マネーボイス メニュー

為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、ウイルス感染警戒で円売り抑制も

【先週の概況】
■新型コロナウイルスの感染拡大でリスク回避の円買い継続

先週のドル・円は弱含み。中国以外でも新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、リスク回避の円買いが活発となった。1月28日発表の1月CB消費者信頼感指数の改善を好感してドル売りは一服したが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が29日に行った会見で「新型肺炎の影響など、不透明性が残る」と慎重な見方を伝えたことから、ドルは伸び悩んだ。その後、米国内で新型コロナウイルスの人から人への感染が確認されたことから、リスク回避のドル売りが再び優勢となった。

31日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時108円31銭まで下落した。ロシアや英国で新たに新型肺炎感染が確認され、米国の大手航空会社が中国便運休を発表したことや、米国の1月シカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回ったことから、リスク回避のドル売りが優勢となった。米国債利回りが全般的に低下したこともドル売り材料となったようだ。ドル・円は108円37銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:108円31銭−109円27銭。

【今週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、ウイルス感染警戒で円売り抑制も

今週のドル・円は伸び悩みか。新型コロナウイルスの感染拡大で中国などの経済活動縮小が警戒されており、リスク回避的な円買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は1月30日に行なわれた記者会見で、中国のウイルスの問題について先行きの懸念を表明した。今後発表される米国の主要経済指標が悪化した場合、利下げ圧力は高まり、ドルを下押しする場面もあろう。

世界保健機構(WHO)は1月30日、中国で感染被害が拡大している新型コロナウイルスについて「非常事態」と認定。今後は渡航や輸出入の制限により中国経済の成長鈍化が懸念されている。世界経済の下振れ要因にもなるため、米国や中国の経済指標が予想を下回った場合、ネガティブな市場反応が予想される。ただし、資源国(オーストラリア、NZなど)や新興国(南アフリカ、トルコなど)の通貨などに対して米ドルは強い動きを見せる可能性もあるため、市場参加者の一部は「リスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低い」と予想している。

【米・1月ISM製造業景況指数】(2月3日発表予定)
2月3日発表予定の1月ISM製造業景況指数は48.4と、12月の47.2から小幅に改善が見込まれる。ただ、好不調の節目である50を引き続き下回ると予想されており、市場予想を下回った場合、リスク選好的なドル買いは後退しそうだ。

【米・1月雇用統計】(2月7日発表予定)
2月7日発表予定の1月雇用統計は、失業率3.5%(前回3.5%)、非農業部門雇用者数は前月比+15.3万人(同+14.5万人)、平均時給は前年比+3.0%(同+2.9%)と予想される。雇用者数は前回実績をやや上回る可能性があり、平均時給はわずかな上昇が見込まれている。市場予想とおおむね一致した場合、ドル売り材料にはならないとの見方が多いようだ。

予想レンジ:107円50銭−110円00銭

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。