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個人預金へのマイナス金利適用が「絶対にないとは言い切れない」理由=久保田博幸

2月3日付の日経新聞によると、三菱東京UFJ銀行は日銀のマイナス金利への対応として、大企業や金融機関などの普通預金に口座手数料を導入することを「検討」するそうである。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

個人へのマイナス金利適用もないとは言い切れない状況に

普通預金に口座手数料の導入検討、まずは大企業から

2月3日付の日経新聞によると、三菱東京UFJ銀行は日銀のマイナス金利への対応として、大企業や金融機関などの普通預金に口座手数料を導入することを「検討」するそうである。もし手数料を徴収することとなり、その手数料が利子を上回ると事実上のマイナス金利となる。

ただし、中小企業や個人に対しては定期預金の引き下げを検討し、口座手数料の導入は見送るそうである。

日銀による超過準備の一部へのマイナス金利の導入は2月16日からのスタートとなるが、これほど早く動きが出てくるとは思っていなかった。それだけ民間銀行にとってマイナス金利の導入は脅威と映っているように思われる。

日銀のマイナス金利はいわばコストとなることで、それを預金者に転嫁する動きとなる。期間の短い定期預金の金利を普通預金と同じにする銀行も出ている。

マイナス金利を導入しているスイス、デンマーク、スウェーデンなどでも、大手企業や機関投資家の大口預金などにマイナス金利が課せられている。いまのところ個人の預金にマイナス金利が課せられている事例はほとんどないようだが、日経新聞によると個人預金にも適用した例はないわけではないようである。

日本ではさすがに個人の預貯金にマイナス金利を課すことはないとみていたが、このまま日銀が市場対策のために追加緩和の逐次投入を繰り返すようなことがあると、絶対にないとは言い切れない。

日銀の金融政策の一環としてのマイナス金利はいわば金融機関へのペナルティとなり、それは結果として、預金金利の引き下げなどを通じて企業や個人が負担することとなる。

住宅ローン金利の引き下げ効果は限定的か

もちろん住宅ローン金利などの引き下げ要因となるが、銀行などの利ざやの縮小でそれも限られたものとなろう。

マイナス金利で日銀はいったい何をしようとしているのか。物価を上げるための市況対策だとしても、その効果が出るとは限らない。

日経新聞によると、財務省は3月に発行予定の個人を対象とした窓口販売の10年物国債の募集を中止するそうである。新窓販国債は個人投資家が購入できる国債ながらいわゆる「個人向け国債」ではない。「個人向け国債」は個人しか購入できないが、新窓販国債は購入者に制限はなく法人や組合などの名義でも購入可能。2年、5年、10年の3種類の国債が用意されている。通常発行される国債を個人に気軽に買えるようにしたのが新窓販国債であり、このため「個人向け国債」とは異なり、価格変動リスクに晒される。

新窓販国債の2年債は2014年10月より募集停止となり、5年債は2015年1月に募集停止となっている。これは2年債や5年債利回りがゼロ近辺かそれ以下に低下したためであり、今回の10年債の募集停止も同様の理由による。

ただし、いわゆる個人向け国債については3年固定、5年固定、10年変動ともに最低利回りの0.05%が設定されているため、ゼロやマイナスとなることはない。

【関連】日銀「マイナス金利」6つのポイント~円安を招くがデフレには効果なし=吉田繁治

牛さん熊さんの本日の債券』2016年2月1日号より
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