しまむらが発表した2026年2月期第3四半期決算は、売上・利益ともに前年同期比で増加し、営業利益は過去最高を更新した。主力のしまむら事業に加え、アベイル、バースデイ、ECの各事業がバランスよく成長し、PB(プライベートブランド)比率の上昇やDXを軸とした経営改革が着実に成果を上げている。本稿では、事業別の動向とともに、しまむらの強さの源泉を整理し、今後の持続的成長の可能性を検証する。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2025年12月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
しまむら、営業利益「過去最高」
12月22日、しまむら<8227>は2026年2月期第3四半期(3Q)決算を発表した。決算数値は以下のとおり。
売上高:525,506百万円(前年同期比5.6%増)
営業利益:48,177百万円(前年同期比3.5%増)
経常利益:49,975百万円(前年同期比4.7%増)
親会社株主に帰属する四半期純利益:35,147百万円(前年同期比4.5%増)
すべての項目において前年同期比でプラスとなり、営業利益は過去最高となった。

しまむら<8227> 日足(SBI証券提供)
各事業別の概況
次に各主要事業別の概況を記載していく。
<しまむら事業>
売上高:3,898億19百万円(前年同期比+5.1%)
店舗数:1,419店舗(+11店舗、▲8店舗)
しまむらの店舗名で展開する同社の主力事業であるが、商品的にはプライベート・ブランド(PB)の「活き活きラボ」シリーズ、「FIBER HEAT」シリーズなどが好調、また11月に実施した「超サプライズセール」が客数増加に貢献するなど、売上は大きく増加した。
PBの売上高は前年比10.7%増となり、全体の売上高に占めるPBの比率は、前年比1.3ポイント上昇し、25.1%となった。
粗利益率の高いPBの比率が事業年度毎に高まっていることで、同社の業績を牽引している。
<アベイル事業>
売上高:527億52百万円(前年同期比+5.2%)
店舗数:317店舗(+5店舗、▲4店舗)
レディース・メンズ衣料とシューズ・服飾雑貨などを扱うヤングカジュアルの専門店。
ジョイント・デベロップメント・ブランド(JB)中心のトレンド提案、キャラクター商品の拡充で天候影響を軽減するなどの施策が功を奏し、業績は好調。
SNSや販促物、店内BGMを連動させたキャラクター企画や、札幌コレクションへの出展などの新規施策も業績好調に寄与した。
<バースデイ事業>
売上高:626億81百万円(前年同期比+7.0%)
店舗数:338店舗(+7店舗、▲5店舗)
幅広い商品を提供するベビー・子供用品の専門店。
JB・PBの拡大とキャラクター商品拡充したこと、25周年企画(9月下旬~10月中旬)で客数が増加したことなどにより、業績好調。
またインフルエンサーやユーチューバーとのコラボ企画などによって客数を伸ばした。
<EC事業>
売上高:144億円(前年同期比45.9%増)
同社のオンライン事業は各事業の店舗と連動しており、オンラインストアの店舗受取サービスが好調である。
各事業のオンラインストアは別々に分かれていたが、10月下旬に各事業のオンラインストアを統合し、「しまむらパーク」というサイトを開設している。
事業横断で1つのサイトで商品を購入できるようになったことにより、利便性が向上し、今後より一層の事業拡大が見込める。
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