トリドールホールディングス(トリドールHD)が発表した2025年4~6月期決算は、純利益が前年同期比190%超の大幅増となり、3年ぶりに最高益を更新した。主力の丸亀製麺が季節商品のヒットや施策効果で好調を維持し、国内ではコナズ珈琲が急成長、海外事業も不採算店舗の撤退で収益改善が進んでいる。通期予想に対して第1四半期だけで8割の利益を稼ぐ異例の好スタートを切った同社の決算内容を詳しく分析する。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2025年8月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
丸亀製麺のトリドールHD、3年ぶりに最高益更新
8月14日、丸亀製麺を展開するトリドールホールディングス(トリドールHD)<3397>は2025年4〜6月期(第1Q)の決算を発表した。
決算数値は以下のとおり。
売上:69,862百万円(前年同期比6.1%増)
事業利益:6,367百万円(前年同期比44.0%増)
営業利益:8,052百万円(前年同期比128.9%増)
税引前利益:6,736百万円(前年同期比67.0%増)
四半期利益:4,649百万円(前年同期比192.9%増)
親会社の所有者に帰属する四半期利益(純利益):4,393百万円(前年同期比190.3%増)
純利益ベースで3年ぶりに最高益を更新した。
純利益は事前の予想(QUICKコンセンサス)の27億円を大きく上回り、14日昼の決算発表後に株価が急騰している。
現時点で2026年3月期の純利益55億円は修正しておらず、第1Qだけで予想利益の8割を稼いだ形となっている。

トリドールホールディングス<3397> 週足(SBI証券提供)
主力の丸亀製麺が絶好調
トリドールの事業セグメントは丸亀製麺事業、国内その他事業、海外事業の3つに分けられる。
第1Qの各セグメント別の売上、事業利益は以下のとおりである。
<丸亀製麺事業>
売上:35,393百万円(前年同期比11.1%増)
事業利益:6,743百万円(前年同期比18.1%増)
<国内その他事業>
売上:9,961百万円(前年同期比24.1%増)
事業利益:1,134百万円(前年同期比10.7%増)
<海外事業>
売上:25,969百万円(前年同期比▲5.6%減)
事業利益:1,139百万円(前年同期比881.2%増)
丸亀製麺事業は同社の看板ブランドであり、第1Q実績で売上全体の半分強を占める。
この看板事業の丸亀製麺が絶好調であり、客単価が7%増加するなかで客数も2%増を達成している。「牛カツトマたまカレーうどん」や「鬼おろしぶっかけうどん」など春の季節商品が消費者の心をつかんだ。特に「おにおろしぶっかけうどん」は発売から6月末までの約20日間で181万食を売り上げ、前年を大きく上回る結果となった。またうどんの無料薬味トッピングを6種類から8種類の増やしたことなどの施策も消費者の支持を集めているようだ。
うどん店はリピート率が高い業態であるが、その中で飽きられないように継続的な新商品や新サービスを提供できていることが同社の強みと言えるだろう。
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