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日銀は卑怯なコウモリか?「マイナス金利付き量的・質的緩和」の矛盾=久保田博幸

日銀が1月29日に決定した「マイナス金利付き量的・質的緩和」は、いったい政策目標は金利なのか量なのかが曖昧であった。この矛盾はこれからいろいろな歪みを生み出すと思われる。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

量と金利を追い求める日銀の「マイナス金利」は何をもたらすか?

卑怯なコウモリ

イソップに「卑怯なコウモリ」というお話がある。

むかし、鳥たちと獣たちが争っていた。その様子を見ていたコウモリは、鳥たちが有利になると鳥たちのところに行き「私は鳥の仲間です。あなたたちと同じように翼を持っています」と言った。

ところが、獣たちが有利になると今度は獣たちのところに行き「私は獣の仲間です。ネズミのような灰色の毛皮と牙があります」と言った。

鳥たちと獣たちの争いが終わったとき、コウモリの裏切りは明るみに出た。獣と鳥の両方から追われたコウモリはやがて暗い洞窟の中へ身をひそめるようになった。

どっち付かずな「マイナス金利付き量的・質的緩和」

1月29日に日銀が決定した「マイナス金利付き量的・質的緩和」は、いったい政策目標は金利なのか量なのかが曖昧であった。

マネタリーベース(日銀当座預金と現金の量)を大きくすれば、インフレ期待が強まり物価が上がるとの理屈で、2013年4月に異次元緩和が始まった。このときの日銀は金融政策は量で勝負しますと宣言していた。

それから3年近く時が過ぎて日銀は突如、マイナス金利を導入しますと宣言した。政策金利のひとつともいえる当座預金の超過準備にかかる一部の金利をマイナスにするとした。

これにより政策目標を金利に戻したのかといえば、さにあらず。量の効果はあるので量も予定通りに増やすものの、これからはマイナス金利をさらにマイナスにさせることで追加緩和をしますよとした。

ECBのマイナス金利との違い

ECBもマイナス金利政策を取りながら国債も大量に買っているが、とりあえず政策目標は金利のままである。しかし、今回の日銀の政策目標は量のままではあるが、政策手段はマイナス金利の引き下げを軸にするかのように思われる。

いったい日銀の政策目標は量なのか金利なのかどちらであるのか。この矛盾はこれからいろいろな歪みを生み出すと思われる。

ただし、結果としての反応は金利引き下げとなることで、それが日本の長期金利の低下を促した。債券市場がポジティブな反応を示したことで、今回の日銀の追加緩和は効果ありとして株が買われ、セットで円安が進行。欧米市場では株も国債も買い進まれた。

Next: 「金利」と「量」は相反する政策、矛盾の噴出はこれから

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