返ってきません。

NHKの例では1年満期の国債を考えたようですが、これを200円で買ってしまった投資家は、満期の100円と利息の1円しか手にできず、99円の損失となります。つまり、金利は0.5%ではなく、マイナス49.5%となります。

1兆ドル以上の「マイナス金利国債」が誕生~FT紙報道

2日のFT紙には、先週の日銀によるマイナス金利の設定によって、1週間で1兆ドル以上の「マイナス金利国債」が誕生したとあります。

この結果、2014年半ばにはゼロであったマイナス金利国債が、今や世界の国債の4分の1を占めるに至った、と書いていました。

それだけ日銀は世界の国債市場に衝撃を与えたことになりますが、これは今後の爆弾になりかねません。2つの危険因子をはらんでいます。

一般投資家は満期前に売り逃げる

まず、マイナス金利を受け入れる投資家は、特定の事情を持った一部のグループだけ(例えば国債を中銀借入の担保として持っていなければならない金融機関)で、一般の投資家は最大利益を考えて動きます。彼らは満期まで持ってマイナスのリターンとなることは受け入れないはずで、その前に売ってきます。

つまり、一般投資家は、国債の値上がり益を狙って買っているだけで、みすみす損を承知の投資をしているわけではありません。

従って、彼らは値上がり益(キャピタルゲイン)を得たら、満期前に売り逃げるはずです。これはマイナス金利になっている国債全般に言えることで、それだけこれから満期までの間のボラティリティ(変動)が大きくなります。

そうなると、債券中心の運用をする金融機関(例えばゆうちょ銀行や農中など)は苦しい状況になり、金融機関が疲弊すると金融仲介機能が損なわれます。

世界の国債の4分の1がマイナス金利とすれば、日欧の主要国では約半分がマイナス金利ということになります。日本の10年国債もいつマイナス金利になってもおかしくないので、債券運用は困難を極めます。

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