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米大統領選 極右トランプと社会主義者サンダースが示す“アメリカの歪み”

アメリカ大統領選挙・予備選は日本では考えられないお祭りムード。過激な右寄り発言が注目されるドナルド・トランプ氏と、極端な左寄り政策を訴えるバーニー・サンダース氏の人気ぶりは、今のアメリカ社会のひずみを垣間見るようです。(『らぽーる・マガジン』)

過激な右寄り候補、極端な左寄り候補が人気を集める米国の今

トランプ、サンダース躍進の背景は「支配階級への反発」

アメリカ大統領選挙・予備選が活況を帯びています。日本では考えられない、選挙がお祭りムードになっているのです。

今その大統領選挙で異変が起こっています。両極端な思想家が人気を集めているのです。過激な右寄り発言が注目されるドナルド・トランプ氏、極端な左寄り政策を訴えるバーニー・サンダース氏。今のアメリカ社会のひずみを垣間見るようです。

もともとトランプ氏は、ビル・クリントン元大統領の強力な資金提供者でした。トランプ氏は不動産王と呼ばれ、高級不動産を扱う、富裕層に向けた商売をしている大金持ちです。

ちなみに、ヒラリー・クリントン氏は、もともと共和党支持者でした。若いころは、右派政策を強く支援していたそうです。アメリカの政党は、どうも日本の政党との関係とは違うようですね。

バーニー・サンダース氏も、もともとの民主党員ではなく、本来は第三極に位置する人です。

トランプ氏とサンダース氏が人気なのは、反・支配者層の風潮もあるようです。ヒラリー・クリントン氏は支配階級そのものですし、トランプ氏の対抗馬のテッド・クルーズ氏の奥さんは、ゴールドマン・サックスの投資マネージャーです。

ちなみに、クルーズ氏はトランプ氏以上に過激な右派だといわれています。あのトランプ氏以上って、どんななのでしょう。

マルコ・ルビオ上院議員は、共和党の仲でも穏健派だそうです。

ヒラリー・クリントンも、テッド・クルーズ氏も政治献金をもらっていますが、トランプ氏は自腹、大金持ちですからね。

ドナルド・トランプ氏とバーニー・サンダース氏の人気は、そういう支配階級への反発もあるのです。

共和党の場合は、最大の支持団体であるティーパーティがどう動くか、彼らは金持ち集団ですからね。

「過激な右寄り」ドナルド・トランプ氏の強みと弱み

いまのトランプ人気はその発言内容にあり、マスコミへの訴えが上手だと言われています。彼が本当に大統領になったとしても、彼の過激思想が実現されることはないと、多くの国民は思っているようで、ただただパフォーマンスを楽しんでいるみたいです。

彼の集会には多くの人が集まっていますが、ほとんどが話題のトランプ氏見たさに来ているだけで、演説途中で帰る人も多いそうですよ。

空中戦が得意で、ヘリで現地に降り立ち、また飛ぶという選挙スタイルで、組織を持たないので地上戦が苦手です。

ネット上の右翼思想の人たちにトランプ氏は人気があるのですが、彼らがボランティアで戸別訪問をすることはないので、組織を持たないトランプ氏は、地上戦が不利なのです。

ちなみに、アメリカでは、選挙期間中の戸別訪問は認められています。

共和党予備選は、候補者のキャラ合戦で、本格的な政策論争は本選に入ってからのようです。そういう意味からも、共和党候補争いは、まだまだ混迷を深めそうです。

ジェブ・ブッシュ氏は、早々と大統領候補争いから撤退しました。大統領を輩出しているブッシュ家ですが、やはりあれだけ不評のイラク戦争の首謀者のレッテルは重かったようです。

Next: 「極端な左寄り」バーニー・サンダース氏を後押しするアメリカの格差問題



「極端な左寄り」バーニー・サンダース氏を後押しするアメリカの格差問題

一方、民主党候補者指名争いですが、かつてのアメリカでは絶対にあり得なかった社会主義者が堂々と思想を述べ支持を集めています。それだけアメリカ社会は格差問題が根強いのでしょう。

特に多くの若者が、サンダース氏を支持しています。公立大学授業料無償化が支持されているのでしょう。

アメリカの大学授業料は、年々高騰を続けていることが問題とされています。学生は在学中に学費ローンで350~400万円もの借金を背負い、社会人になってその返済に追われています。家を買うどころの話ではないですね。

高学歴の低所得者…このような言葉が飛び交っています。中国も同じ現象ですよね。最も中国の高学歴者は職がないことによる貧困、アメリカは借金を抱えることによる貧困という構図です。

日本とは文化が異なる選挙戦

ヒラリー・クリントン氏は、アフリカ系やヒスパニア系の支持を得ています。

貧困問題を彼ら特有の差別問題と捉えていて、サンダース氏は社会主義なので、肌の色は関係ない皆平等という思想から、サンダース氏ではなくクリントン氏を支持する理由のようです。

複雑ですね。民主党もまだまだ混戦が続きそうです。

アメリカ人は、献金は表現の手段のひとつ、選挙は大切な意思表示の場と捉えているようです。投票率も高くはないことがありますが、それは予備選で支持候補者が落選したら選挙に行かないという行動が原因です。

はっきりとしていますね。選挙に関しては、日本とはちょっと文化が違うようです。

【関連】中国が恐れる指導者、ヒラリー・クリントン大統領は誕生しないかもしれない

らぽーる・マガジン』(2016年2月22日号)より一部抜粋
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