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NYの視点:市場はさらなるFRBの利下げ織り込む、景気後退も視野

米連邦準備制度理事会(FRB)は2008年の金融危機以来、初めて、定例連邦公開市場委員会(FOMC)以外での利下げを決定した。

FRBが過去に緊急利下げに踏み切ったのは以下のような異常事態時のみ。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)を2週間後に控えて、緊急利下げに懐疑的見方も見られた。逆に投資家の脅威に繋がっている。さらに、新型肺炎のような世界的な健康問題解決において、金融政策の手段は限定的となってくる。パウエル議長は利下げでサプライチェーンを支援することはできないとしながらも、全般的な強い景気を持続させるというFRBの任務を担っていくとした。新型肺炎が経済に与える影響は今のところ不透明。ただ、一部では景気後退を織り込むべきだとの考えも浮上している。

■FRBによる緊急利下げ

1998年、ロシア危機

2011年、9・11の同時多発テロ

2008年:金融危機

FOMCは声明の中で、新型肺炎により、成長見通しが大幅に修正されたため、50ベーシスポイントの利下げに踏み切ったと説明。パウエル議長は会見で、「米国経済のファンダメンタルズは依然強い」としたがらも、新型肺炎により、成長見通しが大幅に修正されたことを明らかにした。リスクが存続する中、利下げにより、米経済の強さを維持できると述べた。「経済指標にはまだ、新型肺炎による影響が結果としてあらわれていない」「利下げによりサプライチェーンを支援することはできない」ことを認めた。しかし、利下げにより消費者やビジネスの信頼を回復、金融状況のひっ迫を回避することが可能になると主張。

豪州準備銀行は3日、政策金利を25ベーシスポイント引き下げ。カナダ中銀は4日の金融政策決定会合で25ベーシスポイントの利下げに踏み切ると見られている。公衆衛生問題の解決は、金融政策で補うのは無理がある。財政的な支援が効果があると見られるが、財政策を導入するには議会の承認など時間がかかる。たとえ、効果が薄いと見られても速やかに可能となる手段は、金融政策のみとなる。

米国金利先物市場は3月、4月または6月、年末と、年内あと3回の利下げを織り込んだ。米連邦準備制度理事会(FRB)がいずれゼロ金利まで政策金利を引き下げることを織り込み始めた。

欧州中央銀行(ECB)も来週12日に予定されている次回定例理事会において追加利下げを実施することが90%織り込まれた。

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