黒田総裁は気づいていない?追加利下げは逆効果、株価も不安定に
次に、国債のマイナス金利が拡大し、広がると、株価にも悪影響が及びます。
まず、マイナス金利幅が大きくなると、それだけ期日前の売りも大きくなり、相場が不安定になるので、ボラティリティの上昇を通じて株価を不安定にします。
また、国債市場のマイナス金利が恒常化すると、国債を発行する国は金利をもらって借金をする異常な世界になり、資本の論理が破たんします。
資本の論理が破たんすると、株式市場が機能しなくなります。
黒田総裁は、短期のところをマイナス金利にすることで、イールドカーブ全体を押し下げることができ、緩和が強化されると説明しました。
しかし、これはプラス金利の世界の話で、限りなくゼロに近づけば、金利と言う「抵抗」はなくなります。しかし、ゼロを行き過ぎてマイナス金利の世界になると、それが大きくなるほど抵抗は大きくなります。
つまり、マイナス金利が一般的になった世界でマイナス金利をさらに拡大すると、利上げと同じような引き締め効果を持ってしまいます。
マイナス金利は、長期国債などプラス金利が残る中で、小規模には使えますが、ここから追加利下げにでると、却って経済に引き締め効果を持つと考えたほうがよいでしょう。「マイナス金利は無制限」ではありません。
『マンさんの経済あらかると』(2016年2月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。