マネーボイス メニュー

日銀による金融市場の安定確保に向けた姿勢を評価【クロージング】

3月2日の日経平均は反発。201.12円高の21344.08円(出来高概算20億3000万株)で取引を終えた。日経平均の反発は、6営業日ぶりとなった。新型コロナウイルスの感染者拡大による世界経済の鈍化懸念を背景に、21000円を割り込んで始まったが、寄り付き直後に付けた20834.29円を安値に、その後はこう着感の強い相場展開が続いた。しかし、日銀総裁による談話が伝えられたことをきっかけにプラス圏を回復すると、後場に入ると21593.11円まで上げ幅を広げる局面もみられた。大引けにかけてはやや急ピッチのリバウンドに対するやれやれの売りもあってか、上げ幅を縮めて取引を終えた。

東証1部の当落銘柄は、値上がり数が1800を超えており、全体の8割を占めた。セクターでは、サービス、水産農林、小売、証券の上昇率が2%を超えた他、その他製品、電気機器、不動産、精密機器がしっかり。半面、保険、電力ガス、鉄鋼、石油石炭、銀行が冴えない。指数インパクトの大きいところでは、東エレク、ファーストリテ、エムスリー、アドバンテストがけん引。一方で、中外薬、京セラ、日東電が弱含みだった。

週末の米国市場でNYダウが一時1000ドルを超す下落をみるなか、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が緊急の声明を発表し、「景気を下支えするために適切に行動する」と述べ、追加の利下げの可能性を示唆したことで下落幅を縮めていた。この流れを受けて日銀の動向が注目されていたが、黒田総裁による談話が伝えられたことは、タイミングとしてはベストであったとみられる。

なお、日銀の黒田総裁は、「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保につとめていく」との談話を発表。先週の波乱展開から軒並み急落を余儀なくされていたこともあり、下へのバイアスを弱める格好となった。また、マザーズ指数が5%を超える上昇となるなど、先週の下げで需給悪化が警戒されていたが、一方で需給整理が一気に進んだことから、個人主体の押し目拾いの動きに向かわせたようである。

明確なボトム確認は時期尚早であろうが、一先ず日米の金融緩和への思惑から、下を売り込む流れは沈静化してくることが期待される。ヘッジファンドのVIX指数先物の差引き建玉はピーク時から半減程度まで一気に減少したことから、リスクパリティ戦略に伴う機械的な株式の売却についてもピークアウトした可能性も意識されやすいだろう。米国では重要な経済指標の発表が不安視されるが、追加利下げへの思惑が下支えとして意識されやすく、日本市場への安心感にもつながろう。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。